神社仏閣建設で礎を築いた最古参上場企業:松井建設、下請け企業への支払いは現金決済

2024年1月13日(土)7時53分 財経新聞

 松井建設(東証スタンダード)。東京商工リサーチによると「上場企業の中で最も古い会社」。創業は天正14年(1586年)。加賀藩のお抱え棟梁だった松井角右衛門が2代目藩主の命で、越中森山城の普請を手掛けたこととされる。

【こちらも】工藤建設は拠点近隣の清掃/介護事業/障がい者雇用支援を、「地盤地域への恩返し」とする

 爾来、松井建設は神社・仏閣などの建立でその地盤を築いてきた。国の指定重要文化財である築地本願寺などもその手によるし、皇居大手門の普請も手掛けている。

 今でも神社・仏閣との関りは深い。直近では福岡市の靖国神社。1955年に建てられた大鳥居の改修工事。原木の檜材を使用した物としては高さ13mという日本最長。一部の腐食から解体を伴う大規模な工事が、今年2月完成をめどに進められている。

 が、業容の裾野は今広がっている。「庁舎・オフィスビル」「病院・老人ホーム」「ホテル(exリッチモンドホテル横浜等)・物流施設」etc。一口で言えば、中堅ゼネコン業者。

 技術力でも輝ものを開発しており、評価されている。「デザインフィット工法」。耐震補強工事の需要が高まっている。従来の工法には施工に時間がかかり、雑音や粉塵の悩みに晒されるという難点があった。開発した工法はこれまでに対し工期を短縮し施工環境改善、コスト削減が図れる。かつ在来工法と同様に設計・施工ができる耐震補強工法。建物を使用しながら補強工事が行える仕様も整備されている。

 コロナ禍や建設部材の高騰⇔価格転嫁⇔採算悪化が、大手ゼネコンでも起こっている。松井建設の収益環境も同様。2020年3月期「27.2%営業減益」-21年3月期「15.7%営業減益」-22年3月期「17.9%営業減益」-23年3月期「6.1%営業減益」。

 そして今3月期は四季報の業績欄の見出しを拝借すれば【上向き】。「7.1%の増収(950億円)、5.8%の営業増益(24億円)、5.7%の最終増益(18億円)、1円増配26円配」計画。また至25年3月期の中計では、「売上高900億円(23年3月期比1.51%増)、営業利益30億円(32.2%増)、配当性向40%程度、投資額80億円」を掲げている。

 前記した営業減益の時期にも配当は「据え置き」「小幅ながらも増配」、配当性向40%前後を維持している。こんな施策も発信された。「今年1月から施工を担う協力会社へは、支払いを全額現金決済とする」。

 松井建設の強みは「株主に対しては安定・好配当」、協力(下請け)施工会社には「現金決済」に求められる。背景は長年の積み重ねに基づく「好財務」体質。23年9月末時点で有利子負債ゼロ、対して内部留保金は373億5300万円。

 本稿作成中の時価は800円台半ば、予想税引き後配当利回り2.4%強。押し目買い姿勢で好配当の享受が賢明だろうが、過去10年間の修正済み株価のパフォーマンスは41.4%は着実な投資家向きとも言えるが・・・

財経新聞

「神社」をもっと詳しく

タグ

「神社」のニュース

「神社」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ