【豊田章男の戦い】製造が分らないメディア達(下) 製造業の理想とは?

1月14日(日)10時2分 財経新聞

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■製造業の理想とは?
 現在「順序生産」に近づこうと努力が続けられている。それは「多種少量生産」と言ってはいるが、いまだに「ロット生産部分」が残っている。そのため資金効率としては「受注してから生産する」のが安全なのだが、そうはいかない。ある程度ロット生産するしかない。そのため「受注した順に、生産、納品」する努力が始まっている。

【前回は】【豊田章男の戦い】製造が分らないメディア達(中) IoTの機能の使い方で勝負は決まる

 トヨタはタイヤまでラインに対応させて1台分ずつ生産している。それでタイヤをロット生産から解放したのだ。

 すると最も金額の大きな在庫、つまり完成車が減ることになる。現在テスラが完成後修正車両が多いことは、その間、納品できずに在庫していることになる。その間は「金に換えられない」ので金利負担が大きくなるのだ。完成車価格×台数になるので、仕掛在庫よりも損害は大きい。最も持ってはならない在庫だ。完成車在庫が生産車の9割と言うのは、倒産の危険がある水準だ。

 日産や欧米各社が行ってきたサプライヤーに対する「グローバル発注」では、納品時にどうしても「ロット納品」になってしまう。そのための膨大な資金量をどのようにして補っていけるのか?カルロス・ゴーン会長の戦略では、開発費の削減と回収のサイクルを短縮することで、補うのであろうか?バッテリーの自社開発を諦めたことがその方向性を示している。それがトヨタが考える「各自動車メーカーとの協業」と勝負することとなる。

 IoTを生かしてネットで受注、即、最も稼働率の低い生産ラインで生産して、最も短い期間で納品して、お金に換えることが出来れば、最高の資金効率となる。つまり「前払い受注生産」が良いのだ。テスラは新スポーツカーで2年先の納品に対して、満額の前払いで受注している。これが本当に約束が守れられれば、最も資金効率が良い受注となる。これは素人考えでは、「商品力」がずば抜けて高いがために出来ることだ。しかし、各社がEVを発売し始めると、同じ商品でも「商品力」は目に見えて下がってしまい、現在の受注は「借金」となってしまう。次から次と新商品をヒットさせ、次々に「前払い」を繋げていかないと倒産となる。「自転車操業」だ。これが「商品力」であり、ある意味SONYの失敗でもある。

■自動車産業のIoTは机上論ではない
 IoTを受注・生産・納品・サービスと繋げてシステム化することが勝負の分かれ道なのだ。グーグルなどの参入が考えられるのはこのためだ。この前提にTNGAがあり、ラインの「平準化」が済んでいなければ、このIoTに対応できないのだ。それは単なるプログラム上のシステムではなく、現物を作るラインの共用化、混流が出来るだけ進んでいることが必要なのだ。これは設計から材料手配(マテリアルコントロール)・製造技術・生産技術・生産管理など、全ての現場の技術開発が条件となる。机上論で論じることは慎むべきことだ。それは、どれほどAIが進歩しても「人」が関与することであり、その意識コントロールが必要であるからだ。組織運用の新規技術開発をする必要があるのかもしれない。

 自動車ジャーナリストは、「製造」を「匠の手工業」と勘違いしているのではないか?いまは「第4次産業革命」と言われる時代でありながら、「第1次産業革命前」の認識であることを反省してほしい。

財経新聞

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