「CDO Summit Tokyo 2018 Winter」レポート(前編)

1月17日(木)6時0分 JBpress

 2018年12月5日、東京・飯田橋でCDO Club Japan主催の「CDO Summit Tokyo 2018 Winter」が開催された。日本のデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)をリードする企業のCDO(Chief Digital/Data Officer)や、政府・自治体や学術関係者などが集い、現状報告や課題共有および将来展望を実施していく同イベント。今回は「CDO of the Year 2018」の発表が行われることもあり、会場は各界のリーダー200名以上で埋め尽くされた。JBpress Digital Innovation Reviewではこの日の模様を前後編に分けてレポートする。


DXは「改善」ではなく「革命」

 「CDO Club Japanは2017年に立ち上がったわけですが、当初CDOという役職を持つ方は3人しかいませんでした。それが今では約60名、2018年中には100名になろうかという勢いです。それだけ日本のDXも進展したということだと、私たちは確信をしていますし、うれしく思っています」

 CDO Club Japanの創立者であり代表理事の加茂純氏(参照記事「CDOのグローバル組織『CDO Club Japan』加茂代表が語る」)は、感慨深げな表情で開会の辞を語る。CDOが、たった1年の間に100名レベルにまで増加しているということは、それだけDXを本気で目指す企業が増えたということに他ならないが、加茂氏はその意味と意義をあえて強調する。

 「デジタルあるいはデータをビジネスに役立てていこうという流れは、以前からありましたが、DXはデジタル活用による単なる業務の『改善』を指すのではありません。『変革』つまり『革命』でなければいけない。今日この会場にお越しいただいた皆さんはご承知のことと思いますが、企業のあり方自体を変える革命を実行しようとすれば、並大抵の努力では成功しません。力強く引っ張っていくリーダーが絶対に必要。それがCDOなんです。

 「『No CDO, No DX』、『CDOなくしてDXなし』。そう提唱し続けてきた私たちの思いが、多くの企業や組織に浸透し広がっているのは間違いないと確信していますが、まだまだわが国のDXは始まったばかり。ですから、この場で明言したいと思います。3年後には300人のCDOがこのサミットに集うようにしていきたい。そう思っています」

 こう述べた上で、加茂氏は3年後に向けてのポイントを3つ示した。①デジタル組織の確立、②モデルとなる事例・ケースの増加、③マスから個、所有から利用、生産型から循環型へと急変する世の中の構造に遅れを取ることなく、むしろリードしていくこと。そのうえで、加茂氏はさらにCDO Club Japanが今後注力していくアプローチとして以下のように語った。

 「われわれが特にコミットしようとしている事柄もまた3つあります。1つ目はグローバル連携を広げ、深めていくこと。今日、CDO Club IsraelのKama代表が登壇してくれるのも、連携の第一歩です。各国の実態を知り、お手本にしていくことで日本のDXをさらにドライブしていきたいと考えています。2つ目は、このグローバル連携を進めていくためにも2019年中にG20ならぬ『デジタル20』を日本で開催すること。そして3つ目が、企業のみならず行政機関にもどんどんCDOを生み出していくため、支援活動を行っていくことです。今日は経済産業省と内閣府からご登壇をいただきますが、先進各国のように各省庁や自治体にCDO的な役割が定着するようになれば、官民でDXを加速していくことができる。そう信じています」

 以上のビジョンを加茂氏が掲げた後、サミットの全12セッションがスタートした。


デジタルファースト、データ資源大国へ

 行政サイドから登壇したのは、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室の柴﨑哲也参事官と、経済産業省大臣官房総務課の西野智博課長補佐の2人。

 柴﨑氏が示したのは、今後の人口減少による「産業の担い手」不足と、OECD加盟35カ国中21位に甘んじている労働生産性の低さという日本の課題。この国家的課題を解決すべく、利活用の進んでいないITおよびデジタルサービスを活性化しようというわけだ。その現れがデジタルファースト法案作成の動きや、「データ資源大国を目指す」という目標設定。平井卓也IT担当大臣が就任前にリードして策定した「デジタルニッポン2018」(自民党IT戦略特命委員会)の中では、現行のCIO制度だけでなく、「データ資源オーガナイザーとしてのCDO」設置に関する提言がなされていることを紹介した。

 西野氏のセッションでは、ハイパーグローバリゼーション、AIやIoT技術などによる第4次産業革命、高齢化などによる社会の揺らぎにより、世界規模で変化が連鎖していることに言及。特に第4次産業革命により、企業のビジネスモデル変化やイノベーションのスピード化が進む中で、官民でのDXの推進やイノベーションを支える人材の育成システムの変革などを進める必要があることを示唆。変化の連鎖に対応するため、経済産業省として、産業・通商・地域政策の一体的な推進を軸に、以下の5つの政策の柱を提示。

第1の柱:データを核としたオープンイノベーションの推進によるSociety5.0の実現
第2の柱:新たな「ルールベース」の通商戦略
第3の柱:地域・中小企業の新たな発展モデルの構築
第4の柱:エネルギー転換等を通じた環境と成長の好循環
第5の柱:成長と分配を包括した新たな経済社会システム

 デジタル関連の施策として、例えばデータの越境移転に関わるルール設定や、IoT普及に伴うサイバーリスク増大への対策、デジタルガバメントなどが挙げられ。


イスラエルとの共創プラットフォーム「IJIP」

 来日中のCDO Club IsraelのAmit Kama代表によるセッションでは、先日のJBpress Digital Innovation Reviewのインタビュー(参照記事「イスラエルのスタートアップと日本企業をつなげるプラットフォームが誕生」)でも示してくれたように、世界の約350社がイスラエルにデジタルラボを据え、国内には約2万5000社ものスタートアップが切磋琢磨を繰り広げる活況ぶりが提示された。

 さらにこの日、CDO Club Japanの海外事業局長である鍋島勢理氏も登壇。以前、自らJBpress Digital Innovation Reviewに寄稿(参照記事「デジタル分野でイスラエルがなぜ注目される?」)してくれたイスラエルにおけるデジタルの取り組みについても報告がなされた。特に注目すべきは、Kama氏、鍋島氏の両者が示した「IJIP(イスラエル日本イノベーションプラットフォーム)」。

 イスラエルのスタートアップエコシステムと日本の大企業とを結ぶオープンイノベーション推進を軸にしながら、双方の変革・躍進を両国のCDO Clubが全面サポートしていくというものだ。サミット冒頭で加茂氏も海外連携の推進を宣言し、経済産業省の西野氏からも越境による取り組みの重要性が示された。どうやら2019年以降は、クロスボーダーなDXの話題が増えていくことになりそうだ。

 後編では、日本企業のCDOとして活躍中の登壇者たちによるセッションや、パネルディスカッションの概要などを中心にお伝えする。

▼後編の記事はこちら▼
「CDO Summit Tokyo 2018 Winter」取材レポート (後編)
日本のデジタルトランスフォーメーションはどこへ向かう?

筆者:森川 直樹

JBpress

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