デキる人は「考えてみます」とは言わない

1月17日(水)9時15分 プレジデント社

木部智之『複雑な問題が一瞬でシンプルになる2軸思考』(KADOKAWA)

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デキる人は、何事も素早く決断できます。なぜそんなことができるのでしょうか。日本IBMでエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャーを務める木部智之氏は、「『判断』と『決断』は違う。即断即決をするにはコツがある」といいます。ムダなことを考えずにすむコツとは——。


※本稿は、木部智之『複雑な問題が一瞬でシンプルになる2軸思考』(KADOKAWA)を再編集したものです。


■ムダなことを考える時間を減らす


よく経営戦略で「選択と集中」が重要だということが言われますが、これは思考においても同様です。


考えるときは、そこから重要なものだけを「選択」し「集中」して掘り下げていきます。


このとき一番良くないのが、「なんとなく全部を考えること」。これは、完全に時間のムダです。


思考できる時間が1時間しかないとしたら、


・ムダな検討にまで時間を費やすのか?

・効果の高い重要なことだけに集中するのか?


答えは明らかですね。


ムダなことを考える時間を減らすことによって、仕事の成果が大きく変わってきます。


■「選択と集中」は、「ぬり絵」で考える


思考するときの「選択と集中」を考えるとき、私はよく「ぬり絵」のイメージを使います。


これは私が「2軸思考」と呼んでいる思考法のひとつでもあります。「2軸思考」とは、2軸(タテ軸とヨコ軸)を使って、さまざまな問題をシンプルに整理する方法です。


例えば、ある商品の東京、大阪、名古屋、福岡の売上データについて、「売上の伸び悩みをどう解決するか?」をテーマに考えなくてはいけない場合を例にしてみましょう。


ここではタテ軸を「事象、課題、アクション」、ヨコ軸を「東京、大阪、名古屋、福岡」の2軸を使って整理してみます。



2軸で表したときに、明らかに売上が伸びている大阪、名古屋については「考える必要がない」と判断し、課題とアクションをグレーにぬりつぶしました。


その結果、残りの東京と福岡の課題とアクションに「思考を集中する」という結論が導き出されます。


4都市をじっくり考えるよりも、2都市だけに絞って考えるほうが、単純に思考時間は半分になります。また、思考時間をそのままにするなら、2都市について、じっくり時間をかけて深掘りすることができるということです。


ここにあげたのは、かなり単純化した例ですが、現実にある複雑な問題を考えるときも、基本は、これと同じです。


2軸で表した図の中で、いま考えるべきではない枠をグレーでぬりつぶしていけば、枠の中に重要度の濃淡がつき、考える必要のない部分が「見える化」されていくのです。



■「ぬり絵」方式のスケジュールだから、新規の予定も即断即決


ちなみに私は、自分の1週間のスケジュールもぬり絵で考えています。


手帳の見開きが1週間の「全体像」です。


この中で、まず定例ミーティングですでに埋まっている時間帯をグレーでぬりつぶします。ここには当然予定を入れられないので、「ないもの」と考えます。


反対に重要なミーティングを違う色でぬりつぶすと、それが際立ちます。結果、その直前にはできるだけ他の仕事を入れないよう、注意することができます。


よく、重要なミーティングの前に他のミーティングを入れてしまって十分に準備ができないまま臨んでしまう人がいますが、それは1週間の中の時間の濃淡を把握しておらず、適切なペース配分ができていないことが原因です。


この運用にしていると、あとから入ってきた新しい打ち合わせなどを調整する場合、調整可能な時間帯とそうでない時間帯がパッと見てわかるので、予定が立てやすくなります。


これも即断即決をするための一種のコツといえるでしょう。



■「何を考えればいいのか?」と悩む時間がなくなる


人は、やることが明確な場合は、すぐに行動できます。しかし、「何をしたらいいか」がわからないときは、手が止まってしまいます。


よく、重要な難しい仕事を後回しにして、メールの返信や簡単な仕事ばかりで1日が終わってしまっている人がいますが、それはある意味「自然な」行動と言えます。


そして、これは、思考においても同じです。


動き出せないときは、「考えるべきこと」すら整理されておらず、「何を考えればいいのか?」がわかっていないのです。


こういうときこそ、2軸で考える枠を決めてしまえば、驚くほど悩む時間が少なくなります。


枠さえ作ってしまえば、あとはその枠に沿って中身を埋める「作業」をするだけです。


さらに、いままで無意味に「悩んで」いた時間を枠の中で「考える」時間に回せるので、その時間の分、より深く考えることができるようになります。



■全体像をとらえるからこそ、即断即決が可能になる


「これは考えない!」と切り捨てることが、ちょっと不安だという人もいるかもしれませんね。


ですが、初期段階で全体を捉えた上で、思考の範囲の「選択と集中」をしているので、不安に思う心配はありません。


2軸のフレームワークを使わずに思考すれば、「考慮モレがあるのではないか」「想定外のことが起きないか」という不安が残るかもしれませんが、2軸思考で考えてからの判断であれば、「これで判断が間違っていたならばしょうがない」「考えうることは考えた」という自信を持つことができるはずです。




木部智之『複雑な問題が一瞬でシンプルになる2軸思考』(KADOKAWA)

話は少しそれますが、「判断」と「決断」は違います。


「判断」とは、右がいいのか左がいいのか、状況やデータから「考える」こと。例えば、A〜Eの5案あったら、それらのうちのどの案が最適かを検討することです。


一方、「決断」とは、「明確な意思を持って決める」ことです。右と左で右のほうがいいだろうと「判断」したあとに、右に行く! と「決断」するのです。


「決断」には勇気と覚悟が必要で、責任が伴います。人間誰しも本当に右でいいのか、実は左のほうがいいのではないか、といった不安にかられます。そして、右に行こうが左に行こうが、その結果責任は決断した人にあります。だからこそ、決断には勇気と覚悟が必要なのです。


その決断をするときに、「ここまで考えたのだから……」という後ろ盾となってくれるのが、2軸思考なのです。


決断することに苦手意識のある方は、ぜひ、2軸思考のアプローチを取り入れてみてください。


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木部 智之(きべ・ともゆき)

日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャー。横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年に日本IBMにシステム・エンジニアとして入社。2017年より現職。著書に『複雑な問題が一瞬でシンプルになる2軸思考』『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』(以上、KADOKAWA)がある

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(日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャー 木部 智之)

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