相場展望1月20日号 金融相場でバブルが膨らみ続け、米株の独り勝ちでダウ3万ドルも

1月20日(月)8時45分 財経新聞

■I.米国株式市場
●1.米国株はバブル相場の様相が強まり、NYダウ3万ドルも
 1)FRB(米連邦準備制度理事会)等の金融緩和((1)利下げ (2)量的)で、世界の株式相場は米国株式を筆頭に大幅上昇するという金融相場が続いている。

【前週は】相場展望1月13日号 「米イラン対立は『攻撃』ではなく、『口撃』の範囲で市場への影響は限定的」だが注意

  金融緩和に支えられて、僅かな好材料に株価は反応し、悪材料は無視する相場の流れが続いている。すでに、SP500のPER(株価収益率)は高水準の18倍台を継続しており、経験則によると、これを上回るPERの上昇は望みにくい状況に入っている。

  EPS(1株利益)の2020年度の上昇は約+5%程度と予想されるが、2019年度並みの大幅な利益は期待薄である。よって、何かの悪材料に株価が敏感に反応する状況に転換する可能性もあり得る。

 2)1月は投資ファンド等の新年度入りの買いと、昨年終盤にあった「損切と益出しの抱き合わせ売り」に対する買戻しもあり、米国株式は上昇しNYダウは3万ドルが射程内に入ってきた。

 3)過去の経験則からは、(1)上記の買い一巡後と (2)決算発表がヤマを越える来週以降は、売られやすい環境に転換する可能性がでてきた。

●2.米中は1月15日に「第1段階合意」の署名式を行ったが、対中関税のさらなる引き下げは無いと高官が発言

 *「第1段階合意」とは、(1)中国が米農産品などを大量購入し、(2)米国は対中関税の一部軽減すること。

 1)ライトハイザー通商代表(USTR)とムニューシン(財務長官)は「今回の調印内容において、さらなる対中関税の引き下げは無い」と発言。
  ⇒ 1月14日のNYダウは上昇していたが、この発言によって上昇幅を縮小し小幅続伸となった。

  トランプ大統領は15日に、「第2段階合意まで関税引き下げは無い」と追認。

 2)また、追加引き下げの有無は、中国による「第1段階合意」の順守状況次第だと、関係者が明らかにした。

 3)この第1段階合意について、米民主党の院内総務のシューマー上院議員は「弱い合意は害を及ぼす」と批判し、米産業界からも不満の声がでている。

 4)批判に対して、トランプ大統領は今年11月の米大統領選に向けた選挙対策材料とみれば、これで「良い」としているのだろう。

●3.トランプ大統領と周辺にインサイダー疑惑が発生
 1)米軍によるイランのソレイマニ司令官爆殺を、トランプ大統領がフロリダの別荘「マールアラーゴ」の招待客に対し、この軍事行動の可能性を話していたとの報道があった。

 2)この報道を受けて、米民主党の上院議員はこの攻撃を事前に知っていた可能性がある複数の人物に関連し違法取引の有無を調査するよう証券取引委員会(SEC)と商品先物委員会(CFTC)に要請した。

●4.米減税を示唆
 1)クドロー国家経済(NEC)委員長は「年後半に減税を予定」と発言。
 2)それを材料に、15日のNYダウ+90ドル上昇。

●5.米ボーイングは2019年納入機数で世界首位陥落
 1)ボーイング737MAXの運行停止と納入停止が影響し、欧州エアバスにトップを奪われ大敗北を喫した。2019年の納入機数は、ボーイング380機、エアバス863機。

●6.米12月の小売売上高は予想通り
 1)米12月小売売上高は予想に一致した前月比+0.3%増と堅調。
 2)年末商戦も前年同月比+4.1%増と、消費は増加。

・続いて、「中国市場」の分析へ■II.中国株式市場
●1.中国新車販売は2年連続で前年を下回り、消費減速
 1)2019年の新車販売は2018年から▲8.2%減少して2,576万台となった。18ヶ月連続のマイナス。
 2)2020年も販売台数は▲2%程度の減少が続く厳しい状況が続くという見通しを業界幹部は示す。

●2.米中通商交渉「第1段階合意」でも中国経済へのプラス影響は小さい
 1)米国が「11月の米大統領選挙後まで対中国関税を維持する見通し」との報道あり。この通りなら、中国の対米輸出増加は期待できず、生産は現状維持で、中国経済にとって「第1段階合意」はさほどプラスとはならない。

 2)この合意で中国が得たものは、(1)国有企業等への補助金問題 (2)合弁会社の強制 (3)中国市場への中国外からのアクセス限定などは、共産党一党支配による国家資本主義を目指す中国政府・共産党が死守したい核心的問題であり、11月以降に先送りできたこと。

 3)中国の劉鶴副首相の発言「米国の農産物の輸入は市場原理に基づいて行う」があった。この発言は、約束が守らない場合に用意した「言い訳」のように聞こえる。

 4)11月の大統領選挙でトランプ敗北ならば、中国は逃げ得となる可能性がある。また、米民主党の対中国観は強硬だが、バイデン民主党候補は孔子学院から支援を受けるなど親中国派とも言われている。

 5)この合意の疑問点は、果たして中国は約束を守るか?だ。

  例えば、米国からの2017年の輸入額1,870億ドルに対して1年間で53%上積みの+1,000億ドル増加(2年間で2,000億ドル)させるという非現実的と思える約束をしたことになる。
(1)むしろ、内需が低迷する中国が実際に米国から膨大な輸入拡大が出来るか?
(2)また、約束履行のために、現在の米国以外の国から輸入削減が出来るか?
といった疑問がある。
(3) さらに、過去に同じような約束を、中国が果たさなかった事実があるからだ。

 6)米国としては「合意」を順守させるために、対中制裁関税は一部しか軽減しなかったと思われる。現時点の対中制裁関税適用は合計3,700億ドル分で、内訳は下記の通り。
(1)第1〜3弾: 2,500億ドル分の25%関税率の適用は維持 
(2)第4弾 : 1,200億ドル分のみ現在の15%関税適用を7.5%に軽減する

  つまり、米国は現行の関税総適用額から僅か▲90億ドル(約990億円)の低減と引き換えで、中国に対して2年間で2,000億ドル分(約22兆円)の農産物等の販売予約を勝ち取ったとも言える。ただし、これは中国が約束を順守した場合で、約束を反故にした場合は別となる。

 7)よって「第1段階合意」は関税の大半が維持されるため、関税引き下げによる生産増は期待できないため中国の景気の先行きには慎重な見方が多い。

●3.2019年の中国経済成長率は6.1%にとどまり、経済の減速が一層鮮明に
 1)中国国家統計局が17日発表した、国内総生産(GDP)は6.1%と29年ぶりとなる1990年以来の低い伸び率となった。2018年成長率からは▲0.5%減。

 2)これは長期化している米国との対立を背景に、輸出が伸び悩み、製造業の設備投資が抑えられたほか、新車の販売台数が2年連続で前年を下回るなど、中国国内の消費が減速したことなどによる。

・続いて、「日本市場」の分析と「注目銘柄」へ■III.日本株式市場
●1.日本株はイベント終了で海外系短期筋のハシゴ外しが始まる可能性あり
 1)米中通商交渉の「第1段階合意」が米ワシントンで1月15日に署名した。
 2)イベント終了で海外系短期筋ヘッジファンドのハシゴ外しが始まる可能性がでてきた。

   ・ゴールドマンサックス(GS)が先物市場で10〜17日に大量の売り浴びせをした。
      GS先物売残 = 1月7日 ▲12,296枚売残 ⇒ 1月16日 ▲31,261枚売残
   ・反対に、クレディ・スイス(Cスイス)は1月9日から買い越しに転換している。
      Cスイス先物買残 = 1月8日 +12,352枚買残 ⇒ 1月14日 +21,370枚買残
   ・ただ、海外先物買残の合計枚数は、ほぼ横這いながらも外資のなかで跛行色がでてきたことに注目。
      2019年12月19日 +337,836枚買 ⇒ 2020年1月16日 +326,979枚買
 3)海外系による米株価と連動してきた日本株買いは、現在の先物で高水準にある買いポジションを考慮すると、今後は海外勢による買い上がりは期待できないだろう。また、企業の決算発表シーズンにあるが、この後は材料で尽くしで海外勢の売り転換を警戒したい。

●2.日経平均が上昇するには、今まで売り越しを継続してきた国内勢の買い越しへの転換が必要
 1)米国株が堅調を続けるならば、たとえ外資系が売り越しに転換しても、国内勢が買い越しに転じれば日経平均は24,500円を目指す可能性がある。
 2)日経平均は、外資系に買い増しの余力が小さいと思われるので、米国株の上昇に対して上昇率が鈍くならざるを得ない。

●3.ドル円が年初の円高から円安に振れた理由
 1)1月3日の米軍によるイラン革命防衛隊司令官爆殺で、中東の地政学リスクが発生したため、円買いが発生し、107.60円まで、円高が進んだ。
 2)しかし、1月8日のトランプ大統領は「軍事力を使いたくない」と述べ、両国の武力衝突の懸念が後退した。
  そのため、年初は低リスク通貨とされ円高に振れたが、トランプ発言で逆に巻き戻しが膨らみむという反動がでて、110円前半まで円安が進んだ。

●4.海外短期筋のヘッジファンドの日本株の買い余力は昨年比で縮小が予想できるので、今後のカギは?
 1)「NT倍率」(日経平均÷東証1部の全銘柄を対象とする東証株価指数(TOPIX))は1月17日に13.85倍で、2019年10月28日の13.87倍以来の3ヶ月ぶりの高水準だった。これは、「短期志向の海外勢が日経平均先物を中心に買いを入れて相場を牽引している」ことで起こる現象。

  ということは、「中長期志向の機関投資家による買いは本格化していない」と言えるので、現在の日本株は海外短期筋が主導する相場になっているという証でもあり、脆弱な基盤の上に立つ日経平均株価と言える。

 2)今後の相場のカギは、
(1)ドル円の110円台と日経平均の24,000円台がキープできるかどうかは、米国と中国の株価次第か?
(2)日経平均24,000円台キープのカギは、先物市場でリード役のCスイスの買いが継続するかどうか?
(3) 国内勢の買い越し転換?

■IV.注目株式(株式投資に際しては自己責任でお願いします)

 ・6113 アマダ  業績は堅調、12月の工作機械受注が3ヶ月ぶりに改善。
 ・6758 ソニー  画像半導体が絶好調。世界シェア51%を60%にするため長崎・諫早で1,200億円投資中。
 ・6701 NEC   IT投資増の恩恵を受ける。
 ・6702 富士通  同上。
 ・6962 大真空  水晶デバイスが好調で営業利益増を期待。
    *上記株式は、株式市場が全体的に弱くなった時点が買いのタイミング。

財経新聞

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