イオン岡田家の「これから」 社長交代と消えては浮かぶ「世襲」

1月26日(日)11時0分 J-CASTニュース

23年ぶりの社長交代が発表された(イオン公式サイトより)

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流通大手のイオンのトップが23年ぶりに交代することになった。2020年3月1日付で、創業家出身の岡田元也社長(68)から、吉田昭夫副社長(59)にバトンタッチすると、1月10日に千葉市・幕張の本社で両氏が会見して発表した。ネット通販の台頭で流通業界の競争が激化する中、不振の総合スーパー(GMS)事業の立て直しやデジタル化への対応などの課題に、若返りで立ち向かう。

岡田氏は代表権のある会長に就く。「ほとんどのことは吉田社長(に任せる)。私は長期戦略を中心に、さらなるグループ力を発揮できるようにしていきたい」と述べており、強力な院政を敷くわけではないようだが、具体的に、吉田氏とどのように役割分担するのかは、今後の注目点だ。




巨大流通グループの曲がり角




創業者の岡田卓也・名誉会長(94)の長男である元也氏は、1979年にイオンの前身のジャスコ入り、97年に社長に就任。M&A(企業の合併・買収)による事業拡大を推進し、2013年に経営再建中だったダイエーを子会社化したほか、地方スーパーなども次々と傘下に収め、グループ店数は国内外で約2万2000店に達する。



ただ、地方の郊外店は過疎化、高齢化にさらされ、食品や衣服などを幅広く取りそろえるGMSの苦戦が目立っている。これを見越し、専門店を多くテナントに構えるイオンモールの出店に力を入れ、また金融を含めた事業の多角化も進め、売上高8兆超の業界最大手に育てた。しかし、ユニクロやニトリといった専門店、アマゾンや楽天といったネット通販の台頭もあり、GMSはもちろん、モールの魅力も薄れてきているのが実情だ。



その収益構造をみると、巨大流通グループが曲がり角に来ている実態が鮮明になる。ライバルのセブン&アイ・ホールディングスと比べると、イオンは2019年2月期の営業収益(売上高に相当)約8兆5000億円の36%を占めるGMS部門と同38%を占めるスーパーマーケット(SM)事業が営業利益ではそれぞれ5.4%と12%しか稼げず、営業収益4.2%のデベロッパー部門と同5.1%の総合金融部門がそれぞれ営業利益の26%と33%を占める。一方のセブン&アイは、全体の6兆8000億円の営業収益のうち、国内コンビニ部門はロイヤリティ収入が中心のため14%を占めるに過ぎないが、営業利益の60%を稼ぎ出す。営業収益の28%を占めるスーパーストア(GMSを含む)は利益の5%、さらに金融関連部門が利益の13%となっている。セブン&アイも多くの課題を抱え、これにイオンが絶対的に劣っているというわけではないが、セブン−イレブンのような圧倒的な強みがないのが泣き所だ。




新体制の課題




そんな構造を踏まえてのことなのだろうか、トップ交代の発表会見で岡田氏は「イオンの成長スピードが落ちていて、固定化してきた。近年では大きな統合もない。新しい成長モードに切り替わっていかなければいけない」「イオンが大きくなり、決めない、踏み込まない、リスクを取らない傾向が強くなっていた。それを(吉田氏に)変えてもらう」と率直に語った。



吉田次期社長は1983年にジャスコに入社。2019年3月から副社長として現在の稼ぎ頭である不動産事業を担い、ショッピングセンターを運営するイオンモール社長を兼務するとともに、デジタル担当として次世代の小売り事業のあり方を追求し、英国のネットスーパー「オカド」との提携を主導した。



新体制の課題は大きく、デジタル化とGMS・SM立て直しの2つ。スーパーについては「顧客と現場の商品にギャップがあると客が減り、売り上げが落ちる」(吉田氏)として、傘下の食品スーパーの再編を進めて地域のニーズに合った品ぞろえを図るなどの改革を進める考えという。



デジタル化では、提携したオカドが持つロボットを駆使した物流のノウハウを生かす考えだが、ネットスーパー向けの自動倉庫の建設は2023年、ネットスーパー事業の売上高目標も30年までに6000億円というように、将来を見据えてようやく本格的に取り組み始める段階といえ、いかにスピードアップしていけるかがポイントになる。



少し長い目で見た注目点として、世襲問題もある。今回の交代について、「(社長在任が)長くなったのは恥じ入るばかりだ」「ずっと死ぬまではやれませんから、交代は(社長に)なった時から思っていた」と語った。交代のタイミングに「意味はない」としたが、関係者が関心を寄せるのが長男尚也氏(36)の存在だ。外資系金融機関を経て2015年にイオンに入り、現在は、フランス発祥のオーガニック食品を扱うグループ内のスーパー、ビオセボン・ジャポンの社長を務める。父・元也氏はかつて、「世襲のメリットはない。創業者一族による世襲は自分限りで終わらせる」と断言していたが、今回の会見では「本人(尚也氏)がどういう風に考えるかもわからないので、なんとも答えようがない」と述べるにとどめた。尚也氏への禅譲もあり得るとの方向に軌道修正したと受け止められている。

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