「気をつけの格好=よい姿勢」は大間違い…意識が高い人ほど陥る「最悪な姿勢」を手のひらでチェックする方法
2025年2月8日(土)16時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/justocker
※本稿は、丸山ゆ利絵『初対面から信頼関係を築く 第一印象の磨き方』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
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■「大事なときだけ姿勢をよくする」は大間違い
姿勢は人の輪郭のようなもので、その人のイメージを素直に伝え、相手の最初の判断に大きな影響を与えます。たとえば「信頼できる人」をイメージしてみてください。背筋が伸び、しゃんと立った人物像を思い浮かべませんか?
姿勢はとにかくよいに越したことはありません。姿勢には「体の構え」、もうひとつ「物事への取り組み方や態度」という意味があり、昔から姿勢とその人間の考え方やあり方は同一のもののように自然にとらえられていたのでしょう。
エグゼクティブプレゼンスのトレーニングでは、リーダーとしての安定感や頼りがいにも通じることをお伝えしています。それくらい大切なのです。
ところであなたの姿勢はどうでしょうか。もし「自信はないけど、いつも姿勢よくするのは大変。大事なときだけ気をつけよう」などと思っていたら大間違いです。
よい姿勢とは、単純に言うと、まっすぐ伸びた身体の上に頭が乗っている状態です。かかとをつけてヒザを伸ばし、骨盤を立て、背筋をまっすぐにし、最後に首をまっすぐのばす、というように各ポイントに少し力を使うだけです。
■きれいな姿勢は身体で理解させないと身につかない
まっすぐの状態がわからなければ、壁に背中をつけて、後頭部、肩の後ろ、お尻、かかとの4点が壁につく感じを覚えてください。毎日気をつけていれば、最初は多少大変に感じても、だんだん重心の掛け方や筋肉の使い方を体が理解し、伸びやかなきれいな姿勢になります。
逆に言うと、慣れることによって身体で理解していかないとよい姿勢を身につけるのは難しいです。最初はもとの姿勢のほうが楽に感じるので、生半可なやり方ではあっという間にもとに戻るからです。
「大事な時だけよい姿勢にする」はまず不可能です。信頼されるようなよいイメージの姿勢になるには今日から慣れ始めてください。
■意識が高い人が陥る「よい姿勢」はただの「反り腰」
よい姿勢のつもりでがんばっても見た目の信頼につながらないばかりか、体に悪い影響が出るかもしれません。それを防ぐには正しい姿勢を理解することから始めましょう。
弊社のトレーニングでお会いする人に、「よい姿勢をしてみてください」というと、胸を張る格好をする人が少なくありません。いわゆる「気をつけ」の格好です。
「気をつけ」はよい姿勢ではありません。小学校の体育などでインプットされてしまったせいか、意識が高い人に限って、ここぞというときには胸をがんばって張り、背中を反らします。残念ながら、これらのほぼすべての人が「反り腰(そりごし)」の状態になっています。
「反り腰」とは、文字どおり腰が強く反っていて、骨盤が前に傾いた状態です。背骨は正常でもゆるくS字カーブを描きますが、反り腰はそんなレベルのカーブではなく、乳房から下の胃あたりの部分が前に出て、後ろは腰が始まるあたりを強く反らすことでお尻が突き出たようになります。
前のほうで解説した姿勢のチェックでは、壁に後頭部、肩の後ろ、お尻、かかとの4点をつけましたが、そのとき腰のあたりに自分の手を通してみてください。手のひら2枚以上の空間があるようなら反り腰の疑いがあります。
できれば医療整体などの専門家に一度見てもらってください。そのままだと悪い影響があるからです。
写真=iStock.com/PeopleImages
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■間違った姿勢は身体の負担やトラブルにつながる
反り腰の状態が高じると、お腹ぽっこり、出っ尻体型など、見た目の印象にいいことがまるでありません。見た目だけでなく、背骨や腰、ヒザなどに負担がかかるため、痛みや湾曲などのトラブルの原因となることもよくあります。
外に出て動くことが多い人、逆に座り仕事が多い人は悪い影響が出やすいので気をつけてください。
よい姿勢をしようとする人にトラブルを起こす何とも悔しいこの勘違い、あなたもしていたらすぐやめてください。
■日本人はヒザが曲がりやすい
姿勢をよくしたいと思うと、上半身の背筋にまず意識がいくと思いますが、じつは下半身もとても大事です。下半身が伸びていないと、姿勢に気をつけても見た目がそれほどよくなりません。
しかし、意外と多くの人が、ヒザを自然に曲げたような立ち方をしています。下半身がこのようにどこかゆるんだ感じになっていると、その人の印象自体も頼りなく感じてしまうので、見るたびにもったいないと思います。あなたもぜひご自分のヒザに気をつけてください。
日常ヒザを曲げて立つ習慣になっている人は、洋服の生地に無理をさせることになります。その結果、はいているパンツ(ズボン)を見るとヒザのあたりだけ布地が伸び、まわりに変なシワが寄っていることが多いのです。
衣類も痛みますし、せっかくよいスーツなどを購入しても、すぐ形がダメになって損をします。そして何度も言うように見た目が頼りなくなります。
写真=iStock.com/kazoka30
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じつは日本人はヒザが曲がりやすい傾向にあるようです。
伝統的にヒザを曲げて畳に座る生活習慣があったことや、和服にはヒザをニュートラルにして腰を少し落とした格好での振る舞いが合っていたことなどから、現代に生きる日本人にも影響が残っていることが考えられます。骨格の特徴も影響しているかもしれませんね。
■見た目で誠実かつ信頼できるフォルムはこれ
私たちが悪いわけではないのですが、今はみな洋服を着ている時代なので洋服に合わせた姿勢を意識しないと、印象はよくなりません。
初対面や人前に立つシーンなどで姿勢を整えるときは、足元のかかとをまずきちんとつけてください。そのうえでヒザをできるだけ伸ばして、上に向かって伸びるイメージで立ってみましょう。見た目で誠実かつ信頼できるフォルムになりやすくなります。
もし、あなたが今まで自分の姿勢に自信がなかったのであれば、背筋とともにヒザを伸ばすだけでも印象が大きく変わります。
■印象のよい歩き方、悪い歩き方
人の輪郭である姿勢が最初にその人のイメージを形成するように、歩き方も印象を左右します。人に歩み寄るときやプレゼンなどで前に出ていくとき、その歩き方は真っ先に他人の目に入ります。
歩き方は、性格や知性まで人に感じさせ、人物として好ましいかどうか、信頼できるかどうかについて周囲から無意識に評価されるときにも影響します。正しい歩き方にぜひ関心を持ってください。
写真=iStock.com/key05
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/key05
印象のよい歩き方をひと言で言うと「人間が本来そう歩くようにつくられている、理にかなった歩き方」です。一度に説明するのは難しいですが、まずはポイントを3つ覚えておいてください。それは、腰・ヒザ・つま先です。
まず、腰から大腿部にかけての筋肉をしっかり動かして歩くことです。歩いている姿が腰からきれいに伸びているように見え、堂々と美しい様子になります。
反対に、腰やモモをあまり使わず、下のほうだけちょこちょこ動かすような歩き方や足をひきずるような歩き方になっていると、小物感漂うカッコ悪い歩き方になります。
そして、地面についているほうの足のヒザを伸ばして歩いてください。これが曲がると、決してきれいな歩き方にはなりません。しっかり歩いているつもりでも、どこかくたびれた歩き方になってしまいます。
■つま先はやや外側に向けて歩き、着地はかかとから
丸山ゆ利絵『初対面から信頼関係を築く 第一印象の磨き方』(日本実業出版社)
つま先はやや外側に向けて歩きます。つま先が内側に向いてしまうと、重心のバランスが崩れ、重心が外に逃げやすくなります。ただし、ヒザをきちんと伸ばして、足運びをまっすぐにしないとガニ股になってしまうので注意してください。
足を地面におろすときは、かかとで着地することも忘れないでください。メリハリが効いた歩調になります。
なお当然のことですが、悪い姿勢から正しい歩き方は生まれません。ふだん背が丸まっていたり、骨盤が倒れているような立ち方をしている人は身体にも悪いので、よい姿勢も併せて意識して、誰もが信頼できるような歩き方になってください。
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丸山 ゆ利絵(まるやま・ゆりえ)
日本初のプレゼンス・コンサルタント
アテインメンツ合同会社代表。五つ星ホテルやエグゼクティブビジネスクラブ経営会社で社長秘書など要職を歴任。一流と言われる財界人と交流を持つ。その中で上に立つ人の資質・リーダーシップの重要要素とされる「エグゼクティブプレゼンス」を研究し、印象コントロール、コミュニケーション力、自己設計の3つの分野から成る修得方法を体系化。2010年からエグゼクティブプレゼンスの企業研修や個人トレーニングを提供し始め、今日まで国内有名企業や多国籍企業の経営幹部2800人以上に指導を行う。著書に『「一流の存在感」がある人の振る舞いのルール』(日本実業出版社)などがある。
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(日本初のプレゼンス・コンサルタント 丸山 ゆ利絵)