歯磨きは"朝食後"より"起きてすぐ"がいい

2月10日(土)11時15分 プレジデント社

写真=iStock.com/Wavebreakmedia

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加齢が引き起こす体の不調。放置していれば、取り返しのつかない事態を招くこともある。「プレジデント」(2018年1月1日号)より、9つの部位別に、名医による万全の予防策を紹介しよう。第1回のテーマは「歯」——。

■なぜ毎日歯磨きしても虫歯になるのか


毎日、歯磨きしているにもかかわらず、虫歯歯周病で歯を失う人は後を絶たない。なぜだろうか。




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「歯の健康を考えたとき、歯磨きは最重要事項ではありません。日頃の食生活や生活習慣、歯医者などでのケアを定期的に行っているかどうかのほうが、ずっと大切です」


こう語るのは、『歯科治療費800万円節約術』などの著書がある、歯科医の吉岡秀樹氏だ。吉岡氏によれば、歯は30代半ばあたりから老化が顕著になるという。


「その前から歯は徐々にもろくなっていきますが、症状として表れてくるのが30代半ば以降ということです。厚生労働省の調査では、30代後半から40代前半になると28〜32本ある天然歯のうち、平均12本程度が何かしらの治療を受けているそうです。ただ歯を磨いているだけでは、虫歯は予防できないのです」


■いくらお金をかけても、天然歯以上にはならない


治療を受けた歯は、もちろん一時的には生活に支障をきたさなくなるだろうが、治療前と全く同じ状態に戻るわけではない。吉岡氏に言わせればそれは“歯のリフォーム”にすぎず、いくらお金をかけて治療したとしても、天然歯以上の歯にはならないという。


「1本あたり40万円程度かかるインプラントですが、10年後も歯槽から脱落せずに残っている確率は90%程度。一方、痛みや炎症などの問題もなく、しっかり機能しているという成功率は60%程度に下がります。仮に85歳までに20本ほど歯を失い、全歯をインプラントに差し替えたとすると、40万円×20本でおおよそ800万円。しかも、その機能は天然歯に及ばないのです」


そもそも、虫歯や歯周病の原因は何なのか。


「口内のバクテリア(細菌)ですね。虫歯は歯が溶けていく病気で、歯周病は歯を支える骨が溶ける病気ですが、どちらも原因は同じです。歯のセルフケアの基本はバクテリアを減らすこと。歯磨きも、歯の間に詰まった食べ残しを取ること以上に、バクテリアを減らすことが目的なのです。また、口内環境が悪いと、震災などの災害時の死亡原因のひとつでもある、誤嚥性肺炎を起こしやすくなります」


虫歯や歯周病の予防はバクテリアを取ることよりも、“バクテリアが増えにくい体質になる”ことに重きを置いてほしい、と吉岡氏は続ける。「そのために必要なセルフケアは、食生活、唾液、歯のメンテナンスの3つです」



■ラーメンならチャーシューメンにする


「食生活」については、吉岡氏は「MEC食」を推奨している。「MEC食」は、医師の渡辺信幸氏が提唱する食事法。MEAT、EGG、CHEESEの頭文字から取っており、肉、卵、チーズを積極的に摂るということだ。


「歯の健康を考えたときに、必要な栄養素はタンパク質、鉄、亜鉛、ビタミンB群、脂質などです。これらの栄養素を意識的に摂っていくことで、虫歯や歯周病になりにくい体質になることができます。これらの栄養素を効率的に摂るために、わかりやすいのがMEC食なのです」


ビジネスパーソンであれば、昼食はコンビニ弁当や外食で済ませるという人も多いだろう。そのメニューを選ぶ際、ラーメンならチャーシューメンにする、牛丼なら卵を追加する、パスタならカルボナーラにする。少しでも「肉、卵、チーズを食べる」ということを意識してほしい。


■せめて噛むときは箸を置く


次に大切なのが「唾液」だ。唾液の中にはリゾチームやラクトフェリンといった天然の抗菌成分が含まれている。唾液の量が多ければ、それだけバクテリアの繁殖を防いでくれるのだ。


「口の中はpHが中性であるのがベストです。唾液の量が多く、質もいい人は、中性に保つ能力が高い。また唾液が多いと口臭も少なくなります」


水分摂取量の少ない人、コーヒーや緑茶、ウーロン茶などを水代わりに飲んでいる人は、カフェインなどの影響を受けて唾液が出にくくなる。また、あまり噛まずに食事をしている人や、普段上下の歯を接触させる癖(TCH)や、噛み締める癖がある人も唾液が少ない傾向にあるという。


「唾液の量が少ない人ほど唾液の質も悪くなりやすいと感じます。唾液も亜鉛不足やタンパク質不足など、栄養面での偏りが影響するので、MEC食は効果的。食習慣の面では、噛むことを意識しましょう。ものを食べるときは、30回以上噛むのがベスト。消化の面でも体に優しいです」


なかには、多忙で仕事をしながら食事するのが日常という人もいるだろう。そんな人は、せめて噛むときは箸を置くようにしてほしい。箸を持ったまま噛んでいると、つい次のものを口に運びたくなるからだ。



■朝起きたときが最も口内環境が悪い


最後は「歯のメンテナンス」だ。これは歯医者でプラーク(歯垢)を取ってもらうなど、定期的なクリーニングを行うことを前提に、歯磨きの仕方を工夫するということだ。なかでも大事なのは「歯磨きをする時間帯」だという。




(上)歯ブラシだけではよく磨ききれないという人は、デンタルフロスや歯間ブラシなどの道具と組み合わせて使おう。 (下)ヘッドの大小、毛の硬軟、毛先の形状など様々な種類がある歯ブラシ。自分に合った究極の1本を見つけよう。

「朝食後と夜寝る前に歯磨きをする、という人が大半だと思いますが、朝の歯磨きは、寝起きすぐにしてください。バクテリアは、寝ている間に爆発的に増えます。朝起きたときが最も口内環境が悪いわけです。そして、寝起きの歯磨きは歯磨き粉を使わずに行ってほしい。歯磨き粉を使うと、適当に磨いても綺麗になった気分になりますが、歯磨き粉を使わなければ、どこまで綺麗に磨けたか、歯の状態がよりわかりやすいからです」


まずは、歯医者で歯のクリーニングをしてもらい、歯のベストコンディションを知ろう。そこに近づけることが歯磨きの目的だ。


「歯磨きは1つの技術です。人により歯の形や力、器用さが異なるため、上手に磨ける歯ブラシは百人百様。電動歯ブラシで上手に磨ける人もいれば、普通の歯ブラシが磨きやすいという人もいる。何本も試して自分にとって究極の1本を見つけましょう」


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▼POINT!

・どこから始まる?

歯磨きの際の歯肉出血や口臭、口渇感など、歯や口に関わるトラブルが30代半ばから顕著になり、歯を失う人も増える。

・最悪の場合は?

口内環境が悪いと、歯肉炎が歯槽骨吸収(歯周炎)に進み、歯が抜け落ちる。誤嚥性肺炎も起こしやすい。

・予防・改善策は?

虫歯や歯周病を防ぐための食生活、唾液、歯のメンテナンスのセルフケアで、バクテリアが増えにくい体質に変えていこう。

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吉岡秀樹

ブレス・デザイン デンタルオフィス院長

歯科医師、栄養解析士。北海道大学歯学部卒。口臭治療をベースにした予防歯科に取り組む。

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(ライター 衣谷 康 撮影=向井 渉 写真=iStock.com)

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