「豆腐・枝豆・トマトジュースの貯蔵は十分か」

2月10日(水)9時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Traitov

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■「飲むほど強くなる」は本当だった!


年末年始は、酒を飲む機会が多いだろう。「ほどほどに」と思っていても、つい飲みすぎて翌日は二日酔いでダウン……というときもある。上手な飲み方や二日酔いの対処法を紹介したい。


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二日酔いとは、酒を飲んだ翌日に吐き気などの消化器系の不調や頭痛、だるさなどが起きること。そもそもこの不快な症状はなぜ起きるのだろうか。


アルコールは胃や十二指腸などで吸収され、静脈を通じて肝臓に取り込まれる。肝臓ではアルコールが分解されて「アセトアルデヒド」に、さらに「酢酸」という物質になる。最後は水と二酸化炭素になって、アルコールは体内から消えていく。二日酔いの原因は、毒性のあるアセトアルデヒドが体内にたまった状態と考えられている。


アルコール依存症の治療に長年取り組み、「正しい飲み方」を啓発する著書を数多く持つ、まいんずたわーメンタルクリニック院長の仮屋暢聡医師はこう話す。


「酒に強い、弱いの分かれ道は、アセトアルデヒドを分解する『アセトアルデヒド脱水素酵素』を持っているか、または活性化しているかどうかです。両親や祖父母から引き継いだ遺伝が主で、実は4割を超える日本人がアセトアルデヒド脱水素酵素を持っていません。持っていないタイプの人は、少量の飲酒でアセトアルデヒドが血中に増加してしまい、顔が赤くなったり、動悸が起こる。二日酔いにもなりやすいのです」


代謝スピードには個人差がある。例えば一合の日本酒を飲んだとき、「水と二酸化炭素」に分解されるまで一晩かかる人もいれば、2時間で代謝できる人もいるということだ。


しかし、いわゆる「下戸」といわれるお酒を飲めないタイプの人でも、劇的に強くなることはないものの、酒を飲むことを繰り返すうちに、飲めるようになっていくという。


「アルコールを分解するもう1つの酵素、肝臓の細胞の中にあるメオス(MEOS/ミクロゾームエタノール酸化酵素)の活性が高まるためです。メオスは飲めば飲むほど鍛えられて、アルコールの分解が早くなります。つまりアセトアルデヒド脱水素酵素を持っていて、かつ働き盛りで飲酒の機会が多い人は、代謝能力がどんどん高くなるということです」(仮屋医師)


■自分の代謝能力に合わせた量とスピードを守ることが肝要


だが、たとえアセトアルデヒド脱水素酵素を持っている人でも、ハイスピードで飲めば分解が追いつかない。まずは自分の代謝能力に合わせた量とスピードを守ることが肝要だ。


歩くとよろめく、酔いが醒めたときに「何があったのか」を覚えていない状態は、明らかに飲みすぎだ。


「酒を飲むと、理性を優先する大脳の前頭葉が麻痺します。飲みすぎると運動機能をつかさどる小脳にまで影響が出て、平衡感覚の障害を起こし、“千鳥足”に。今がいつで、どういう状況かを把握できない“もうろう状態”も、酒の影響が小脳に達した意識障害の一種。あまり良い飲み方とはいえません。二日酔いを起こす可能性も高い」(同)


さらに進んだ状態では、「急性アルコール中毒」を起こしてしまう。呼吸や心臓の拍動を管理する、脳の中枢神経まで麻痺してしまうのだ。


そうならないためには、飲むスピードとともに、空きっ腹で飲まないことも大切。空腹での飲酒は、悪酔いしやすいうえ、胃腸がアルコールに直接さらされると粘膜が傷つけられてしまう。翌日の消化器系の不調にもつながるだろう。管理栄養士の望月理恵子氏は“酒の肴”に「枝豆や豆腐」を勧める。


「糖分が多いアルコールを摂取するほど、体内のビタミンが失われます。枝豆や豆腐はビタミンに加えタンパク質も豊富で、肝細胞の再生を促進します。刺し身や貝類も◎です」


飲んでいる最中や翌日に気分が悪くなったら、その時点からとにかく「水」を飲もう。酒そのものは水分だが、実は脱水を誘発する。アルコールが体内の水分調整をする「抗利尿ホルモン」の活動を抑制すると考えられ、必要以上に尿を排出してしまうのだ。これが原因で、頭痛などの不調につながったり、脱水による倦怠感や疲労感で体が重くなったりする。水だけでなく、アルコールの分解を早める作用のあるトマトジュースを飲んでもよい。


仮屋医師によると「飲んだ日の睡眠も二日酔いに影響する」という。


「肝臓の働きを高めるためには、体を休めることが一番。体が動いていると、脳などのほかの部分に血液が回ってしまいますが、睡眠をとると肝臓に血液が行き届き、アルコールの分解も進みます。最低でも6時間は寝ましょう」


仮屋医師への話をもとに、二日酔いにならない方法を3カ条にした。これらを守ることにより、かなり軽減できるはず。また、酒に含まれる不純物や添加物も、二日酔いに影響する。メタノールなどの不純物が含まれるほど分解に時間がかかり、だるさが残りやすく、添加物が体の不調を招くこともある。「自分がどの種類の酒をどれくらい飲むと、翌日に不調を招くか知ることが大切」(同)という。自宅で1人で飲む場合は、あらかじめ「量と時間」を決めておきたい。


■要チェック! 酒にのまれる人の特徴


ところで、酒を飲み続けると怒ったり泣いたり、説教を始めるなど「性格の変化」を見せる人がいる。


心療内科医で日本医科大学特任教授の海原純子氏は「酔ったときの性格が本性」と指摘する。


「抑圧している“もう1人の自分”ということです。飲酒して人が変わるのは、飲んで発散しなければならないほど、今の生活に問題があることの裏返しでもありますね」


怒りや悲しみを我慢して表に出さないようにしていると、飲酒により理性をつかさどる前頭葉が緩んだ途端、それが爆発する。


「普段、抑圧したものが多いと、突然うつ状態になる可能性もあるし、アルコールやギャンブルに依存することになるかもしれません。『あなたは飲むと、人が変わるのね』などと誰かから言われたら、心への警告と受け止めて生活を見直してほしい」(海原氏)



自分で酒の量をコントロールできず、ダラダラ飲んで二日酔いになってしまったり、飲酒して人とトラブルを起こすような問題が出てきたら、アルコール依存症の一歩手前といえる。楽しく酒が飲めているかどうか、表でチェックしてほしい。


2020年はコロナ禍によって大変な一年であったが、年末は仲間や家族と「お疲れさま!」という気持ちで乾杯するのもいい。自分にとっての適量で飲酒を楽しめたら、ハッピーに一年を締めくくれるだろう。


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笹井 恵里子(ささい・えりこ)
ジャーナリスト
1978年生まれ。「サンデー毎日」記者を経て、2018年よりフリーランスに。著書に『週刊文春 老けない最強食』(文藝春秋)、『救急車が来なくなる日 医療崩壊と再生への道』(NHK出版新書)、『室温を2度上げると健康寿命は4歳のびる』(光文社新書)など。
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(ジャーナリスト 笹井 恵里子)

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