無口な客が饒舌になる「6つの鉄板ネタ」

2月15日(木)9時15分 プレジデント社

写真=iStock.com/imtmphoto

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どれだけ論理的に物事を考えられる人でも、「話し方」に問題があればチャンスを逃してしまいます。「プレジデント」(2017年12月18日号)では、6つの場面別に「相手が気持ちよくなる言い方」を紹介しています。第2回のテーマは「取引先、苦手な人と立ち話」です——。

■「何か話さなきゃ」という恐怖の克服


若い人は本当に雑談が苦手ですね。「雑談って、どう話せばいいんですか」と聞くことじたい、すでに雑談ではない(笑)。例えばお客様の自宅を訪問して、「今日はこの話で伺ったんですが、すみません。お水を一杯いただいて落ち着かせてください」なんていうのが雑談じゃないですか。すべてがビジネスマターになってしまうから、終始緊張するのだと思いますね。




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そういう人の苦手なタイプは、ほぼ間違いなく無口な人。会話すらできなくても、「何を考えているのかわからない」「まあ、あの人無口だからしょうがないんですよ」で終わってしまう。


でも、そんな相手と仕事か、もしくは偶然立ち話を強いられた場合、「何か話さなきゃ……」という恐怖はどうすれば克服できるのでしょうか。


一言で言えば、情報収集です。会話のきっかけには、「暑いですね」「寒いですね」から始まっていろいろありますが、きっかけをつくるネタの多寡は、観察力というか、普段どれだけ物事に目を配って情報を集めているかで決まると思います。


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沈黙の気まずさを解消する情報収集

▼普段・面会前

・観察力を磨く(街中、職場)

「変だ」「おかしい」etc 感じたことを集めておく

・相手の公開情報(ホームページetc)+非公開情報

▼その場で……

・視野に入ったものからネタを拾う

A:相手の自宅、オフィス

自社製品、本人・家族の趣味、こだわりの品etc

B:相手の来店時、外でバッタリ

衣服・装身具など


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例えば、駅に向かう道すがらどんな人とすれ違ったか。街中にどんな建物や像が立っているか。「ああ、ありましたね」と返ってくる人と、「そんなのありましたっけ?」と首を傾げる人。営業マンでいえば、経験上、前者のほうが間違いなく腕がいいですね。


■「あなた、若いのによく気付くわね」


常日頃、ちょっとしたことを「これは何だろう?」「なぜここにあるんだろう?」と常に意識するようになれば、例えばたまたま相手が身につけている衣服やバッグ、時計を見るだけで会話のきっかけになることもあるわけです。




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話す場所が選べるなら、情報収集がしやすい取引先の拠点やお客様の自宅で会話するほうがずっといい。お客様のより深いところに接しようとしたら、店頭は非常に不利です。初来店のお客様など、極めて限られた情報だけで会話を組み立てなければなりません。


一方、お客様の自宅はネタの宝庫。個人のお客様ならその方の趣味など、法人の取引先であれば何かの表彰状や自社・他社の取扱商品がわかるようなものが置いてあるはずです。会社のホームページのチェックは当然として、担当者の趣味のような“非公開情報”を、あらかじめ聞けそうな人から聞いておいて、「オペラがお好きなんですか?」などと切り出すやり方もあります。


以前、私の部下が伺ったあるお客様の自宅の庭にはバラが咲いていました。応対に出た奥様に、「きれいですね。お手入れ大変でしょう」と言ったんです。ガーデニングをするのは大体奥さんだし、バラの手入れはものすごく手間がかかる。ちょっときつくて難しい奥様でしたが、「あなた、若いのによく気付くわね」と、部下側との間にあった壁を崩すきっかけになりました。


あるいは、初めて訪れた別のお客様のご自宅に釣りの道具が置いてあった。私も好きなので、釣りの話で大いに盛り上がり、意気投合して6万円もある高級リールをいただいて帰ったこともあります。そういうお客様ならば、ご自身の車の乗り換えだけでなく、お知り合いの方へのご紹介も期待できます。


苦手な相手が社長や無口な上司といった身内だったら、よほどのド新人でもない限り、相手の趣味や好きなスポーツくらいの情報は持っているのでは。例えばエレベーターで鉢合わせした場合、いくら緊張するとはいえ、いきなり怒られるようなこともないでしょう。「お休みは何されてるんですか?」くらいで十分かもしれません。



■頷きや感嘆、驚きの言葉や褒め言葉を返す


もっとも、会話の場所はいつでも選べるわけではないし、担当者情報を仕入れるルートがあるとは限りません。


そんなときに使える汎用性の高いネタを、すぐに覚えやすいようシンプルに絞り込んだ言葉があります。


「きにしいたけ」がそれ。「き」は季節、「に」はニュース、「し」は趣味、「い」は衣装、「た」は食べ物、「け」は健康。この頭文字を6つ並べたものです。もっと長いのもありますが、覚えづらいので、まず「木に椎茸」と覚えてください。


全部同じようにネタを持って話せなくとも、6つのうち1つ、2つ自分で得意分野を決めてもいいでしょう。


この「木に椎茸」で、まず相手が乗ってくる話題を探ります。そのために、例えば「い」なら「素敵な服ですね。それ、どちらで買われたんですか?」などと、まず質問を投げかけます。


そこで、相手の答えに対して「共感」することが大事です。軽いものであれば頷きや感嘆などを、あるいは驚きの言葉や褒め言葉、関心を示す言葉を返します。同意できないことでも、否定や反論をせずに「なるほど……」「そういうことなんですね」とあいまいな頷きを返して、相手がさらに話しやすいように持っていきます。


そして、そこからさらに深掘りする質問を投げかけるのです。そうすれば、苦手だと思っていた人の意外な一面が見えてきて、境遇、趣味などで自分との共通項が見つかれば、自分への相手の認識が「身近な人」に一変し、コミュニケーションが取りやすくなります。こうすれば、相手の「鉄板ネタ」を少しでも見出せるようになります。


この間、所要時間はせいぜい1〜2分。繰り返しますが、大切なのは「共感」と「深掘りの質問」です。


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▼相手が口を開くネタ「木に椎茸」

き……季節、天候

「急に寒くなりましたね」「最近はお天気読めませんね」etc 万人が共有できる。

に……ニュース、最近の出来事

「株は高いのに、実感ありませんね」etc 政治ネタ・宗教ネタ、スポーツの贔屓チーム・アンチ○○etcは避けたほうが無難。

し……趣味

「釣り、お好きなんですか?」etc 事前に情報収集、もしくは顧客の自宅などその場で探す。

い……衣装、装身具

「それ素敵ですね。どちらで買われたんですか?」etc 靴・バッグ・時計などこだわっていそうなものを褒めると喜ばれる。

た……食べ物、食事

「いま、何が旬なんですか?」「秋刀魚、今年は安いですね」etc

け……健康

「最近ちゃんと眠れてますか?」etc 特に年配相手だと話題に事欠かないが、深入りしすぎると暗くなるので注意。

相手に質問する→相手から返事→共感&さらに質問で深掘り→自分と相手の共通項発見!→コミュニケーションが容易に→相手の「鉄板ネタ」を見出す

(この間、約1〜2分)

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大久保政彦(おおくぼ・まさひこ)

プログレス セールスコンサルティング代表

1965年、東京都生まれ。88年文教大学人間科学部教育学専修卒業。国産・外資系自動車販売会社を経て、2005年人材育成会社設立に参加、セールスを中心とした人材育成を行う。16年より現職。現在、メーカー、販社にて営業研修や実践トレーニングによる即戦力の育成を促進。

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(プログレス セールスコンサルティング代表 大久保 政彦 構成=金井良寿 撮影=石橋素幸 写真=iStock.com)

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