三洋化成の「全樹脂電池」 10年後1000億円規模に 3Dプリンターで複雑な形状も

2月15日(金)8時9分 財経新聞

 「リーフ」のリチウムイオン電池開発を行ってきた日産自動車出身で慶應義塾大学大学院の堀江英明特任教授と、三洋化成工業は、2021年秋にも、「全樹脂製」リチウムイオン電池の生産を開始するとした。新しい製造法を用いて機能性を高めた「全樹脂製」の電池で、大規模蓄電池の製造が可能のため、産業用などの幅広い用途での展開を目指す。10年後には電池事業の売り上げ規模を1千億円程度にまで拡大することを目標として掲げた。三洋化成工業のリチウムイオン電池に関する特許は、日産自動車と共同で出願したものもあり、日産自動車と共に研究しているとみられる。

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 この全樹脂電池は、エネルギー密度や生産性を大幅に上げられる可能性がある。さらに、素材を樹脂にしたことで安全性が担保できるとしている。使用中に切断しても発火しないと言われ、製造コストも、従来のリチウムイオン電池の15〜20円/Whに比べ12円以下と安くできる。

 全樹脂電池は電解液を含んだゲル状樹脂で構成し、積層することでエネルギー密度や生産性が大幅に向上している。樹脂が主要素材であるため、製造工程を大幅に簡素化、設備投資も大幅に削減できると見られている。安全性が高く、高容量化できることから、大型の蓄電池を安価に生産し、定置型で発電所に付随した蓄電池を構成することも可能だ。よって、太陽光発電、風力発電など自然エネルギーの発電において、天候が安定しないために電力供給が安定しないデメリットを、蓄電設備を持つことで安定供給に結び付けることが期待されている。電力事情を根本から改革できる可能性を持つものだ。

 また、樹脂であることから3Dプリンターでの生産が可能で、精密な加工もできることから、家電製品など、あらゆる分野での応用が期待される。

 従来の液体を使用したリチウムイオン電池に比べ、重量当たりのエネルギー密度が高まることから、自動車に用いた場合に、満充電からの航続距離が伸びてEVの実用化に貢献するのではないかと期待される。残るは「充電時間」と「電池寿命」だが、これがEV実用化のカギと考えられるため、トヨタとパナソニックが量産準備に入った「全固体電池」の量産が進むまでは難しいと考えられてきた。「全樹脂電池」の充電時間、寿命はどのくらいなのか?発表されていないようだが、全固体電池並みとすれば、EVの普及は三洋化成工業の新リチウム電池量産と共に加速するものと言える。次世代電池の開発競争は、いよいよクライマックスに差し掛かる。

 中国企業の新リチウムイオン電池の開発が気になるが、特許出願件数などから、日本企業が先手を打てることを期待したい。

財経新聞

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