BIGLOBEトップBIGLOBEニュース

酒場の旬はレモンサワーとジントニック

プレジデント社2月17日(金)9時15分
画像:酒場の旬はレモンサワーとジントニック
写真を拡大

■ハイボールは絶妙なポジション獲りに成功


居酒屋で「ハイボールくださーい」と頼むのは、今やごくありふれた光景ですが、10年前にはまったくもって当たり前ではありませんでした。サントリーのウェブサイトによれば、ウイスキー市場はピークであった1983年に比べて、2007年時点で6分の1の規模にまで縮小を続けていたのです。当時はウイスキーが復権するとは、私を含めてほとんどの人が思いもしなかったはずです。



同社が「角ハイボール」を世に大々的に打ち出したのが2008年のこと。「おじさんがバーでちびちび飲む」ような存在だったウイスキーは、そこから10年も経たないうちに、居酒屋や自宅で幅広い世代にワイワイと、そしてガブガブと飲まれる姿へと変貌をとげました。


国税庁が昨年発表した「酒のしおり」の中の酒類販売数量のデータを見ても、底であった2008年から徐々にウイスキーの販売量は伸びており、2014年(データ上はこれが最新)は2008年比で157%となっています。ハイボールについては、もはやブームというステージはとっくに越えており、すっかり定着したと言えるでしょう。


以前私はハイボールについて考察したさいに、「ビールの後の2杯目」というポジションの獲得に成功したのではないか、という仮説を立てたことがあります。乾杯でビールを飲んだあとに、さて次は何にしようかなと迷うことがあります。当時は「これぞ」という決め手がない人も多く、そんな空いていたポジションにハイボールはすっと入り込んだように見えたのです。ちなみに、「糖質」や「プリン体」を避ける傾向が強まるにつれて、最近では1杯目からハイボールという人が増えているのも感じます。



■割って入るか「レモンサワー」「ジン」


そんな「1杯目・2杯目争い」のレースに、ここのところ新たな動きが出てきました。居酒屋の定番ドリンク「レモンサワー」に注目が集まっているのです。これまでもレモンサワーが名物という老舗の居酒屋はありましたが、比較的新しい店の中でレモンサワーに独自のこだわりを見せるところが増えています。



焼酎にレモンを漬けこんでレモン酒にしたり、レモンを凍らせて氷の代わりに使ったり、国産の青いレモンをふんだんに使ったりと、それぞれに工夫を凝らしています。さっぱりした飲み口や健康に良さそうなイメージ(酒飲みのただの言い訳ですが……)、また前述のように糖質を敬遠する流れも追い風となり、アップデートされたレモンサワーが改めて見直されているのです。


一方、違う動きも出てきています。まだまだ小さな芽のようではありますが、この数年「ジン」にも光が当たりつつあります。ジンといえば、ジントニックというこれまた定番中の定番ともいえるカクテルがあります。一定の年齢層以上の人にとっては「あぁ、昔はよく飲んだなぁ」という存在かもしれません。


サントリーは「ビーフィーター」というイギリス産のジンを取り扱っていますが、一部の飲食店で積極的にプロモーションを仕掛けています。ビーフィーターは「BEEFEATER」と書きますが、その名前の由来は「Beef」+「Eater」(牛肉を食べる人)とされています。


それに引っかけて、焼肉店や肉をウリにしたワインバルなどでは、「肉にあわせる」ことを前提としてビーフィーターを使ったジントニックをメニューにのせているのです(ジントニックになぞらえて「ジンと肉」というダジャレまで駆使しています)。



■時代の趨勢は「クラフト」へ?



1杯目、2杯目の話からは逸れるのですが、ジンについては興味深い流れが起きつつあります。キーワードは「クラフトジン」です。「クラフトビール」という言葉は耳にしたことがあるかもしれません。クラフトビールに厳密な定義はありませんが、大手メーカーが「工業的」につくるものとは違い、顔の見える小規模生産者による個性的なビールの総称です。


クラフトビールの先進国はアメリカですが、このトレンドは日本をはじめ世界中に広がっています。そして、これと似たようなことがジンの世界でも生まれているのです。そもそもジンとは、穀物由来の蒸留酒に、ジュニパーベリーという植物の果実で風味付けをしたものです。


風味や香り付けのための植物のことを「ボタニカル」と呼んでいますが、新しいジンのつくり手たちは、これまでとは異なるボタニカルを使って、オリジナルの味わいを生み出そうと試みているのです。ちなみに、日本の京都蒸留所がつくるクラフトジンでは、ボタニカルとして玉露、ゆず、ひのき、山椒などが使われているそうです。


「小規模」「クラフト」「個性的」「地域性」。これらはお酒に限った話ではありません。「大量生産」「工業的」「画一的」「グローバリズム」などに対する、ある種のアンチテーゼやカウンターカルチャーとして、世界的にさまざまなジャンルで同時に起きている大きな流れです。まずはクラフトビールやクラフトジンを飲みながら、こうした時代の移ろいを感じてみてはいかがでしょう。


----------


子安大輔(こやす・だいすけ)●カゲン取締役、飲食プロデューサー。1976年生まれ、神奈川県出身。99年東京大学経済学部を卒業後、博報堂入社。食品や飲料、金融などのマーケティング戦略立案に携わる。2003年に飲食業界に転身し、中村悌二氏と共同でカゲンを設立。飲食店や商業施設のプロデュースやコンサルティングを中心に、食に関する企画業務を広く手がけている。著書に、『「お通し」はなぜ必ず出るのか』『ラー油とハイボール』。

株式会社カゲン http://www.kagen.biz/


----------


(子安大輔=文)

Copyright (c) PRESIDENT Inc. All rights reserved.

はてなブックマークに保存

最新トピックス

経済トピックス

芸能写真ニュース

旬なニュースを配信中 フォローしてね!

注目ワード

話題の投稿画像

「ハイボール」「ウイスキー」「ポジション」「成功」の関連トピックス

「ハイボール」をもっと詳しく

注目ニュース
アメリカの「金正恩 斬首作戦」が絶対に不可能な理由 プレジデント社4月28日(金)9時15分
元航空自衛官が分析する「米朝戦争」。第2回は、アメリカが準備しているという「斬首作戦」について。本当に戦争の可能性は低いのか——。[ 記事全文 ]
今春のコンビニおにぎり 「4社4様」の驚くべき進化 NEWSポストセブン4月29日(土)7時0分
ゴールデンウィーク期間中、「コンビニおにぎり」を買って行楽地に向かう人も多いだろう。[ 記事全文 ]
大手電力、8社が大幅減益=自由化で顧客離れも—17年3月期 時事通信4月28日(金)20時24分
大手電力10社の2017年3月期連結決算が28日、出そろった。経常損益は全社黒字を確保したが、九州、沖縄を除く8社が2桁減益となった。[ 記事全文 ]
もしも米朝が開戦したら日本はどんな攻撃を受けるか プレジデント社4月27日(木)9時15分
■まず危険球スレスレのボールが飛んでくる戦力で圧倒する米国が北朝鮮に先制攻撃をすれば、短期間のうちに決着がつくとの見立てが、日本では盛んに…[ 記事全文 ]
じゃがいも・たまねぎ、来月も高値続く TBS4月29日(土)8時36分
じゃがいもの品薄が続いています。去年の台風の影響で、じゃがいもは品薄が続いていて食品メーカーも一部のポテトチップスの販売を休止するなど対応…[ 記事全文 ]

本サイトのニュースの見出しおよび記事内容、およびリンク先の記事内容は、各記事提供社からの情報に基づくものでビッグローブの見解を表すものではありません。

ビッグローブは、本サイトの記事を含む内容についてその正確性を含め一切保証するものではありません。本サイトのデータおよび記載内容のご利用は、全てお客様の責任において行ってください。

ビッグローブは、本サイトの記事を含む内容によってお客様やその他の第三者に生じた損害その他不利益については一切責任を負いません。

データ提供元:アニメキャラクター事典「キャラペディア