進化しすぎのカプセルホテル 最近はビジネスホテルと競合

2月17日(日)7時0分 NEWSポストセブン

カプセルでもなくビジネスでもないホテルと謳う「ファーストキャビン」

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 いまや「カプセルホテル」といえば、簡易な2段ベッドがズラリと並び、満足に身動きも取れない空間でただ“寝るだけ”という、かつてのイメージからは程遠い豪華施設が増えた。ホテル評論家の瀧澤信秋氏が、快適さを売りにする“超進化系カプセルホテル”の最新事情をレポートする。


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 ホテル活況が叫ばれる中、カプセルホテルが注目されるようになって久しい。独特の業態がフィーチャーされたことに加え、カプセルホテルというワードの持つ未知なる魅力に好奇心をくすぐられる人は多い。高級ホテルファンの友人も、「利用することはないが、どんな場所なのか非常に関心がある」と不可知領域的な興味をそそられている。


 メディアでもカプセルホテルというワードは、視聴者、読者へのインパクトが期待できるようで度々見かけるようになった。実際、筆者へも「カプセルホテルについて取り上げたい」というメディアからのオファーは多い。


 近年、カプセルホテルはレジャー施設という側面が強く、限定的なプライベート空間ゆえにパブリックスペースの充実度も魅力となっている。過去、安全性や快適性で疑問符がつけられていた宿泊形態が進化し、デザインやサービスなどに気遣った施設が台頭しているのである。


 そのようなトレンドの中で最近気になるのは、「もはやカプセルホテルといえるのか?」という施設が増えていることだ。筆者は“進化系カプセルホテル”などのワードを発信してきたが、カプセルホテルとはあくまでも「カプセルユニットを設置した業態」と定義づけてきた。


 しかし、例えば2月1日に神保町にオープンした「MANGA ART HOTEL,TOKYO」は“アートに浸れるカプセルホテル”がテーマ。「漫泊(まんぱく)」を提唱するだけあり、漫画に囲まれたベッドの配置がユニークであるが、“仕切られたベッドスペース”でありカプセルホテルというのには違和感がある。


 また、同じく2月人形町にオープンする「hotel zen tokyo(ホテル・ゼン・トーキョー)」はその名の通り“禅”をテーマにした宿泊施設。


「泊まれる茶室がコンセプトのカプセルホテル」ということで、日本画や畳を組み合わせて和モダンな内装にして、天井高は2.2メートルもある。仕切りはドアではなく完全なる個室ではないが、ユニットで仕切られた2段のベッドが並ぶ従来の“カプセルホテル”の光景とは程遠いイメージだ。



 カプセルホテルに代わるワードはないかと沈思黙考するものの、やはりキャッチーな“カプセルホテル”というワードのインパクトは強烈にして何かと重宝されているようだ。


 いずにしても業態としては「簡易宿所」であり、一般的なカプセルホテルと同様に施錠はできず、“設置されたカプセルユニット”というイメージを持つ人は多いだろう。


 だが、最近増えている高さが確保できるカプセルユニットには「キャビンタイプ」があり、進化系カプセルホテルで導入される例が増えている。横から出入りできるユニットを交互に配置することでプライベート空間を確保、デスク等の設置も可能にしているのだ。


 例えば、充実した温泉施設で人気を博すビジネスホテル“ドーミーイン”が手がける「グローバルキャビン」ブランドは、温浴施設の充実度もさることながら、キャビンタイプ(ハイブリッドスタイルを除く)のカプセルユニットを用いるデラックスカプセルホテルである。


 キャビンタイプといえば2018年12月、南青山に女性専用の施設も誕生した。コスチュームジュエリーや時計等のインポート商品を扱う「ABISTE(アビステ)」が運営する「アルビダホテル」だ。


 一般的な二段式のタイプに加え、キャビンルーム、デラックスキャビンルームを備える。インテリアや美容機器などへの気遣いはさすが女性専用施設といったところ。異業種参入ならではの発想は新たなカプセルホテルのフェーズともいえる。


 さらに、カプセルホテルと同様の簡易宿所であるが、〈カプセルホテルでもなく、ビジネスホテルでもない、新しいスタイルのホテル〉と謳い、全国展開でも知られるのが、「ファーストキャビン」だ。


 ここは上下左右の空間確保は前述したキャビンタイプのカプセルホテルを超えるスケールで快適性も高い。3月に開業する「ファーストキャビンST. 京都梅小路 RYOKAN」は、京町家の木造建築に改修と増築工事を加え坪庭や中庭、裏庭なども設けるという同ブランドでは新しいコンセプトで関心を集めている。


 京都のカプセルホテルで注目されたのは、2018年4月に開業した「豪華カプセルホテル 安心お宿プレミア 京都四条烏丸店」。東京でも展開する人気ブランドだが、京都店は初の女性利用可能な施設となった。


 2019年12月には名古屋へも進出、栄駅徒歩3分という好立地に誕生するのが「豪華カプセルホテル 安心お宿 名古屋錦3丁目店(仮称)」だ。


 こちらも女性専用エリアを設ける。人気ブランドの地方展開はインバウンド需要も視野に入れたカプセルホテルのグローバル化ともいえるが、同施設はカプセルホテル本来の地元密着型を目指すといい“駆け込み寺ホテル”を謳う。



 もっとも訪日外国人旅行者の激増により宿泊業としてのサービスも変容、多様化している。旅行者のニーズに応える宿泊施設が求められている中、カプセルホテルは営業許可やイニシャルコストといった点から異業種参入のハードルが低いのも特徴といえる。撤退のスピード感からいっても、経済・環境問題など様々な要因で一気にクールダウンするリスクを内含するインバウンド需要にマッチする業態だろう。


 2019年もホテルの建設・開業ラッシュは続く。ホテル間の競争が激化するのはカプセルホテルばかりではないが、最近カプセルホテルの運営会社からは嘆きの声が聞こえてくる。一時と比べて稼働が芳しくないというのだ。


 その要因として、一般ホテル、特にビジネスホテルの料金変動が進化系カプセルホテルに及ぼす影響が大きいといえる。


 1〜2万円が当たり前のビジネスホテル料金が高騰する中、5000円程度でそれなりに快適滞在できるところに進化系カプセルホテルのポジショニングがあったのだが、最近ビジネスホテルの料金も落ち着いてきたため、競合しつつあるというのだ。


 ただ、やはりカプセルホテルの基本は、“安価で気軽な地元密着の宿泊施設”であるはず。今後の発展を期待しながら、そんな基本の踏襲にも注目していきたい。

NEWSポストセブン

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