トヨタのサブスク 月20万円でレクサス乗り継ぎは安いのか

2月17日(日)7時0分 NEWSポストセブン

トヨタの定額制サービス事業会社「KINTO」の小寺信也社長(左)/写真=時事通信フォト

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 毎月定額を支払うことで、好きなクルマ・乗りたいクルマに自由に乗り換えられるトヨタ自動車の新サービス「KINTO」の概要が明らかになった。世はサブスクリプション(定額制)サービス隆盛期だが、果たしてマイカー市場に広まっていくのか。佃モビリティ総研代表の佃義夫氏がレポートする。


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 消費者の関心が「保有から利活用へ」「モノからコトへ」と移り変わる中で、サブスクリプションサービスという新たな「利活用」モデルが様々な商品で急速に普及している。自動車業界も例外でなく、このサブスクリプションを展開する動きが始まっている。


 自動車業界最大手のトヨタは、「お客様がもっと気軽に楽しくクルマとおつき合いいただける新しいクルマの持ち方を提案する」という考えのもとにサブスクリプションサービス運営の新会社「KINTO」を設立。トヨタブランド車で「KINTO ONE」、レクサスブランド車で「KINTO SELECT」の2種類のサブスクリプションサービスを設定、展開することになった。


 まずは、KINTO SELECTのレクサス車で2月6日から開始、KINTO ONEのトヨタ車は3月1日からスタートする。ただ、いずれも当初は東京都内でのトライアル実施とし、今夏以降に全国展開に結びつけることになっている。


 KINTOは、3年間で6種類のレクサスブランド車を乗り継ぐことができるSELECTが月額料金19万4400円(税込み)で車両代・登録時の諸費用、税金・任意保険・自動車税が含まれる。レクサスの対象車種は、ES300h・IS300h・RC300h・UX250h・RX450h・NX300hの6車種から選択し、6か月ごとに乗換する。


 一方、ONEのトヨタブランド車は3年間に5車種(プリウス・カローラスポーツ・アルファード・ヴェルファイア・クラウン)から1台を選択する。月額料金は、プリウスの税込み4万9788円からクラウンの税込み10万6920円までと車種によって幅が広い。


 これには、車両の定期メンテナンスもパッケージ化されお客様の使用状況(安全運転、エコ運転等)をポイント化し支払への充当が可能な「愛車ポイントサービス」を秋以降に導入する予定だ。


 つまり、トヨタのKINTOは、愛車サブスクリプションサービスと謳っているようにレクサスブランド車が3年間で半年ごとに乗換えでき、トヨタブランド車は3年間で1台を月額定額で利用するというもので、「クルマとの付き合いが変わります。お客様にクルマを可愛がって欲しいとの提案なのです」(小寺信也KINTO社長)という考えに立脚している。



 すでに、残価設定ローンやリースという車両購入もある中で、このサブスクリプションサービスにはどんな狙いがあるのか。前出の小寺氏はこういう。


「任意保険や自動車税などのフルサービスであること、インターネット経由で申し込みできること、全国統一のワンプライスであることがリースとの違い。お客様の選択肢として興味、関心を持たれることと、均一料金で若い人にとって割安感があることで“若者のクルマ離れ”を何とかしたいとのトヨタの思いも込められている」


 レクサス車のKINTO SELECTで、月額20万円弱が3年間では約700万円支払うことになることについてどう判断するかということになるが、3年間で6台のレクサス新車を乗り換えられる価値を見いだすユーザーがどれだけいるか、であろう。クルマを早く乗り換えるユーザーや輸入車志向のユーザーの取り込みがカギとなる。


 トヨタは、今後の自動車流通形態がメーカーの垣根を超え、複数の自動車メーカーからクルマを買い取り、ライドシェアやカーシェア、そしてサブスクリプションなど多様化するユーザーニーズに対応するモビリティカンパニーが新たに出現すると見ている。つまり、既存の自動車メーカーのみならず、総合リース会社やネット通販会社などが次々に参入してくれば、ユーザーの選択の幅が広がると同時に、競争も激しくなる。


 このため、トヨタとしては従来のやり方に固執せず、先陣を切ってこのサブスクリプションにも参入し挑戦していくという強い意志を示したのである。


「必要な時にすぐに現われ、思いのままに移動でき、環境にも優しい『筋斗雲』をイメージして、愛車サブスクリプションサービス『KINTO』と名付けた」(豊田章男社長)とトヨタトップのモビリティカンパニーへの変革へのチャレンジの一環でもある。


 KINTOはトヨタの販売金融子会社のトヨタファイナンシャルサービスと住友商事・住友三井オートサービスの出資により設立・運営されることになった。


「すでに欧米でいくつかのサプスクリプションが始動している、元々リースは米国で3〜4割、欧州で5〜6割で定着しているが、日本を含めアジアはまだ保有を前提として個人リースの割合は少ない。しかし、将来を想定していくとサブスクリプションがレンタカー・カーシェアリングを呑み込んでいく可能性もある」(小寺社長)との見方を示す。


 また、「一般的にみて月額価格設定が割高かどうか、スタートしてから見直しも考えていく。保有から利活用の選択肢の中でユーザーがどこにいくのか、網を張っていく」(同)と今後はユーザー動向を慎重に見極めていく構えも示した。



 いずれにしても、2月5日からスタートしたレクサス車乗換えサブスクリプションサービスのSELECTは1週間で契約・申し込みが入っており手応えを感じていると言う。トヨタは、今後このKINTOを中古車版や海外展開にも結びつける計画であり、当面、東京地区での2種類のKINTOへのユーザー反応が注目されることになる。


 日本国内のクルマ市場は、大都市部での若者のクルマ離れや超高齢化社会の到来などで需要縮小トレンドに向かう一方で、保有の長期化と効率的なクルマの利用といった価値観の多様化への対応策が求められているのは確かだ。


 だが、本来、いろいろなクルマに乗ってみたいということであれば、トヨタだけでなく他の国産車や輸入車ブランドから選択できるのが理想であろう。まずはトヨタの高級ブランドであるレクサスのKINTO SELECTに東京地区のユーザーがどれだけ飛びつくかによって、この新販売手法の方向性が見えてきそうだ。

NEWSポストセブン

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