セブンカフェ 日本一売れているのになぜ今、刷新するのか

2月18日(日)7時0分 NEWSポストセブン

成熟するコーヒーマーケットで「新セブンカフェ」はどう戦うか

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 セブン─イレブンが3月上旬から「セブンカフェ」を大幅に刷新することが話題となっている。年間10億杯も売れている“お化けコーヒー”を変える真意は何なのか。初代セブンカフェの開発時から取材を続けるコンビニジャーナリスト・吉岡秀子氏が分析する。


 * * *

 2月9日にセブン─イレブン(以下セブン)が行った記者会見以来、「セブンカフェ大刷新」のニュースが飛び交っている。


 筆者も会見に出席し、新旧のホットコーヒーを飲み比べたが、ひと口含んでぎょっとした。何これ、めっちゃ変わってる!コーヒー通ではないのであくまで私見だが、以前のセブンカフェは一言でいうと「あと味すっきり」。リニューアルしたそれは「コク深くリッチな味わい」だ。


 価格を据え置いた上で「リッチさ」を実現するために、(1)豆を1割増量(2)焙煎方法を2種類から3種類へ変更(3)豆の蒸らし時間をより長く(1杯の抽出時間45秒はそのまま)と説明があったが、興味を持ったのは、製法をグレードアップした点ではない。


「日本一売れているセブンカフェを変えることは、新しい価値をお客様に提供することであり、セブン─イレブンがジャンプアップ、いやステージアップすること」


 商品本部FF・惣菜部総括マネジャーの髙橋広隆さんがそう説明した、セブンの攻めの姿勢だ。


 そもそもセブンカフェは、単なる淹れたてコーヒーじゃない。「コンビニコーヒー」として練りに練られた戦略を背負っている。本稿ではセブンカフェ刷新で鮮明になった、セブンの成長戦略を掘り下げてみたい。


 実は、初代セブンカフェの生みの親は、当時担当チーフマーチャンダイザーだった高橋さんだ。以降、担当者が変わって今に至っているのだが、「だし文化の日本人には、エスプレッソよりドリップコーヒーのほうが好まれるのではないか」と、仮説を立てて開発チームを引っ張った本人が会見で語った言葉の端々に、ヒットの法則が読み取れる。


「ボタンひとつで、さらに上質なコーヒーが手ごろな価格で飲めるという価値をお客様に提案する」


「(セブンは)コーヒー屋ではないので、他の食品のおいしさを邪魔しない味を狙った」


「コーヒーをリッチに変えることで、より高品質な商品を提供するきっかけになる」


 ……などなど。上記のセリフを言い換えると、セブンカフェが担うミッションがわかりやすい。


(1)近所のコンビニにおいしい挽き立てコーヒーが100円であるという利便性の追求

(2)おにぎりやサンドイッチを買うついでにコーヒーも、という併売率の向上

(3)嗜好性の高いコーヒーが持つ集客力


 つまりセブンカフェは、専門店のように単体で勝負するために作られたのではなく、「来店動機」や「ついで買い」のきっかけを作るコンテンツのひとつとして誕生したわけだ。この点でいえば、ローソンのマチカフェも、ファミリーマートのファミマカフェも、エスプレッソマシンの特長を生かして他社にはできないコーヒー戦略を展開していることには違いない。


 ただセブンカフェに限ってみれば、2009年に再定義された「近くて便利」というカンパニースローガンに基づいていることがポイントになっている。


 ここで「近くて便利」を解説しておこう。「近い」には距離だけでなく心理的な意味を、「便利」には利便性だけでなく、おいしさや、品質といった意味合いも込めている。一言でいうなら、


「セブン─イレブンは、お客様の暮らしを支える一番近いお店です」


 と、企業の“あるべき姿”を表した言葉だ。セブンでは商品・サービス等、施策すべてがスローガンに基づいて展開されている。だからこそ、セブンンカフェ初めての刷新は、「今」だった。


(1)消費者のレギュラーコーヒーへの造詣が深くなった

(2)2万店を突破し、新たな価値提案が求められる

(3)通販、食品スーパー、ドラッグストア等、競合との競争激化


 と、コンビニを取り巻く環境にさまざまな「変化」が生じている。その変化に応じて自らも変わることが「近くて便利」な店であり続ける証なのだから。


 2013年に発売した当初、セブンカフェが累計販売数50億杯(2018年度予測)を視野に入れる大ヒットに育つとは予想外だった。並行してサンドイッチやスイーツ、小容量のスープや麺など、コーヒーと「買い合わせ」しやすい新商品を次々と投入した総力戦での「日本一」だと思う。


 会見の後、高橋さんに「セブンにとって、セブンカフェとはどんな存在ですか?」と尋ねると、こう返ってきた。


「近所のコンビニで手軽においしいコーヒーが楽しみたいという“潜在ニーズ”を掘り起こしたいい事例になった。『近くて便利』という言葉を増強したともいえるでしょうね」


 潜在ニーズを掘り起こし、さらなる売上げアップを実現する。商売において最も困難なお題に挑むぞ、もっと成長するぞ——リッチに生まれ変わるセブンカフェは、セブンが発した「これから」を見据えた強い意思にほかならない。


 そう理解して飲むと、ただの100円コーヒーとはまた違った味わい方が楽しめる。ただし、消費者は昔とは違う。モノを見る目も舌も肥えている。また、スターバックスがオフィス向けコーヒーに参入するなど商環境も変わった。果たして新たなセブンカフェは、消費者にどう受け入れられるのだろうか。

NEWSポストセブン

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