アイリスオーヤマ 需要を創出するビジネスで好調、その歴史

2月19日(月)11時0分 NEWSポストセブン

アイリスオーヤマの躍進の理由

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「なるほど家電」という大きなロゴが掲げられた壁一面にLED照明が展示され、売り場全体を明るく照らしている。エアコン、炊飯器、掃除機、トースター、布団乾燥機などの家電が所狭しと並んでいる。ここは関東圏を中心に14店舗を展開する千葉県にあるホームセンター・ユニディ千鳥町店の家電売り場だ。


 エアコンの前ではベビーカーを押す30代の夫婦が商品を見比べていた。「次はやっぱりこれだね」と夫の顔を見上げる女性に話を聞いた。


「ユニディの家電売り場って、『アイリスオーヤマ』製品を数多く揃えているんです。今わが家が狙っているのは、エアコン。価格は8万円ぐらいで手頃だし、Wi-Fi機能が搭載されていてスマホで全ての操作ができるんです。大手メーカーだと、同じような機能を付けたら30万円程度だからかなりお得」


 彼女が絶賛する『アイリスオーヤマ』とは、苦戦を続ける日本の家電業界にありながら右肩上がりの成長を遂げている企業だ。雑誌『経済界』の関慎夫編集局長が言う。


「宮城県仙台市に本社を置く『アイリスオーヤマ』は、もともとは衣装ケースや園芸のプランター、ペット用品など、ホームセンターでよく見かける生活用品の製造卸業でした。2009年にLED照明の製造販売を始めて以降、家電業界にも進出。消費者である主婦層の“あったらいいな”という思いを形にした『なるほど家電』で大躍進を遂げ、わずか8年で同社の総売り上げのほぼ半分の653億円(2017年度)を占めるまでになりました」


 進撃を続けるアイリスオーヤマ。今ではパナソニック、ソニー、シャープなど、いわゆるナショナル家電メーカーも一目置く存在となっている。


 同社をここまで引き上げた最大の功労者は53年もの長い間、社長として同社を牽引する大山健太郎氏(72才)だ。だが、1月11日、突如、同社はその大黒柱の6月末での退任を発表した。


「今年、アイリスオーヤマは創業60周年。これを機に若返りを図るという方針のようです」(関編集局長)


 父・大山森佑氏が大阪で創業した従業員5人のプラスチック工場(大山ブロー工業所)を大山社長が継いだのは、東京五輪の開催に沸く1964年のこと。当時、大山社長は弱冠22才だった。アイリスオーヤマ広報の松下沙樹さんが言う。



「後を継いだ当初は下請け企業でしたが、大山社長が22才のとき、『下請けだけでは終わりたくない』と一念発起。農業や水産業関連の資材の製造をはじめました。水産業の養殖に使われるプラスチック製の浮きなどが大ヒットし、会社も急成長しました」


 ところが1973年の第一次オイルショックが会社を窮地に陥れる。


「原油価格の高騰で石油製品であるプラスチックが市場から消えるとの憶測から、プラスチック製品の駆け込み需要が高まった。それに応えるため、同社は生産を加速させたのですが、逆に供給過多となって値崩れを起こし倒産寸前となりました」(関編集局長)


 この経験が「需要に乗るのではなく、需要を創出するビジネスでなければ、不況に勝つことはできない」と消費者ファーストの考えを生んだ。そこで大山社長が目をつけたのが生活用品だった。


「例えば『ペットは家族』というコンセプトを提案し、室内用のペット用品を展開するなど、消費者のニーズを考えて、新たな需要を創り出すビジネスに注力しました」(松下さん)


 こうして同社はホームセンターを中心に約2万品目を展開して、生活になくてはならない存在となった。そして1989年に会社を大阪から仙台に移し、1991年には社名を現在の『アイリスオーヤマ株式会社』へと改めた。


※女性セブン2018年3月1日号

NEWSポストセブン

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