現役地方銀行員が語るウチの地方創生 第2回 沖縄銀行 編

2月20日(火)8時30分 マイナビニュース

○キャッシュレスの黒船来航

沖縄銀行の取組みをお伝えする前に、今回のテーマである「キャッシュレス」について、改めて振り返ってみます。

昨今、キャッシュレスという用語をメディアで見ない日がないほど、日本国内において急速にキャッシュレス化が進展しています。2020年の東京オリンピックを控え、国が本腰を入れてきたことも大きいですが、外国人観光客の急増、特に中国人観光客のスマホ決済にみられる決済技術の進展などいやおうなしにキャッシュレス化が進み、まさにキャッシュレスの黒船が押し寄せている状況ではないでしょうか。

○執筆者プロフィール : 金城善輝

(株)沖縄銀行 常務取締役1959年生まれ 83年沖縄銀行入行。2003年我如古支店長。2009年本店営業部長、法人融資部長、営業統括部長、2014年取締役総合企画本部長を経て、2015年6月常務取締役就任。現在、営業部門担当役員。オ−プンAPI、ブロックチェ−ン技術の活用、スマホアプリの開発などに携わる。株式会社おきぎんジェーシ−ビ− 取締役会長。株式会社おきぎん経済研究所 取締役会長など在任中。

ご承知の通り、日本は先進国であるものの、ことキャッシュレス化に関しては「後進国ニッポン」の不名誉な地位に甘んじています。「カード決済比率18%〜20%」は先進国の中では低水準であり、特にお隣の中国や韓国と比較するとかなり差をあけられている状況です。キャッシュレス環境の整備は、インバウンド対応だけではなく、既にヨーロッパ先進諸国等でも実証されている通り、事業活動や社会生活の効率化、コスト削減、脱税等ブラックマネーの管理にも有効といわれています。
○インバウンド先進県を目指すためには

さて、ここ沖縄の現状を紹介します。沖縄では今インバウンドが絶好調(2017年12月暦年で前年比22.1%の伸び)で経済活況をリードしています。円安の進展と国の開国政策(観光推進、ビサ緩和など)が相まって、アジアに一番近い日本・沖縄に、アジアからの観光客がどっと訪れるようになっています。特に中国や台湾、韓国、香港といった近隣からの観光客が急増しており、アジアの中間所得層の旺盛な観光需要の伸びや2020年の那覇空港の滑走路増設、また世界中から沖縄へのホテル投資の増加なども後押しし、この勢いはしばらく続くものと思われます。

観光客増加の勢いはウレシイのですが、受け入れ態勢が追い付いていないのが沖縄の現状です。交通渋滞、ホテル不足、空港の混雑など、いろいろありますが、キャッシュレスについては問題が既に顕在化しており、外国人観光客の皆様に「ご不便」を提供してしまっています。また観光客の買物機会喪失(カード利用効果は現金の約1.6倍と言われる)も招いています。今後沖縄がインバウンド先進県を目指す上で外国人観光客の皆様(もちろん国内観光客に対しても)にスムーズな決済環境を提供していくことは観光立県として何よりも重要な施策であると認識しています。
○観光協会と一体となった本部半島活性化施策

そんなインバウンド先進県を目指す一助として、当行の具体的な取組みを紹介させていただきます。2017年11月、沖縄県北部地域の本部半島三市町村(名護市、本部町、今帰仁村)の観光協会様、ジェーシービー様、当行関連会社のおきぎんジェーシービーと連携し、本部半島活性化に関する協定を締結しました。本協定をもとに、現在、地域経済の活性化とキャッシュレス化を同時並行で進めるプロモーションを展開中です。

本部半島には、有名な巨大観光施設「沖縄美ら海水族館」があります。ただ、「沖縄美ら海水族館」に来館した約360万人の観光客のほとんどは、水族館を見終わった後に那覇に戻ってしまうという課題を抱えていました。この観光客をいかに地元に引っ張り周遊していだだくか?この課題を解決するため、現在「本部半島ゆくる〜んキャンペーン」と題した取組みを展開しております。

具体的には、各市町村の観光施設や店舗にJCBの利用優待をフックとして送客を行うというキャンペーンです。特にレンタカーを利用される観光客の皆様に対して、スマホ用WEBページやチラシ、youtubeの動画を通じて、地域の店舗や名所案内、1〜2時間で回れる観光コース等の情報発信を行い、施設への誘客と地域周遊を促しています。

この本部半島でのキャンペーンを契機として他地域への横展開を視野にいれています。すでにこの取組みに興味を持たれた地域の観光協会からもお声がかかっており、広がりに期待が持てる状況になってきました。

○県民および県内店舗双方での「キャッシュレス決済意識」の醸成

ただ、上述のように観光客を誘致する施策を行うのみでは、キャッシュレス化が推進されるとは限りません。時季によっては、観光客の足が遠のく事もあります。観光客が来た時にカードが利用できる環境を整えるためには、観光客だけでなく、地元の人すなわち県民にもカードを使ってもらわないと真のキャッシュレス化は実現できないと考えています。

当行では、昨年8月よりJCBデビットカードの発行を開始しました。従来のクレジットカードとは異なり、クレジットカードによる「使いすぎ」を心配する顧客層や、原則審査なく発行できるため高校生など新たな利用層が拡大していることは、キャッシュレス化を実現するための追い風になっていると感じています。

県民および県内店舗双方にて「キャッシュレス決済意識」を醸成することが、今後、訪日観光客に対して、より「スムーズな決済環境」の提供を可能にするために、重要だと考えております。

今、インバウンドの活況で好調な沖縄経済ですが、銀行の力だけでなく、観光協会や様々な民間企業、さらには県全体を巻き込み、キャッシュレス化を実現することで、インバウンド先進県として今よりも訪日外国人に満足のいく観光を提供していきたいと考えています。地域の観光が盛んになれば、それすなわち県民生活の活性化につながると考えており、今後も様々な施策の展開に取り組んでいきたいと考えています。

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