「妻の苦労がよくわかりました」は絶対ダメ…ママ友や義親にイクメンぶりをホメられた時の"満点アンサー"

2024年2月23日(金)11時16分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/FatCamera

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育児は夫婦でどのように協力すればうまくいくのか。コラムニストの石原壮一郎さんは「第一子の場合、お互いに初心者であるがゆえの衝突も多いが、パパもママも我が子への愛情やすこやかな成長を願う気持ちは同じ。家族にとってちょうどいい力の合わせ方は、きっと見つかるはず」という——。

※本稿は、石原壮一郎『押してはいけない 妻のスイッチ』(青春新書プレイブックス)の一部を再編集したものです。


■意気込むことは問題ないが、気負い過ぎてしまうのは危険


パパは、最初からパパではありません。育児に悪戦苦闘しながら、徐々にパパになっていきます。ママも同じ。お互いに「何が正解か」はよくわからないまま、今の自分たちにできることを精いっぱいがんばっています。


ただ、「子育てにちゃんと参加したい」と意気込むのは大いにけっこうですが、ちょっと気負い過ぎてしまいがちなのが難。とりあえず「イクメン」を形だけなぞって悦に入ってみたり、聞きかじった知識を語ってみたり……。


ママはママで気負いがあるので、パパをあたたかく見守る気持ちの余裕はありません。ちょっと過敏に反応して、パパへの怒りが芽生え、言い争いに発展してしまいます。


しかも、パパは心の奥底で「育児はやっぱりママにはかなわない」という引け目を抱きがち。それを言い訳にママをアテにして、消極的になってしまう場面もあります。


写真=iStock.com/FatCamera
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/FatCamera

■理不尽なダメ出しや落胆を黙って受け止めることも大切


妻であるママに、至らない部分を責められるのは仕方ありません。しかし、時に理不尽なダメ出しをされたり、ご期待に添えずにガッカリされたりすることがあります。


つらいところですが、そういうことを黙って受け止めるのも、夫であるパパの大切な役目。ふんわり受け止めつつ、自分の反省点を少しずつ改善していけば、やがて妻にとっても夫にとっても、そして子どもにとっても、ストレスがいちばん少ない我が家流のスタイルができていくでしょう。


■自称イクメンがやってしまいがちな言動


【妻のスイッチを押す言葉1】
おむつ替えをしたら妻に「ありがとう」と言われた……


「俺がダンナでお前は幸せだよな」


妻から「調子に乗るな!」と即座に突っ込みが入りそうな場面です。そうじゃないとしても、激しく呆れて、せっかくの感謝の気持ちは消え去ってしまうでしょう。


こういうセリフは、妻の口から出てきたならさておき、自分で言ったら台なし。じつは妻のことは二の次で、自分にしか興味がない本性をのぞかせることにもなります。


※夫株を上げるひと言 「このくらい当たり前だよ。足りないところはどんどん言ってね」


【妻のスイッチを押す言葉2】
妻が「あの子は走るのが苦手らしい」とこぼしている……


「ウチの家系で足の遅い人はいないんだけどな」


夫としては、他愛ない軽口として“事実”を言っただけのつもりかもしれません。しかし、妻は「お前の血筋のせいだ」と責められているように受け止めるでしょう。


子どもに関する相談事では、あやふやな根拠で原因の追求をしても仕方ありません。大切なのは、これからどうしてあげたいか、親として何ができるかです。


※妻が喜ぶリアクション 「誰だって得意不得意があるから気にしなくていいよ。あの子なりの長所もいっぱいあるし」


【妻のスイッチを押す言葉3】
ご飯を食べさせている子どもが遊んでばかりいる……


「ほら、またママに怒られるよ」


子どもというのは、基本、こっちの言うことを聞いてくれません。思うように動いてもくれません。かといって、いちいち声を荒げて叱るのは避けたいところです。



石原壮一郎『押してはいけない 妻のスイッチ』(青春新書プレイブックス)

そんな状況で言ってしまいがちなのが、このセリフ。一瞬、ママを立てているようにも聞こえますが、実際はママに悪者役を押しつけているだけです。ママだって、子どもにとって怖い存在になりたいわけではありません。しつけだと思って仕方なく叱っているだけです。


こっちがご飯を食べさせている横で、たとえば片付けものをしているママがこのセリフを聞いていたら、「なにそれ! 自分ばっかりいい子になろうとしないでよ!」と、さぞ腹が立つでしょう。


このセリフからは、悪者役を押しつけようというズルい姿勢だけでなく、子どものしつけをする主体はあくまでママで、自分に責任はないというスタンスも透けて見えてきます。


子どもの父親としても夫としても、一気に信頼をなくしかねない危険性を秘めたセリフと言えるでしょう。


※妻を感動させる行動 「おお、上手に食べられたね」などとおだてながら、最後まで根気よくご飯を食べさせる


■「妻の苦労がよくわかりました」と言っては絶対ダメな理由


【妻のスイッチを押す言葉4】
妻が子どもより先に自分が寝てしまうことを嘆いている……


「母親としての自覚が足りないよね」


妻だってせいいっぱい頑張っています。至らないのはわかっているし、反省だってしています。歯がゆいことがあったとしても、「母親としての自覚」をどうこう言うのは大きなお世話以外の何ものでもありません。


まして、日頃から寝かしつけを妻に任せている夫が言ったら、しばらく口を利いてもらえなくなるでしょう。


※妻が喜ぶリアクション 「ハハハ。疲れてるんだからしょうがないよ。たまには俺が寝かしつけようか?」


【妻のスイッチを押す言葉5】
妻のママ友や義父母に育休を取っていることを感心された……


「子育てって奥が深いですね」


感心してくれた相手に「イクメン」っぽいことを言いたい気持ちはわかります。しかし、横で聞いている妻は、間違いなく「ちょっと手伝ってるぐらいでイイ気になるな」とウンザリした気持ちになっているはず。


同様に「妻の苦労がよくわかりました」や「世の中の母親への尊敬の気持ちが高まりました」なども危険です。


※夫株を上げるひと言 「ぜんぜん役立たずで、○○(妻の名前)の足を引っ張ってばっかりです」


写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maroke

【妻のスイッチを押す言葉6】
イタズラを妻に叱られて子どもが大泣きしている……


「叱るときは子どもの目を見るといいらしいよ」


子どもが大泣きしているという一種の混乱状態を脱するために、何か建設的な提案をしようとしたつもりかもしれません。しかし、この状況で聞きかじった育児のウンチクを述べるのは、あまりにも命知らずです。


叱っている妻だってかなりイライラしてるだろうし、たとえそのウンチクが有益だったとしても、すでに大泣きしている子どもに対しては何の意味もありません。妻は「いいから黙ってろ」としか思わないでしょう。


そもそも、ほかのすべてのウンチクと同様、「聞きかじった育児のウンチク」は、どんなタイミングで言っても、聞かされる側にとっては迷惑なだけ。「へえー、よく知ってるのね」と感心されたり、「そうなのね。教えてもらって助かったわ」と感謝されたりすることはありません。


「妻の今のやり方よりも、明らかにこっちのやり方のほうがいいはず」と思った場合は、口で言うより先に、自分で念入りに実践して効果を確認してからにしましょう。そうすれば、少しは耳を傾けてもらえます。


※妻が望んでいること たとえばこの状況の場合、横から評論家っぽく口を出しているヒマがあったら、一緒にあやす努力をする


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石原 壮一郎(いしはら・そういちろう)
大人系&検定系コラムニスト
1963年三重県生まれ。1993年に『大人養成講座』でデビューして以来、大人の素晴らしさと奥深さを世に訴え続けている。『大人力検定』『父親力検定』『大人の言葉の選び方』など著書多数。最新刊は、会社の理不尽と戦うための知恵と勇気を授ける『9割の会社はバカ』(飛鳥新社、共著)。郷土の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」を務める。
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(大人系&検定系コラムニスト 石原 壮一郎)

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