試乗レポート・エンジンの出番が減った新型ノート

2月25日(木)6時0分 JBpress

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 日産の第2世代「e-POWER」を搭載した新型「ノート」に公道で試乗した。加えて、日産の開発担当者と第2世代e-POWERに関してオンラインで意見交換を行うことで、日産の電動化戦略の実態が見えてきた。

 まず、日産の事業戦略全体を確認すると、内田誠CEOは2020年5月28日、2023年度までの4カ年の中期経営計画「NISSAN NEXT」を公表している。この中で、年間100万台以上の電動化技術搭載車の販売を目指すとしており、EVでは「リーフ」に次いでクロスオーバーモデルの「アリア」を2021年半ばに発売する。e-POWERについても日本市場で搭載車を4車種追加するとしている。


3代目ノートは全車がハイブリッドに

 e-POWERとは、日産が独自にネーミングした「シリーズ(直列)ハイブリッド」のことである。エンジンを発電機として使い、搭載するバッテリーに蓄電してからモーターを駆動させる電動化システムだ。ただしe-POWER開発者は「走行状況によってはバッテリーを介さずにモーター駆動する場合もある」と説明している。

 日産がe-POWERを初めて採用したのは、2016年のノート商品改良の際だった。結果的に、e-POWERはハイブリッド車の主流であるトヨタ車に大きな影響を与え、ノートの直接的なライバルであるトヨタ「アクア」や、車格としてはひとつ上になる「プリウス」を凌ぎ、2018年には日産史上初となる登録車市場の年間販売台数第1位となった。

 その後、日産はe-POWERを人気ミニバンの「セレナ」にも搭載した。また、北米や南米で発売されていたコンパクトSUV「キックス」にも改良型e-POWERを搭載し、タイ生産車を日本に輸入している。

 今回、日産は、第2世に進化させたe-POWERを、フルモデルチェンジの3代目ノート全車に搭載した。

 e-POWERは、ガソリンエンジンとモーターの組み合わせから成る。エンジンはこれまでの1.2リッターガソリンエンジン「HR12」を一部改良した。初代e-POWERとの大きな違いはインバーターをエンジン側と一体構造とし、質量として40%小型化、重量で35%軽量化したことだ。モーターについてもトルクを10%以上向上させている。

 ノートでは、こうしたe-POWERの大幅改良に加えて、車体もこれまでの日産Vプラットフォームから、ルノーと日産が共用するCMF(コモン・モジュール・ファミリー)のBセグメント向けに刷新した。


エンジンがかかる頻度が減少

 日産の横浜本社の地下駐車場から新型ノートで走り出してまず感じたことは、「エンジンがかかリにくい」という点だった。

 2016年後半、初代e-POWER搭載のノートで同じ地下駐車場から地上に出る際はすぐにエンジンがかかり、その後の横浜市街地での走行中もエンジンが頻繁に作動した。それが第2世代e-POWERでは、エンジンがかかる頻度が大きく減った。

 搭載する電気容量1.5kWhのリチウムイオン2次電池の仕様は大きく変わっていないが、「バッテリーの残量が少なくなるまで極力発電せず、より効率的にバッテリーを使う制御を採用した」(開発担当者)。その制御によって、「ユーザーからの指摘も多かった、エンジンがかかる状況を大きく減らした」(同)という。これはキックスから導入した制御方法だ。

 また、新型ノートでは、荒れた路面を走行してロードノイズが大きい場合にエンジンを作動させて発電するシステムを開発した。今回の試乗ではその状況に遭遇しなかったが、首都高速を走行後、大黒パーキングエリアで停車中に、バッテリー残量が少なくなるとエンジンがかかった。

 また、初代e-POWERには、アクセルペダルを踏むと加速して離すと強力なエンジンブレーキで大きく減速し、ブレーキを踏まなくても交差点前の停止線などで完全停止ができる「e-Pedal」機能が搭載されていた。だが、「駐車をする際など使いづらいという声がかなりあった」という。そこで今回、ガソリン車のオートマチックトランスミッションのように、アクセルオフ時に低速で移動するクリープ走行を取り入れた。走行モードはSPORT、ECO、NORMALと3モードあるが、どのモードでもクリープ走行できる。

 開発担当者は、e-POWERのさらなる展開について、「欧米での走行環境を考慮し、発電に利用するエンジン排気量を現在の1.2リッターより大型化する仕様を、海外市場向けに展開することを視野に入れている」と語る。日本市場での普及をきっかけとして、e-POWERが日産の今後の成長の原動力になる可能性もある。


カーブ進入時にRの大きさにあわせて自動減速

 さて、今回の試乗全体を振り返ってみると、エンジンがかかる頻度が減ったことで“かなりEVっぽい”という印象を持った。この点は、e-POWER開発者も強調していた点だ。

 また、外観とインテリアの見た目の印象、そして走り全体が、先代ノートと比べて一段階というよりも数段階、上質感が増したと感じられた。

 そのほか、日産独自の運転支援技術「プロパイロット」では、「NissanConnectナビゲーションシステム」と連動し、カーブにさしかかるとカーブのR(半径)を予見して自動的に減速する機能がオプションとして追加された。実際に使ってみると、減速が始まるポイントは問題ないが、カーブの中間からカーブの出口にかけて周囲のクルマの実勢速度との速度差が大きい場合があり、自らアクセルを踏んで加速しなければならないシーンが度々あった。あくまでも、カーブ進入時の保険のような感覚で運転するべきだと感じた。

 なお、今回の試乗車は最上級のXグレードの2WDモデル(218万6800円、消費税込み)である。インテリジェントアラウンドビューモニターや、Nissan Connectナビゲーションシステムなどをパッケージした44万2200円のメーカーオプションが装備されていた。

 日産によると、新型ノートの初期受注(2020年11月24日〜2021年1月31日)は、月販販売目標台数8000台の約2.5倍のペースとなる2万0044台となった。内訳は、Xグレードが84.2%、中間のSグレードが15.6%だという。

筆者:桃田 健史

JBpress

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