「本能寺の変」こそ 最強のストーリー戦略です。

2月28日(木)6時0分 ダイヤモンドオンライン

えっ?

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どんなに時間をかけて作った動画も、広告も、文章も、ほんの少しでも「つまんない」と思われたら、消費者は離れていくシビアな時代。


そこでキーになるのは、「途中で飽きさせない」こと。


本記事では、視聴者が誰も知らない完全な「市井の人」を主役にするドキュメンタリー番組『家、ついて行ってイイですか?』の仕掛け人でありストーリーテリングの名手、テレビ東京制作局ディレクターの高橋弘樹氏が、発売即増刷し、「異色すぎるビジネス書」として話題の新刊『1秒でつかむ』の内容をベースに、受け手が没入するストーリーに欠かせないスキルを具体例でお伝えする(構成:編集部・今野良介)。


実話です。


どうやったら番組を飽きずに観ていただけるか。


『家、ついて行ってイイですか?』という番組において、そのキモを、具体例を用いてひと言であらわすなら、「あ、うんこ漏らしちゃった。」です。


これは、実際、最近あったVTRです。


とあるがっしりとした36歳の男性について行きました。水道施設工事業を営む社長だというその男性。「家、ついて行ってイイですか?」と聞くと、奥さんに電話。そしてOKをくれました。


ですが、ここでテロップが入るのです。


「だが、この時スタッフは、彼が隠す秘密に気づいていなかった……」


その男性がコンビニに寄りたいというので、コンビニに行き、タクシーに乗ったら窓を開けて会話します。


ぼくは、ディレクターさんが編集してくれたこのVTRを初めて観た時、このパターンはお家に入れないNGパターンかな、と思いました。電話をかけてはいたけど、実はOKもらえてないんじゃないかな、と。


でも、家につくと衝撃の事件が待っていたのです。


扉を開けると、美人の奥さんが待っていました。33歳だそうです。番組の説明をすると、あっさりロケOK。


「あれ? 違った……」


ぼくがそう思った直後、奥さんの様子が突然、おかしくなりました。旦那さんが洗面所にいった時、奥さんが旦那の服を手に持ってきて、スタッフに尋ねたのです。


「すみません、これ、いつからですか?」


ん? 


この時点では、「まさか女性遊びとか不倫か? その証拠に、洋服に香水か何かの匂いでもついていたのかな」などと思ったのですが、次に奥さんから衝撃の言葉が……。







「あの人、うんこ漏らしてる……」



えっ??


えーーーーー??


前代未聞です。いい大人が、カメラの前でうんこ漏らしてる? ウソでしょ? 


あわてて、洗面所のほうにディレクターがダッシュ。


すると、男性が、うんこのついたズボンを洗濯機に入れて証拠隠滅しようとしているではありませんか。うんこのついた服を、直接洗濯機に入れるなんて……。


聞けば、カメラに出会った瞬間から、すでにうんこが漏れていたと言います。


そこで、編集上では、そこから過去を検証する構成にしました。


よく見ると、妙にコンビニに行きたがっています。

トイレを借りたかったのだそうです。

さらによく見ると、移動中のタクシーの窓が開いています。

うんこの匂いを少しでもごまかそうとしたそうです。

よく見ると、靴には茶色いシミが……。

うんこです。


以上を、がっつりオンエアさせていただきました。


これが、ぼくが思う、1秒も飽きずに継続して番組を観てもらうために必要なこと。


ひと言でいうと、「裏切り力」です。


まさか、ですよ。大の大人がテレビの前でうんこ漏らすなんて思わないんです。

まさか、ですよ。そのズボン、こっそり洗濯機に入れてるなんて思わないんです。

まさか、ですよ。しかもそれが出会った時から漏らしてたなんて思わないんです。

まさか、ですよ。これが一番衝撃的だったのですが、最後ディレクターが「これオンエアしても大丈夫ですか」と聞くと、夫も奥さんもOKだっていうんですよ。


でも、ですね。ここから、番組を観てもらった視聴者のみなさんに味わっていただける、さらなる裏切りがもう1つあるんです。


この夫婦、とにかく、見ていて、好きになるんです。本当に懐が深くて、もう気持ちいい夫婦でした。うんこ漏らして笑ってるんですから。これ、心の底から、その夫婦が羨ましかったです。そして、このご主人、相当自分に自信あるんだろうな、と嫉妬さえしました。結果、うんこ漏らしてるのに、この夫婦の好感度が上がるんですよ。


もし、『家、ついて行ってイイですか?』が、明石家さんまさんよりマツコ・デラックスさんより、さまざまな世代・嗜好・属性のみなさんから「目が離せない」という結果をいただけているのだとしたら、それは、この「裏切り力」にあると思います。


「常に視聴者の想像を裏切り続ける力」です。


実は、この「裏切り力」が、ストーリー作りにおいて受け手を引き込む上で、もっとも重要な技術の1つです。





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