ベンツ年100台売る営業マンの時間管理法

3月1日(金)9時15分 プレジデント社

ヤナセ 名谷店 セールスマネージャー 高柴利之氏

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ヤナセで年間100台以上メルセデス・ベンツを販売し、トップセールスとして毎年社内・メーカーの表彰を受ける高柴利之氏。商談、アフターフォロー、事務作業と、売れば売るほど仕事が増えるなか、どのようにスケジュール管理をしているのだろうか——。

■勝負を決める2時間の企画タイム


学生時代は焼鳥屋でアルバイトをしていて、営業とは無縁の生活を送っていました。そんな私がセールスとして販売実績を積み上げてこられたのは、1年目に貴重な体験をさせてもらったことにあります。




ヤナセ 名谷店 セールスマネージャー 高柴利之氏

最初に配属されたのは神戸市須磨エリアの支店。当時は飛び込み営業が中心で、新人も例外なく外回りをしなければなりませんでした。しかし、高級輸入車を買っていただけるお客様がどこにいるのかはよくわかりません。そこで支店長に言われるがまま、指示されたエリアで飛び込みを始めたら、なんと1軒目で当時800万円ほどだったメルセデス・ベンツのEクラスをご購入いただけたのです。


本当にただの偶然でしたが、最初にラッキーパンチを放ったおかげで飛び込みに対する苦手意識を持つことはなく、1軒でダメなら2軒、2軒でダメなら10軒、10軒でダメなら100軒と躊躇することなく玄関のベルを押せるようになりました。量をこなしたことで1年目に飛び込み販売5台を含む41台を販売でき、新人賞を獲得。評価されたことで、営業という仕事がますます好きになりました。


しかし、量をこなすだけのスタイルではいずれ限界が来ます。私も、お客様の数が300軒を超えてきたあたりから壁にぶつかりました。新車セールスの仕事は、営業だけではありません。むしろ時間の多くを占めるのは、書類作成などの事務やアフターフォローの業務です。たとえば1年点検や車検の時期が来れば、段取りを組んでお客様の車を引き取りに行きます。また、予期せぬ事故や、バッテリー上がりなどのアクシデントにも担当者としてすぐに対応する必要があります。お客様の数が増えた結果、こうした業務が全体の9割近くを占めるようになり、営業する時間が減ってしまったのです。



お客様が増えると、1度購入されたお客様が車を買い替えてくださったり、知人を紹介してくださったりするので、次第に飛び込み営業はなくなっていきます。その意味では営業する時間が減っても問題はないのですが、困ったのは考える時間がないことでした。


既存のお客様に買い替えを打診するのにも、適切なタイミングがあります。車検の時期やお客様のライフイベントなどを踏まえて、いつ、どのような提案をすればいいのか。勝負はこの提案づくりの段階でほぼ決まります。ところが事務やアフターフォローで多忙になり、じっくり考える時間を確保できなくなってきました。どんなに忙しくても、最低1日2時間、できれば3時間は考える時間をキープしたい。そのためには効率的に仕事をこなさなくてはいけない。そう思い当たってから、時間の使い方を意識して工夫するようになりました。


まず同じ内容のメッセージであれば、個別に電話をかけるのではなくメールで一斉に送るようにしました。いまではお客様が700軒近くに増えているので、こうした小さな工夫でも大きな時間の節約になります。


スケジュールでも予定が重ならないように、午前と午後に分けて予定を組むようにしています。以前は事務作業からアフターフォロー、商談のアポイントまでも入ってきた順に入れてしまい、効率が悪くなっていました。そこで、同じ業務は意識的にまとめて日程を調整するようにしたのです。たとえば車庫証明や委任状などの書類は、数台分をまとめて作成。同じ車種なら、記入内容もだいたい同じ。分けて作成するとその都度PCに入力する必要がありますが、まとめて作成すれば、1度入力した内容を流用できます。車検や1年点検のための車の引き取りも同じ。まとめてやったほうが頭をいちいち切り替えなくていいので、できるだけ朝から昼にかけて、14時には終わるように予定を集中させています。


■お客様にもリスケをお願い


購入見込みのお客様に来店いただく商談も、できるだけアポイントをまとめます。そして、商談時間もコンパクトに1時間と決めています。じっくりお話ししたほうがお客様との関係性が構築できるというセールスもいますが、私は逆です。インターネットの時代ですから、お客様は事前にさまざまな情報をインプットして、車の知識が豊富な状態で来店されます。そこに同じ説明を加えても、「くどい」と思われるだけ。また、長い世間話もお客様を疲れさせます。重要事項やローンの説明など省けないものはきちんとお話しして、そのほかはできるだけ簡潔に短時間で終わらせます。


それらの業務を夕方までに片付けて、ようやく考える時間に入ります。基本的に長時間の残業はしません。終業時間は18時で、残業しても20時過ぎまで。それでは終わらない場合は、事務やアフターフォローの作業を翌朝、早めに出社して処理します。



予定がたてづらいのは、事故や故障など突発的なアクシデントへの対応です。迅速に対応できるかどうかがお客様の満足度に影響するので、携帯電話は片時も離しません。とはいえ、すべてに対応していたら仕事が終わりません。そのときの優先度は、「緊急度」「重要度」「自分でなければいけないか」で判断します。たとえば「JAFが来るまで車を見ていてほしい」という場合は、ほかのスタッフに行ってもらうこともあります。


突発的な対応でもともとの予定の再調整を迫られるケースもよくあります。当日電話をしてお客様にスケジュールの変更をお願いすることもある。ただ、メルセデス・ベンツのお客様はゆとりのある方が多く、「いつでも好きなときにおいで」と言ってくださる。そこはお客様に助けられていますね。


ヤナセに入って18年。ありがたいことにトップセールスとして走り続けてきましたが、現状に満足するつもりはありません。自動運転やAI技術の進化で、私たちの仕事の在り方も大きく変わるはずです。変化をとらえ、私自身も変化を続けていこうと思います。


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▼高柴さんのマルチタスク仕事術

1 予定は午前・午後で、ジャンル別に集約

頭のなかを切り替える時間を減らすため同じジャンルの仕事はまとめる。手帳も左右をAM/PMに分けて、お客様の名前だけを記入。得意先700軒の情報は記憶しており、メモとしては十分とのこと。




2 細かい事務作業は、3分・10分・30分で管理する

商談、アフターフォロー以外の短時間で終わる事務作業は、3分の作業、10分の作業、30分の作業と分類して、机の上に付箋を貼って管理。作業が終わったら、1枚ずつ付箋を捨てていくという。


3 背中で教える時間管理法

支店の後輩には意識して営業や時間管理法を教えてはいないが、自然と真似するようになり支店全体でも残業は少ない。2018年度は最優秀拠点にも選ばれた。

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高柴利之(たかしば・としゆき)

ヤナセ 名谷店 セールスマネージャー

1977年、兵庫県生まれ。大学卒業後、2000年にヤナセに入社。西日本では15年連続販売台数日本一。毎朝6時に起きて1時間のランニングとストレッチ、水曜日は仕事終わりにヨガのスタジオに通う。

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(ヤナセ 名谷店 セールスマネージャー 高柴 利之 構成=村上 敬 撮影=福森クニヒロ)

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