孫正義氏にも「焦り」が垣間見える

3月1日(金)20時36分 財経新聞

 2月6日に行われたソフトバンクグループ(以下、SBG)の4-12月期決算の決算説明会を、SBGが配信した動画で見た。1時間59分に及んだ説明会には孫正義CEO、後藤芳光専務執行役員CFO、君和田和子常務執行役員経理統括が壇上に並んだ。

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 3人の紹介に続き、早々に孫氏が説明に立った。説明用のスクリーンには孫氏の手元の端末スイッチで操作された、見た限りでは理解しがたい「数式」が書きなぐられていた。そして次のスイッチ操作で浮かび上がったのが『25-4=9?』。

 周知の通りいま、SBGの主体事業はSVF(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)をコアにした投資事業である。この数式を孫氏はこう説明した。「25」=傘下のソフトバンクや米国携帯企業スプリント、中国のアリババなど投資先企業の保有株式の価値25兆円。「4」=SBGの純有利子負債額4兆円。「9」=6日終値時点のSBGの時価総額。「?」=「(SBGの)株価は安過ぎませんか」という孫氏のメッセージ。

 そうした上で、説明会では「自社株買い」に言及している。上場会社のCEOが「当社株は安すぎる、自社株買いを行う」とするのは、尋常な在り方ではない。ともすれば「株価操作」の指摘を受けかねない。が、この発言を受け翌7日のSBGの株価が6日の終値(8462円)に対し21%高:1万270円まで買い進まれた(終値ベースでも18%高)ことは事実。

 孫氏はなぜかくもSBGの株価に拘りを示したのか。孫氏は現在のSVF:10兆円を投資しつくせば、新たなファンドの組成を公にしている。だがいま想定の展開に「壁」を感じとり始めている、というのが世の中で注目を集め始めて以来「孫氏ウォッチャー」を自認している私の見方である。

 前にも記したが「まさか携帯電話の大手の一角になるとはご自身思ってもみなかったでしょう」と茶化す材料として、ゴルフでの「パー72」記念として作ったテレホンカードを今でも所持している(残金は.ゼロだが)。

 確かに孫氏、SVFの運用担当者の力は認める。昨年10-12月の世界同時株安で、例えば投資先の1社である米国半導体大手のエヌビディアの時価総額が半減した時、痛感した。デリバティブ取引で損失を抑制し、株価を下支えしながらSVFは10-12月期に前年同期比3倍の利益を計上。1月にはエヌビディア全株を売却し投下資金を回収するという離れ業を見せつけた。

 が、孫氏の頭の中にはSVFの資金の多くが、「貿易摩擦」で予断を許せない状況の米・中企業に投下されているという「事実」が刻み込まれている。両国の関係の在り様いかんでは、米中そして世界景気の想定以上の減速で、株式市場が大幅に下落しファンドが傷つく懸念が捨てきれない。ゆえに母体のSBGの弱みは絶対に晒せないし、株価下落はなにがなんでも回避しなくてはならない。そんな「焦り」が、前記した「株価操縦」と指摘されかねない状況に我が身を置いたのだといえる。

 ちなみに本稿作成中のSBGの時価は、1万円400円台余。昨年来高値より1100円近く、ウオッチャーアナリストの予想平均株価(IFIS目標平均株価)1万3265円からは3000円近く下値に留まっている。

財経新聞

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