海外に軽自動車がない理由 輸出も生産もされない背景とは

3月2日(火)7時27分 財経新聞

スズキ・ジムニーはインドで輸出専用モデルが生産されている(画像: スズキ発表資料より)

写真を拡大

 現在の海外のメーカーでは、軽自動車が生産されていない。また日本から海外へ軽自動車を輸出する動きも消極的だ。近年の日本の自動車業界では軽自動車が多くの話題を提供しているが、海外に波及しないことを不思議に思う人もいるだろう。

【こちらも】それでも“三菱自は潰れない?” 国内販売で輸入車以下でも生き残れる理由は?

 数少ない外国の軽自動車としては、インドでスズキ・マルチ800というアルトをベースにしたものや、プジョー・ionという三菱・i-MiEVのOEMが登場している。i-MiEVやスズキ・ジムニーのように、実際に輸出される例もある。しかし日本に進出している外国の自動車メーカーの現行ラインアップを見ると、軽自動車に該当する車種は見られない。

 これには2つの理由が考えられる。日本と欧米における交通事情の違いと、欧米独自の衝突実験に対する考え方である。

 欧米では車の性能を最大限に引き出す走りが好まれる。しかし現実の軽自動車は車体規格が厳しく制限されており、排気量も660cc。最高出力も高くて64PSがお決まりだ。ドイツのアウトバーンやアメリカのインターステートハイウェイなど、欧米では見通しに優れた道路が多い。その中で長距離移動となると、自然とスピードを出したり、先を急いだりするドライバーも多い。

 一方で日本独自のスタイルである軽自動車は、住宅地のような入り組んだ路地での小回りの利きやすさや、燃費を重視している。欧米のスピーディな自動車文化にはなじみづらいのだろう。

 欧米独自の自動車文化は、衝突実験に対する考え方にも現れている。たとえばアメリカでは非営利の評価団体であるIIHSが、1500kgというSUV並みの台車が突進する側面衝突試験を行っている。軽自動車よりもはるかに大きいSUVやピックアップトラックによる衝突を想定しているからだ。

 ヨーロッパでも「Euro NCAP」による側面衝突試験で、1300kg前後の台車を車にぶつけている。これは小型のミニバンやセダンからの衝突を想定したといえる。1300〜1500kgほどの車がぶつかることを実験段階から想定するとなると、軽自動車は衝突リスクが高いと見られがちだ。これが欧米の自動車業界の認識として共有され、軽自動車に手がつかない風潮につながっているのだろう。

 以上の背景から、軽自動車は日本独自の文化に落ち着いたといえる。軽自動車の魅力が海外に伝わる日はやってくるのか。

財経新聞

「軽自動車」をもっと詳しく

「軽自動車」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ