大和ハウスの街づくり トンネルから線路までグループで完結

3月9日(土)7時0分 NEWSポストセブン

今年4月オープンの「グラノード広島」

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 戸建住宅をコア事業に、賃貸住宅、分譲マンション、商業・物流施設、ホテル運営など経営の多角化を進める大和ハウス工業。2018年4〜12月期の連結決算は、純利益1843億円と7年連続で過去最高となった。業態を広げるなか、重視するものとは何か。芳井敬一社長に訊いた。


──最近の大和ハウスは住宅メーカーというより、多種多様な業態の総合商社という印象です。今年4月に広島でオフィス・商業複合施設「グラノード広島」を、来年春には沖縄で水族館付き大型複合施設をオープンすると報じられました。


芳井:弊社のビジネスはそもそも「街づくり」がベースでした。土地を造成して、値ごろ感のある価格帯で良質な住宅を建てようと。そうなると賃貸アパートなど集合住宅も視野に入ってくる。


 そして1軒、また1軒と人が住むようになってくると、そこに「足りないもの」が浮かびあがってきます。次に考えるべきは、その街にお客様に喜んで頂ける「付加価値」をどうつけていくか。それでスーパーや飲食店などを備えた流通店舗の事業が始まった。


 そういう考え方で今の事業拡大に至るわけですが、長年の懸案はそうした住宅整備の前段階であるインフラ分野を手がけていなかったことでした。



──その取り組みは?


芳井:ゼネコンのフジタが2013年に仲間入りしたことが大きかった。フジタは国内のインフラだけでなく、海外事業にも長けている。1980年代から海外で高速道路工事をいくつも受注しています。フジタがグループに加わったことで、ほぼ一気通貫で事業ができるようになった。たとえば大手ゼネコンでは住宅は造れません。競合ハウスメーカーでゼネコンと提携している企業はありますが、「街づくり」という商流を一気通貫で取り組むという発想ではないでしょう。


 もう一つ、注力しているのが鉄道インフラです。フジタと大和小田急建設が合併(2015年)したことで、トンネルや線路の工事もできるようになった。そうなると、街づくりの基礎から完成形まで、ほとんどが自社グループで完結できる。


 街づくりを進める過程で、これまでは外部企業に頼っていた部分を、大和ハウスのグループ会社だけで議論していける。この優位点は大事にしていきたい。


──「大和ハウス」という社名ながら、戸建住宅事業の売り上げは全体(年間約4兆円)の10%前後。その点はどう考えていますか。


芳井:社名にある「ハウス」は戸建住宅に限らず、建物全般を意味します。ですが、住宅が当社のコア事業であることは確かです。個人の気持ち、個人のお客様をわかる会社であり続けたいと考えています。戸建住宅の比率が下がっても、精神は個人の方々に住宅を売るB to C企業であるということ。一人ひとりの顧客に対するおもてなしの心を絶対に忘れてはいけません。



──とはいえ、少子高齢化が深刻さを増すなかで、空き家は1000万戸に達すると目されています。新築住宅の販売は厳しくなっていくのでは?


芳井:最近、社内でよく言うんです。「かつて、我々が戸建て団地を造った頃のカタログを見てみろ。どのように住宅を売ったかを思い出してみなさい」と。


 すると、当時はご入居者様に夢を与えていたんだということがよくわかるんですよ。住宅を売るということは、「箱」だけでなく、「夢」を必ず同時に売っている。この住宅に住んでいただくと、こういう学校があって、こういう生活が送れますよと。今、その夢の続きを語れていない現実がある。


 当時はまだ、ここまでの超高齢社会は予見できませんでしたが、「夢の続きをお客様に語れるようにするのは我々の責任じゃないか」と社内で言っています。これは大和ハウスだけではなくて、行政サイドや競合社も含めて取り組んでいかなければいけない課題です。


【PROFILE】よしい・けいいち/1958年、大阪府生まれ。中央大学文学部卒業。神戸製鋼のグループ企業を経て、1990年に32歳で大和ハウス工業入社。2011年に取締役上席執行役員、2016年に取締役専務執行役員。2017年11月より現職。


●聞き手/河野圭祐(ジャーナリスト):かわの・けいすけ/1963年、静岡県生まれ。経済誌編集長を経て、2018年4月よりフリーとして活動。流通、食品、ホテル、不動産など幅広く取材。


※週刊ポスト2019年3月15日号

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