"頭のいい子を潰す"熱い親のヤバい声かけ

3月11日(月)9時15分 プレジデント社

※写真はイメージです(写真=iStock.com/FatCamera)

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4月の学校の新学期より一足早く、中学受験塾の新学年が始まっている。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員の小川大介氏は「中学受験生の家庭には小学5年生以降、勉強の量の壁、体力の壁、難易度の壁の“3つの壁”が立ちはだかります。子供の睡眠を削るなど力業で対処しようとする親もいますが、もってのほかです」という。教育熱心な親ほどやってしまう、子供をダメにする言動とは——。

※本稿は、『プレジデントFamily2019春号』の掲載記事を再編集したものです。


■勉強量は4年生を「1」として、5年生が「3」、6年生が「10」



▼教える人

小川大介さん

中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

プロ個別指導教室SS‐1を関西で創設、首都圏へ展開。コーチングと心理学を駆使した独自の指導法で実績を重ねる。

学校では新年度は4月から。だが中学受験では、ひと足早く2月が新学年のスタートだ。毎年、この時期になると「学年が上がってから、成績が伸び悩んでいる」という相談が多く寄せられると、中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員の小川大介氏は言う。


「新学年が始まったばかりのこの時期は“宿題が増えて終わらない” “テストの点数が大きく下がった” “新しい単元が理解できていない”といった相談が多いです。しかし、不安に思う必要はありません。この問題はどの家庭にも起きることなのです」


小川氏によると、この時期の受験生家庭には“3つの壁”が立ちはだかるそうだ。


「一つ目は“量の壁”です。受験塾では、学年が上がるごとに課題量が大きく増えていきます。4年生を『1』とすると、5年生が『3』、6年生が『10』という具合に、学年が上がるにつれて約3倍になっていくイメージです。学年が上がった途端、宿題が急に増えるので、驚かれる方が多いですね」



■子供が伸び悩む「3つの壁」の正体


次に立ちはだかるのが、“体力の壁”だ。


「学年が上がると、塾の授業時間が増え、家庭で過ごす時間は減ります。リフレッシュのための時間が減りますし、塾の授業が難しくなることで1コマあたりの疲労度も上がります」


特に春は季節の変わり目で、体調も崩しやすい。メンタル面でも不安定になる要因が多くなってくる。


「クラス替えや担任が代わるなど学校での環境の変化も、子供のストレスの原因になります。こうした“気疲れ”も子供の体力を減退させる大きな要因になります。その結果、塾で集中力が低下したり、家で宿題に身が入らないといったことが起きてしまうのです」



■教育熱心な親ほど「力業」で子供に壁を乗り越えさせて失敗


最後に“難易度の壁”だ。


「学年が上がると、問題の難易度が上がり、それまで通用していたテクニックでは、点が稼げなくなります。例えば国語の記述問題では、5年生の時には、傍線部の前後から拾って書くだけで正解となっていたものが、6年生では部分点すらもらえなくなったり、選択肢の問題も選択肢が絞り込みにくくなったりなど、求められる理解のレベルが格段に上がります。ここで点数を持ち直させるには、学習方法を一度見直す必要があります」


この時期にぶつかる三つの壁。対処法として避けたいのが、“力業”だ。


「焦るあまり親がやってしまいがちなのが、勉強時間を延ばして問題を解決しようとすること。しかし、体も未熟な小学生に、いきなり学習量を増やすのは無理があります。睡眠時間を削るのはもってのほか」


“3つの壁”は2カ月ほどかけてゆっくり対策していけばよいと小川氏は断言する。


「種明かしをすると、“学年が上がったから、学習法を見直せよ”という意味で塾が意図的にやっているのです。ですから、“睡眠時間を削る”といった力業で目先の学習結果を追うのではなく、新学年に見合った学習態勢を整えることに力を入れてほしいですね。2月から4月までの約2カ月間は、そのための調整期間だと思ってください。遅くとも4月末までに新学年の軌道に乗れば、安心して夏を迎えることができます」



■3つの壁にどう対処するための具体的な方法


“3つの壁”に直面する際、変えていく必要があるのは次の三つだ。


まず“量の壁”については、学習時間と学習量の上限を決めてしまうのがおススメだ。


「家庭学習は、4年生なら自由に使える時間の15%、5年生なら40〜50%、6年生では50〜80%を目安にしましょう。どこでこの時間を捻出するのかを、親子で話し合ってください。これで宿題が終わらないようであれば、睡眠・休息時間の確保を優先し、塾に“何を優先的にやったらよいか”を相談してください」


もし理解しきれていない単元ができても、慌てる必要はないそうだ。


「塾の年間学習計画を見ればわかりますが、スパイラル式に同じ単元を繰り返し扱うカリキュラムになっているので、次のタイミングで追いつければ十分です。それでも不安な場合は、5月までの祝日をチェックし、そこで遅れを取り戻せるようにあらかじめ計画を立てておくとよいでしょう」



■「こんな点数取って、ちゃんと勉強してるの!?」と小言を言う親


次に“体力の壁”については、1週間に一定程度の休息時間を設けてほしいと小川氏。




※写真はイメージです(写真=iStock.com/FatCamera)

「塾の時間、学校の時間が増えているうえに、勉強の難易度も上がっています。勉強の量も質も上がって、子供の脳はいっぱいいっぱいです。ここに家でも勉強を詰め込んだら、キャパシティーオーバーで、何も定着しません。春のうちは、塾の増えたコマ数に徐々に慣れて、難しくなった授業をしっかり集中して聞けるように食事や睡眠に気を使ってください。また、週に3時間は子供が自由に過ごせる時間を確保しましょう。脳をリフレッシュする方法を見つけておくと、受験後半で生きてきます」


最後に“難易度の壁”だが、これについては子供の考え方そのものを変える必要がある。


小川氏によると、学年が上がるにつれ、“自分で学ぶ姿勢”がより強く求められるようになるという。


「4年生までは、塾で授業を聞き、真っさらな状態にどんどん新しい“知識”や“型”を入れていく段階です。テストも知っていれば解けるレベルです。5年生になると、その“知識”や“型” を使ってさまざまな問題を解きます。さらに6年生ではもう一歩踏み込み、どの“知識”や“型” を組み合わせて解くのか調べたり、人に聞いたりしながら自分なりに切り開いていく段階までステップアップしていきます。つまり、学ぶ際の意識を、受け身から主体的なものに変えていく必要があるのです」


子供の意識を変えるには、親の声かけが重要だと小川氏は言う。まずは子供に“勉強には質の良しあしがある”ということをしっかり認識させる必要があるようだ。


「子供がテストで悪い点を取ると、親はつい『こんな点数取って、ちゃんと勉強してるの!?』などと小言を言いたくなりますが、そこを我慢して『よく頑張ってるのに、点数がちょっと下がっちゃったね。どうしてだろうね?』と、まずは共感してやってください。嫌みではなく、一緒に不思議がってやるのです。点数につながらないのは、何か理由があるはだよね、と。そうすれば子供は“なんで点数が伸びないのだろう”と自分自身をふり返ります」


■「(塾の先生に)こんなふうに聞いたら?」と質問の仕方を授ける


勉強に対する意識が変わると、自分より成績のいい子が“授業中どうやっているのかな” “ここの部分は知識があいまいだから、もう一回やり直したほうがいいかな”などと考えるようになるそうだ。


「できれば学習習慣の一環として、“塾の先生に質問に行ける”ようにしましょう。質問を通して、自分が何をわかっていないのか、どうやったら解けるようになるのか、頭の中が整理されます」


塾の先生に“質問に行く”のは、子供にとっては大きなハードル。勇気を振り絞って質問に行ったのに、“どこがわからないの?”と聞かれ、うまく説明できずに泣き寝入りするパターンも少なくない。


「そんなときには親が“こんなふうに聞いてみたら?”など、子供と一緒に上手に質問するための具体的なセリフを考えてやってください。どうしても質問に行きたがらない場合には、提出する宿題などに付箋を貼り、親御さんが先生宛てに質問内容を書いて、先生から子供に声をかけてもらうようお願いするといいでしょう。先生と子供との距離が縮まり、“質問”が習慣にできれば、自然と学習への主体性が身についていきます」



■わが子の学年が上がるごとに「役割」を変える親は◎


学年が上がるにつれ、親の役割も変わってくる。


「学年が上がると、親は勉強を教えるのが難しくなります。しかし、その分、塾とのやりとりなど側面の支援が親の重要な役割になります。4月までの調整期間だからこそ試行錯誤があってもいい。わが子にベストな環境をしっかり整えてやり、新たなスタートを切らせてやってください」




(加藤 紀子)

プレジデント社

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