2年間通った英会話は無意味だった…「TOEIC280点→940点」に爆伸びした"元英語難民"の超シンプルな勉強法
2025年3月20日(木)7時15分 プレジデント社
30万いいね!を獲得したマーク氏の「英語の時制」のピクトグラム図解(出典=『見るだけでわかる‼ 英語ピクト図鑑』)
※本稿は、マーク(村木幸司)『見るだけでわかる‼ 英語ピクト図鑑』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
■TOEIC280点から940点に伸びた秘密
私は、オンラインで基本英文法やTOEIC対策を中心とした英語を教えているマークといいます。英語コーチをやりながら、X(旧ツイッター)で英単語やフレーズをピクト(ピクトグラム)で図解した投稿をしているので、なかにはご存じの方もいるかもしれません。
この“英語ピクト図解”は、おかげさまで大変好評で、なかでもひろゆき(西村博之)さんに「これ、役に立ち過ぎて凄い。英語の教科書に入れさせて貰った方がいい」とリポストされた英語の時制の解説ピクトは、30万「いいね」と大反響がありました。
このように今では英語の仕事をしている私ですが、けっして昔から英語が得意だったわけではありません。英文科専攻でもないですし、学生時代の英語の成績は平均点かそれ以下。むしろ苦手意識すら持っていました。
TOEICを受けても990点中280点というありさま。そんな“英語難民”だった私が、その後TOEICで940点以上をとり、英語を教えるまでになりました。
英語難民だった私は、いかにして英語力を伸ばしたのか——。
その秘密をお伝えしたいと思います。
■いくら勉強してもTOEICの点数が伸びず絶望
私が英語学習を本格的にやり直したのは、30代前半でした。
当時の勤務先では、昇格にTOEIC500点以上が必要という要件があったのです。そこで私は英会話教室に通い、ネイティブの講師に英語を教わりました。
ところが、2年ほど通い続けたものの、いっこうに会話すらできるようにならず、TOEICは毎回300点台。まったく学習の成果が出ませんでした。
何年も勉強しているのに理解が進まず、英語の難しさに絶望しかけていた頃、日本人講師による基本文法の教室の案内を目にしました。正直、最初は乗り気ではありませんでした。というのも、当時の私は「英語はネイティブに教わったほうが伸びる」という“ネイティブ神話”を信じていたからです。
しかし、なんとかして英語力を上げたかった私は、思い切って日本人講師の基本文法の教室に通うことにしました。
これが思わぬ転機になったのです。
30万いいね!を獲得したマーク氏の「英語の時制」のピクトグラム図解(出典=『見るだけでわかる‼ 英語ピクト図鑑』)
■中学レベルの英文法がわかっていなかった
私はそれまで、中学生レベルの英文法ぐらいはわかっているつもりでいました。しかし、あらためて日本語で基礎から学び直してみると、中学レベルの英文法をぜんぜん理解できていないことに気がついたのです。
「時制」や「be動詞」、「品詞の機能」など、基本文法を文字通りいちから学び直していくうちに、勘違いや知らなかったことがどんどんクリアになっていきました。第2文型のSVCは「S(主語)=C(補語)」なんだとわかったときは、目から鱗が落ちるほど感動しました。
わかることが増えるにつれ英語の勉強が楽しくなり、学習のモチベーションもアップ。簡単な英文が読めるようになり、仕事でも海外拠点と英文のEメールでやりとりできるようになりました。
そしてTOEICも、460点→550点→700点とスコアが劇的に伸びていったのです。
■「英語はネイティブに学べ」は間違っている⁉
こうした実体験もあり、私は、とくに日本人が思い込みがちな「英語はネイティブに教わったほうが伸びる」というネイティブ神話は、必ずしも正解とは言えないと考えています。
私がそうだったように、英語の基礎をきちんと理解していない段階でやみくもに上級者と会話をしても、せいぜい覚えたフレーズを使うぐらいしかできず、自分の伝えたい文章をつくったりするのは難しいんですよね。
もちろん、英語で会話することが目的であればネイティブ講師に教わるのはありだと思うのですが、その場合でも基本の英文法がわからなければ文章はつくれないですからね。少なくともTOEIC対策においては、まずは英語の基本文法をきちんと身につけることが重要です。
基本の英語知識を身につけ、それを実用レベルで活用できるように広げていく。そんな、一見地味に思えるアプローチのほうが有効だと私は考えています。
日本語で基本文法をしっかりと固めてから、会話力を伸ばしたいなら英会話、TOEICで点数を取りたいならTOEICの過去問や公式問題集、英検を取りたいなら英検の過去問をやればいい。
まずはベースの基本文法を身につけ、あとは伸ばしたいところにフォーカスして伸ばしていくというイメージです。
■英語の勉強をするなら、まずは文法から
文法をしっかり押さえておけば、どんな状況でも言いたいことが“文章化”できます。あとは英作文などのトレーニングを積んで“瞬発力”を上げていけばいい。
ただ、そのベースとなる英文法がわかってないと、いざ英語で話さなければいけないときに、とっさの“瞬発力”が発揮できません。
たとえば陸上競技で速く走れるようになりたければ、まずは走る姿勢や腕の振り方、足の使い方などの基礎トレーニングを反復練習しますよね。基本ができていないのに、いきなり速く走ると体を痛めたり挫折したりします。それと同じです。
だから私は、「英語の勉強をするなら、まずは文法からやったほうがいい」と必ず助言しています。ただ、やはり文法と聞くとどうしてもお勉強感が出てしまい、あまりやろうとしない人が多いんですよね。
■英文法は大人になってからのほうが伸びる
でも、じつは英文法は大人になってからのほうが理解力が高いと考えています。
中学で英語を学び始めたときは、やれbe動詞だ、SVOCだ、時制だなど初めて学ぶことが次々とやって来て、英語=難しいという印象を植え付けられている人も少なくないと思います。
でも、それは当然ですよね。小学校を卒業したばかりの13歳かそこらで、まだ母国語である日本語の文法でさえおぼつかないのに、日本語とは文字も文法も異なる外国語を勉強しますと言われて戸惑わないわけがありません。
ところが、大人になってから中学の教科書を改めて開いてみると、思いのほかすんなりと理解できたりします。やはり中学生に比べたら日本語はもちろん英語に関する知識や接した機会も多いですし、学生時代に一度習ったベースがあるので、「そんな難しくないぞ」「なるほどそういうことだったんだ」と感じます。
■「基本文法の学び直し」で人生が変わった
私も基本文法から英語を学び直したおかげで、TOEICで700点を取得することができました。さらに英語力を活かして海外出張や海外駐在のチャンスをつかみ、会社の海外進出プロジェクトに参加。こうして、世界への扉が一気に開いたのです。
マーク(村木幸司)『見るだけでわかる‼ 英語ピクト図鑑』(プレジデント社)
その後、駐在先のタイでも英会話スクールに通ったり、TOEICの学習も続けたりして、800点→900点→940点(リスニング満点)まで英語力を伸ばすことができました。
現在は独立して、オンライン英語コーチなどをしながら、東南アジアを中心にノマドライフを満喫しています。英語をやり直したことで人生の可能性を広げ、自由な生き方を謳歌することができています。
「中学生レベルの基本文法をやり直したことが自分の未来の扉を開く鍵になった」。
これが私の中での揺るぎない結論です。中学英文法というのが仮に英語学習全体の1%だとしたら、そこだけやっておけば、あとは必要なときにその基本を引っ張り出してどんな状況にも対応できます。
「基本が大事」というのは何事にも通じる本質的なものだと、自信を持って言えます。30代、40代の人こそ、ぜひ中学英文法からやり直してほしいと思います。
写真=iStock.com/kf4851
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kf4851
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マーク(村木幸司)(むらき・こうじ)
英語コーチング協会認定コーチ
大手自動車メーカー勤務時代に、英会話教室でネイティブ講師に英語を習うも、ろくに会話もできず、TOEICは毎回300点台。しかし、英語の基本文法を学び直したところ英語学習に目覚める。TOEICのスコアも劇的に伸び、その英語力を活かして海外出張や海外駐在を経験。現在は脱サラして、英語コーチング協会認定コーチとして、基本英文法やTOEIC対策をオンラインで教えている。X(旧Twitter)でのピクトグラムを使った英語解説が話題になり、フォロワーは6万人以上。
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(英語コーチング協会認定コーチ マーク(村木幸司) 構成=岩佐陸生)