あなたの目標は「赤の他人」に立ててもらいなさい

3月27日(水)6時12分 JBpress

 こんにちは、人事戦略コンサルタントの松本利明です。PwC、マーサー、アクセンチュアなどの外資系大手のコンサルティング会社などで24年以上、人事と働き方の改革を行ってくる中で「おやっ!?」と思えることが実は多く発生してきました。

 実は、世間で言われる「セオリー」の9割が間違っているのです。思ったような効果が出ないのは、計算ミスより計算式そのものが間違っているのです。うすうす、あなたも気づいているのではないでしょうか?

 今回も「働き方改革」のセオリーの落とし穴と、代わりの速くラクに成功するコツについて解説していきます。


ストレッチ目標は挫折しやすい

 もう今年も3月末、一年の4分の1が過ぎようとしています。

 振り返れば年明けの1月、2019年の目標設定をされたという方も多いのではないでしょうか。順調に目標達成活動は続いていますでしょうか?

 おそらくですが、仕事の目標は着々と達成できているという方は多いのではないでしょうか。それは、達成できないと周りに迷惑をかけてしまうので、嫌でも頑張ってしまうからです。

 ところが、ダイエットや英語の勉強など、自己啓発系の目標はいささか様相が違うものです。こちらの目標を立てた人の中には、すでに挫折してしまった、という方も少なくないかもしれません。

 理由は簡単です。目標を立てる時というのは、どうしても気が大きくなり、チャレンジングな目標を立てがちになってしまうからです。1年間の目標を設定する場面をイメージしてみてください。普通なら、その目標を12等分し、ひと月分の目標に落とし込むのではないでしょうか。ただ、そもそもが高めの目標なので、ひと月分にしてもその達成は容易ではありません。

 そこで、もし1月の目標達成ができなかったら、どう感じるでしょうか? 「あぁ、目標に届かなかった」と、簡単に心が折れてしまいますよね。

 そうです、達成困難なところに到達点を置く「ストレッチ目標」は潜在力を高めてくれる効果はあるのですが、求めるレベルが高いので挫折しやすいメカニズムでもあります。この3月までに心が折れてしまった人は、もしかしたら心機一転を期して、4月スタートの手帳を買い、同じようなチャレンジングな目標を立てようとしているかも知れません。だとしたら、同じような歴史を繰り返す結果になる可能性が大です。

 なぜ人は、挫折を繰り返しているのに、ついつい大きなチャレンジ目標を掲げてしまうのでしょうか? 頭の中で描いた理想像を元にした目標設定は麻薬のようなものです。何度挫折をしても、新たな目標設定をすれば、「今度こそはできそう」と思い込んでしまうものなのです。

 例えば、禁煙しようとしている人は、タバコを吸いながら「このひと箱を吸い終えたら禁煙しよう」などと思うもの。その時は、タバコなんかいつでも止められる、という気持ちになっています。ところがちょっとタバコが恋しくなると、「あとひと箱だけ吸っちゃおうかな。どうせその気になれば、いつでも止められるんだし」ということで、またスパスパと吸い始める。そして気づいた時には元の木阿弥、「あぁ、また禁煙に失敗した」と落ち込むことの繰り返しになっている、ということが多いのです。


目標は他人に立ててもらうとブレークスルーしやすい

 イギリスのハードフォードシャー大学で心理学を研究するリチャード・ワイズマン教授の調査によると、過去に失敗した目標を目指そうとすると、無意識にストレスを感じ、その結果、目標が達席できなくなる率が高まってしまうとのことです。理由はストレスでモチベーションが続かなくなるからです。

「英語をペラペラしゃべれるようになる」「ダイエットする」などと、毎年同じ目標を掲げ、そのたびに失敗した経験は誰にでもあるのではないでしょうか。人間は事実と感情をセットで記憶します。挫折の感情と目標がセットになっているので、同じような目標を設定してしまうと、目標を思い浮かべるたびに、過去に挫折した悔しさや苦さまで蘇ってきてしまうのです。お陰で、目標を意識すればするほど、逆にストレスを感じるようになってしまうのです。

 ダイエットに必要なのは、食事の管理と運動の習慣です。おそらくそのことは誰でも頭では理解しています。分かっていても、人はダイエットの挫折を繰り返してしまうもの。そこに着目したのが、パーソナルトレーナーがついて食事の管理と運動のサポートをしてくれるライザップのサービスです。

 あの手法は、ダイエットだけに効果があるわけではありません。ライザップのトレーナーにダイエットをサポートしてもらうように、あなたの行動計画やカリキュラムを他人に立ててもらうと意外な効果が上がるのです。それどころか、行動計画やカリキュラムだけではなく、あなたの目標そのものを、他人に立ててもらうことも非常に有効です。「自分で目標を立ててみたけど上手くいかなかった」という人も、他人に目標や計画を立ててもらうと、そこから思わぬヒントを貰えることもあるのです。

 なぜそういう違いが出るのでしょうか?

 実は人間は、他人に対してだけでなく、自分に対しても「私はこういうキャラだ」というレッテルを貼ってしまっているのです。ところが、その自己認識は必ずしも正しいわけではありません。それは、「他人にどう見られたいか」という自我が、正しい自己認識を歪めてしまっているからなのです。

 だから、持ち前のキャラを活かせば三枚目のボケ役で人気者になれるのに、心の奥で「二枚目のイケメン俳優と思われたい」という自我があって、ついつい二枚目のイケメン俳優になるための目標や行動計画を立ててしまう。でもその目標や計画は、自分のキャラに合っていないので、結局は挫折してしまい、ほとぼりが冷めたころにまた同じことの繰り返し——という悪循環に陥ってしまうのです。


「タニモク」でブレークスルーのヒントをもらえ

 そこで紹介したいのが「他人に目標をたててもらう」というメソッド、通称「タニモク」という取り組みです。

「タニモク」は、求人メディアの運営や人材サービスを展開する「パーソナルキャリア株式会社が、人生100年時代を自分らしく生きるため、自分以外の視点を取り入れて選択肢を増やし、新しい目標設定を行うという“ライフキュレーション”ワークショップとして定期的に開催し、すでに40回以上開催された大人気の取組みです。実は以前、筆者も同じ取り組みを展開した経験があり、誰でも再現性があり、効果がでる方法です。

 その方法は主として2つの特徴があります。

特徴1:普段接点のない他人同士で、お互いの目標を立てあう
 自分を取り巻く環境や現状を説明し、それを聞いた他人から「自分だったらこうする」という意見をもらうことで、固定概念にとらわれない「目標設定」を行います。

特徴2:説明は基本的に「絵」。文字は極力使わず、対話を促す
 
あえて絵で表現することで、一方的な説明を避け、質疑応答中心の対話形式でワークを進めます。「絵」によって参加者の想像も膨らみ、思わぬアイデアにつながります。

 では実際の「タニモク」の取り組み方を説明しましょう。

 やり方は非常にシンプルです。利害関係のない人(=他人)で4人1組のチームとなり、1人(当事者)が自分の現状を他の3人に説明します。他の3人は自分がその人だったら何をするかを考えて目標を提案する、という30分のセッションをチーム人数分行っていくものです。ワークショップ自体はだいたい3時間程度ですが、内容はシンプルかつ簡単ですから、ワークショップに参加せずとも、誰でもすぐ真似できますし、これが大きな効果を発揮してくれます。

 タニモクには、他のワークショップにない3つのメリットがあります。

1、自分の発想にない選択肢を得られる
2、自分の考えに強烈な後押しをもらえる
3、他人の計画を立てる面白さを感じられる

 タニモクは、参加する人材の業種やスペックにより、出てくる目標も変わりますが、新しい視点で想定外の目標案を提示してもらえるので、ブレークスルーする目標を手に入れられる可能性が高まります。

 例えば、トヨタの人、三菱商事の人、リクルートの人がメンバーであれは、全員違う視点から、あなたの目標案を提示してくれるはずです。メンバー同士は初対面で構いません。というか、むしろその方が好都合でしょう。自分本来のキャラや資質は、無意識のうちに発揮されているからです。逆に変な前提がない分、素に近い、あなたの良さを見出してくれるはずです。

 ノウハウは公式ホームページで無料で公開されています。社外の友人・知人やSNSなどで呼びかけてみて、一度やってみることをお勧めします。
(タニモク公式ホームページ:https://tani-moku.jp/)

筆者:松本 利明

JBpress

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