トヨタは「新型カローラ」を本気で若者に売ろうとしている

3月31日(土)7時0分 NEWSポストセブン

日本でも発売予定の新型「カローラ ハッチバック」(米国名)

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 米ニューヨークで3月28日(現地時間)に開幕した国際自動車ショー。そこでトヨタ自動車は「カローラハッチバック」(米国仕様)を初公開した。日本でも今夏より発売予定だが、カローラといえば長年トヨタの代名詞となってきたブランドだけに、今後の販売動向が注目される。新型カローラに込めたトヨタの想いとは? モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏がレポートする。


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 先ごろ開幕したニューヨーク国際自動車ショーで、トヨタは新型「カローラハッチバック」を発表しました。注目なのは、アメリカとほとんど同時、日本でも初夏から発売するというところ。この新型車は、国内でもきっと大きな話題となることでしょう。


 なんといっても「カローラ」は、トヨタだけでなく日本のクルマ社会を育て上げた第一の功労者(車)です。


 1966年の初代から1990年代にかけて売れまくり、1969年から2001年まで国内の年間車名別販売台数(軽自動車を除く)で33年連続トップという大記録を打ち立てました。クルマが一般大衆に普及するのに「カローラ」は大きく貢献しました。「初めてクルマのオーナーになる」という人たちの愛車に「カローラ」を選んだ人が本当に多かったのです。


 ところが2000年代に入ると様子が変わってきました。景気後退の影響もあってか、ライバルは「フィット」や「ヴィッツ」といった、より小さなクルマになってゆきます。また身内の「プリウス」というハイブリッドも強敵に成長します。


 気づけば、「カローラ」のオーナーの平均年齢は60歳を超えることに。それに合わせて、日本国内向けの「カローラ」は、海外向けモデルとは別の、より小さくおとなしい雰囲気で作られるようになりました。でも、その結果、若者受けはもうひとつというクルマになっていたのです。


 一方、海外市場では今も「カローラ」は、大衆車として大人気です。世界累計販売は4500万台を突破。今でもコンスタントに年間120万台以上が販売されています。


 アセアンなど、モータリゼーション真っただ中の地域では、「手が届く最初のクルマ」に「カローラ」の名前が真っ先に挙がる状況です。そのため、世界での「カローラ」のオーナーは若い人がたくさんいます。実際に、ニューヨーク国際自動車ショーで発表された新型「カローラハッチバック」のルックスは、相当に若々しく格好良いものです。


「カローラ」の存在感がすっかり弱くなってしまった日本市場。しかも、日本市場の「カローラ」のハッチバックモデルは、10年以上も前に「オーリス」という別の名前に変わっています。


 3月のジュネーブモーターショーでは、欧州市場向けに新型「オーリス」が発表されました。ニューヨーク国際自動車ショーで発表された新型「カローラハッチバック」と比べると、顔つきが若干違うだけで、どう見ても同じクルマです。


 つまり、問題の新型モデルは、日本市場に新型「カローラハッチバック」ではなく、新型「オーリス」で導入するのが順当なところ。ところが、トヨタはわざわざ「カローラ」の名前で販売するというのです。いったい、どのような理由があるのでしょうか。


 推測できるのは「若者を狙っている」ということです。新型「カローラハッチバック」は、60歳以上の人に売れるとは、とても思えません。あまりにスポーティすぎるからです。逆に若い世代には人気が出ることでしょう。


 ちなみに、昨年に日本で発売されたホンダの新型「シビック」も、相当に若々しいルックスで登場しました。昔を知るオジサン世代の受けはもう一つのようですが、若い世代には受けて販売も好調です。きっと「カローラハッチバック」も同じようになることでしょう。


 つまり、トヨタとしては「カローラ」の顧客の若返りを狙っているのでしょう。そして、そこには「カローラ」を存続させるという強い意志を感じることができます。


「昔から売ってきたけれど、最近はダメ」というのは、言ってみれば「賞味期限切れ」ということ。さっさと見切りをつけて、別の名称で勝負するというのもひとつの手です。ところが、トヨタには今も「カローラ」の名称を掲げる販売店が全国各地に存在しています。


 昨年、「カローラ誕生50周年」のイベントを取材したときは、そうした「カローラ店」の人たちの「カローラ」への想いの強さに驚きました。彼らにとって「カローラ」は終わったものではなく、「まだまだ売れるもの」なのです。また、実際に世界市場に目をやれば、「カローラ」は現役の大人気モデル。やめるなんて選択肢は、はなからないのでしょう。


 そうとなれば、この夏に登場する「カローラハッチバック」は、相当に力の入った販売プロモーションが実施されるはず。ユーザーが若返れば、さらなるホットな「カローラ」が現れるかもしれません。


 いずれにせよ、この夏の「カローラハッチバック」の日本投入で、日本の「カローラ」のイメージは大きく変わるのではないでしょうか。


 日本ではホンダの「シビック」というライバルもいます。2019年になるとマツダの「アクセラ」の新型も登場します。ここ10年ほど、このクラスのハッチバックの人気は低迷していましたが、「カローラハッチバック」やライバルたちが揃って新しくなったことで状況は変わるかもしれません。


 スポーティな「ホットハッチ」と呼ばれるクルマが話題になる可能性も十分にあります。「カローラハッチバック」の登場で、日本市場がどう変化するのか注目したいと思います。

NEWSポストセブン

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