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「副駅名称」が鉄道の新たな稼ぎ口に 元祖はあの百貨店

NEWSポストセブン4月16日(日)7時0分
画像:「三越前駅」は駅名ネーミングライツの元祖
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「三越前駅」は駅名ネーミングライツの元祖
画像:平成筑豊鉄道の田川伊田駅の駅名標には、ネーミングライツを取得した「Mr MAX」のロゴが入り
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平成筑豊鉄道の田川伊田駅の駅名標には、ネーミングライツを取得した「Mr MAX」のロゴが入り
画像:新たに副駅名称“首都大学東京荒川キャンパス前”が付された「熊野前」
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新たに副駅名称“首都大学東京荒川キャンパス前”が付された「熊野前」

 スタジアムやホール、歩道橋や海水浴場など、施設の名称を自治体が広告として販売するようになって久しい。最近では、ネーミングライツ販売に取り組む鉄道事業者が増えている。いま、日本中に広がある「副駅名称」や「副名称」と呼ばれる駅名販売について、ライターの小川裕夫氏がリポートする。


 * * *

 3月26日、東京都交通局は都電荒川線の「熊野前」と「荒川二丁目」の2停留場に副駅名称を導入した。「熊野前」には“首都大学東京荒川キャンパス前”、「荒川二丁目」には“ゆいの森あらかわ前”という副駅名称がつけられている。


 近年、鉄道事業者は正式な駅名のほかにも副駅名称をつけるケースが増えている。副駅名称をつける背景には、どんな理由があるのだろうか?


「東京都交通局では、利用客の利便性を図ることを目的としています。今回、都電荒川線の2停留場で副駅名称が導入した背景には、これまでの名称に加えて多くの人が利用すると想定される施設名を副駅名称に入れたことで、普段利用している人ばかりではなく、沿線外の利用者でもわかりやすいなり、より多くの人が都電荒川線を利用してもらえると考えたからです」(東京都交通局電車部営業課)。


 確かに、「熊野前」という名称では、首都大学の荒川キャンパスがあることはわかりにくい。日常的に利用している乗客以外を取り込むためには、こうした利便性の向上は欠かせない。


 そうした利用者の利便性向上を目的とした東京都交通局のようなケースがある一方で、別の狙いから副駅名称を導入している鉄道会社が増えている。例えば、東京−横浜間を地盤とする京浜急行電鉄(京急)は2013(平成25)年から副駅名称の導入を発表。その第一号として、7月に梅屋敷駅に東邦大学前という副駅名称が設定された。


「京急では副駅名称を新たな広告媒体として位置づけ、副駅名を販売を始めました。しかし、すべての駅で副駅名称を販売しているわけではありません。全72駅のうち『羽田空港国際線ターミナル駅』と『羽田空港国内線ターミナル駅』の2駅は対象外にしています。この2駅は公共性が高く、副駅名称を導入することで誤認される可能性があるので、それを防止するために対象外としています。また、品川駅・京急川崎駅・横浜駅・上大岡駅は、京急グループの施設のみの販売とさせていただいております」(京急電鉄広報課)


 京急の副駅名称を販売する代理店のホームページには、副駅名称の広告料金が掲出されているが、最高ランクの特A駅は年間契約で月60万円(税別)となっており、グループ企業といった理由や長期契約による割引はないという。


 京急と同様に、東武鉄道(東武)も2016(平成28)年より副駅名称を新たな広告媒体として販売を開始した。すでに「東武練馬駅」に“大東文化大学前”、「霞ヶ関駅」に“東京国際大学前”といった具合に3駅で副駅名称が導入された。東武は「広告料金については一般的に非公開」ということだが、特に販売の対象外になっている駅はない。伊勢崎線の「浅草駅」や東上線の「池袋駅」といったターミナル駅でも、「東武動物公園駅」といった施設名が冠されている駅でも副駅名称をつけることは可能だという。


 副駅名称で稼ぐ手法は、これまで利用者の少ないローカル線で多く見られるものだった。そうした手法はネーミングライツと呼ばれ、近年のネーミングライツブームを切り開いたとされるのが、九州を地盤とする平成筑豊鉄道だ。


 平成筑豊鉄道は国鉄の伊田線・糸田線・田川線を引き継いだ第3セクター鉄道で、2015(平成27)年における年間乗車人員は約162万2000人。この数字は、ローカル鉄道としては健闘している部類に属するが、少子高齢化などの要因によって乗車人員は減少傾向が続いている。


 そうした危機感から、平成筑豊鉄道は運賃外収入を増やそうと知恵を絞ってきた。そして、2008(平成20)年に車両と駅名のネーミングライツを開始する。現在、平成筑豊鉄道では全35駅中33駅でネーミングライツが採用されているが、「田川病院前駅」と「源じいの森駅」にネーミングライツは導入されていない。


「この2駅は開設にあたり地元自治体などが費用を負担していただいた経緯があります。そのため、ネーミングライツを導入しない方針にしています」(平成筑豊鉄道)


 鉄道各社が続々と導入する副駅名称は新たな稼ぎ口として注目を浴びているが、あくまで副駅名称といった位置づけなので車内や駅構内で副駅名称がアナウンスされることはなく、路線図にも載ることはないという。また、きっぷ・定期券の券面に副駅名が印字されることもない。


 多くの人が行き交う駅は、広告媒体としても価値が高い。そうした広告力に着目した企業は昔から存在した。その元祖が三越百貨店。三越は地下鉄建設の費用を負担する見返りとして店の前に駅を開設するように依頼。三越の念願は叶い、昭和7(1932)年に銀座線の「三越前駅」が開業している。正式名称の「三越前駅」は、今般導入が相次いでいる副駅名称とは異なり正式名称。ゆえに車内でも路線図でも明記され、きっぷの券面にも印字される。その広告効果は、副駅名称の比ではない。


 現在、副駅名称に甘んじている企業や施設も、いつか正式名称に〜と夢見ていることだろう。そして、鉄道各社が新たな収入源として、「駅名」を販売する日がくるのかもしれない。

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データ提供元:アニメキャラクター事典「キャラペディア