職場で真っ先に帰るときの「お疲れさまでした」が言い出しづらい…気まずさが吹き飛ぶ絶妙な言い方

2025年4月17日(木)17時15分 プレジデント社

出所=『緊張やわらぎメソッド』(小学館クリエイティブ)

職場でのコミュニケーションに緊張する人はどうすればよいか。心理カウンセラーの佐藤健陽さん・加藤隆行さんは「人が苦手という人は、全般的な人そのものが苦手といっているだけで、つながりや縁のできた人には優しくなるもの。ちょっとした挨拶などでよいので接触する回数が増えるように心がけるとよい」という——。

※本稿は、佐藤健陽・加藤隆行『緊張やわらぎメソッド 「失敗したらどうしよう…」が「まぁなんとかなる!」に変わる80の方法』(小学館クリエイティブ)の一部を再編集したものです。


■上司に「ちょっと話がある」と言われてドキっとする


丹田を意識して覚悟を「腹」で決めろ!

「何の話?」「何かやらかしてしまった?」と、一瞬ドキッとして身がすくみそうな場面です。いったい何だろうと頭の中でグルグル想像します。しかし、想像しても不安がおさまるわけでもなく、想像すればするほど、逆に悪い想像が膨らみ、ますます不安は増していきます。このときはまず、ジタバタしないように心がけてみてください。そして感情を抑えようとせずにただ感じる。不安なものは不安で当然。必要なことは、そこに向かう覚悟です。覚悟は「腹」で決まります。吐く息と共に重心を下げ、ヘソの下の丹田に意識を集中してみましょう。腹が据われば上司との話に臨む覚悟ができるでしょう。


これこそが「お腹で吸って口から吐く」
丹田集中法
丹田とは武術などにおいて「気が集まるところ」とされている体の部位。ヘソから三寸(約9cm)下辺りにあり、意識を向け続けていると心身ともに安定してきます。

方法
1 片手または両手を丹田に置いて温めるようにする
2 体の中にある空気をすべて口から吐き出す
3 鼻から腹に向けて息を吸い、細く長く口から吐く×10回
出所=『緊張やわらぎメソッド』(小学館クリエイティブ)

■部下と話さざるを得ないのが負担…


ひとまずは最低限のコミュニケーションで

対人関係が苦手な人は、しばしば人と関わることの少ない仕事を選びます。そうして精神的負担の少ない環境を望みますが、人生の神様としてはそうは問屋が卸しません。どんな人でも、仕事で一定の経験を積むと人に教える立場にならざるを得ません。それを象徴するものが“昇進”です。アドラー心理学では、人生には仕事・交友・愛の三つの課題があるとしますが、ここで問われていることは仕事の課題です。上司としての理想は一旦置いておき、人間関係に慣れるまでは無理せず、必要なコミュニケーションを最低限こなし、仕事の課題を全うすることに集中しましょう。仕事にも部下にも真摯に向き合っていれば、物事は必ず良い方へと向かいますよ。


出所=『緊張やわらぎメソッド』(小学館クリエイティブ)

何度も会っていれば親しみも生まれる
単純接触効果


心理学者R.ザイアンス氏が提唱。その人との接触回数が増えるほどに警戒心が薄れていき、親近感を感じるという効果です。当たり前といえば当たり前の効果ですが、人が苦手という人は、全般的な人そのものが苦手といっているだけで、つながりや縁のできた人には優しくなるものです。ちょっとした挨拶などでよいので接触する回数が増えるように心がけていきましょう。


■一番先に帰るときの「お疲れ様です」を言うタイミング


“良い加減”に言ってみよう

職場の空気を自分の声で止めて、自分に注目が集まる恐怖とでもいいましょうか。そのため、最初の一言、このシーンでいえば「お疲れ様です」の「お」を発することが最大のプレッシャーになり、声を出すタイミングを見失います。体は恐怖で固まって声が出なくなる一方、頭では「お疲れ様です」と言わなきゃと、相反するエネルギーの葛藤が生じています。このとき必要なのは固まっている体をゆるませることです。一生懸命言おうとすると余計に固まってしまうので、学生のような「お疲れっす〜」ぐらいのノリで力を抜いて、失礼のない程度に良い加減に言うと良いでしょう。いいかげんではなく、“良い加減”ですよ。


周りの人たちは敵ではない
「みんな仲間」という意識を持つ
不安や緊張に支配されてくると、周りが自分を責める敵のように感じられてきます。「みんな仲間」という意識を持って、その場を安心の場にしていきましょう。

ポイント
1 周囲の人たちが優しく接してくれた場面を思い出す
2 ひとりひとり笑顔を想像してみる
3 「みんな仲間」と何度かつぶやき体のゆるむ感覚を感じる
出所=『緊張やわらぎメソッド』(小学館クリエイティブ)

■同僚と二人で車に乗っているときに、あまりに緊張して途中で降りた


危険対処能力の高い猫から学べ

車を降りたことは社会的観点では不適切な行動ですが、動物的観点では適切です。猫で考えるとわかりやすいでしょう。猫は危険を感じると逃げ、安全を感じられるところまで逃げれば止まります。これは動物の生存本能です。人間も動物なのですから、身体的には逃げて、安全を感じられれば、やがて落ち着いていきます。猫は逃げるために四本の足を動かします。人間も同様に両手足の動きを欲していますが、車の中で動かしすぎるのは変なので、それに準ずる形で両手足のグーパーを繰り返してみたり、足をパタパタさせたり、体をソワソワさせてみると良いでしょう。落ち着きをなくせば落ち着いていくのが自然の摂理です。


出所=『緊張やわらぎメソッド』(小学館クリエイティブ)
体を動かせない状況でもできる脳の沈静化
ムーブアイ
緊張すると、動揺して目が泳いでしまうこともあるでしょう。この目の動きをあえてゆっくりと、規則的な動きをしてみること

方法
1 まずはゆっくり深呼吸をする
2 目を開けたまま水平に、5秒ずつ左右に動かす
3 目の泳ぎがおさまるまで1、2分繰り返す

■上司に相談事があるのに、評価が下がるのが怖くて声をかけられない



佐藤健陽・加藤隆行『緊張やわらぎメソッド』(小学館クリエイティブ)
上司の課題と自分の課題を仕分けよう

人間関係のトラブルは、他者の課題に踏み込んだり踏み込まれたりすることで生じます。アドラー心理学では、この対処法を「課題の分離」といいます。このシーンでは、自分に対する評価は上司が決めることで、自分にはコントロール不可能なことです。上司の評価を恐れること自体は自然なことですが、その評価を変えようと執着するとどうにもならずに苦しみます。ここでは上司と自分の課題を仕分ける必要があります。上司からの評価は上司の課題として預けて、自分は怖い気持ちを受け入れて、ありのままでいましょう。感情に抗おうとすると自滅していくので、感情はそのままに行動を変えていきましょう。


出所=『緊張やわらぎメソッド』(小学館クリエイティブ)

思考の暴走を強制的に止める
ストップ法でスタートする


心理学者ポール・G・ストルツ氏が考案したマイナス感情を鎮める方法です。自分自身に何らかの刺激を与えることで、感情の暴走を抑え、冷静な自分へと切り替えます。緊張や不安が出てきたら、「ストップ!」と言いながら、机や壁を軽く叩きます。両手をパンと叩いて「終わり!」と言ったり、頬を叩いたり、瞬間的な刺激が気持ちの切り替えにつながります。類似の方法をすでにやっている人も多いと思います。


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佐藤 健陽(さとう・たけはる)
佐藤たけはるカウンセリングオフィス代表
1972年秋田県生まれ。佐藤たけはるあがり症克服オンラインサロン運営。高校2年のときにあがり症となり、母親の前でも緊張して話せなくなった自分に衝撃を受ける。その後、20年間にわたって重度のあがり症に苦しみ、ひきこもり、パチプロ、麻雀店店員などを経たのち、人生を見つめ直して福祉職に就く。現在はその経験をもとに、日本に本物のあがり症克服法を普及させることをミッションに掲げ、あがり症克服オンラインサロンを運営している。また、人の生きる意味を明らかにする「世界に一つだけの物語」のワークショップが好評を博している。
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加藤 隆行(かとう・たかゆき)
心理カウンセラー
1971年、名古屋市生まれ。ココロと友達オフィス代表 心理カウンセラー。福井大学大学院修了後、SEとしてNTTに入社。インターネット黎明期より関連サービスの企画開発に携わる。激務のなか、30歳のとき体調が激烈に悪化し、休職。3度の休職と入退院を繰り返し、しだいに自身のココロと向き合うようになる。2015年に退職し、心理カウンセラーとして独立。「大人の自己肯定感を育てる専門家」として、各種心理療法、ボディワーク、瞑想など組み合わせた独自プログラムを開発しカウンセリングやセミナーを開催。
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(佐藤たけはるカウンセリングオフィス代表 佐藤 健陽、心理カウンセラー 加藤 隆行)

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