SUV人気が衰えない3つの理由 ライバル不在の競争で品質向上

4月18日(水)7時0分 NEWSポストセブン

三菱自動車が4年ぶりに発売した新車「エクリプスクロス」

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 国内外を問わず自動車メーカーがこぞって新型モデルを発売し、ブームが続いているSUV(スポーツ用多目的車)。近年はアウトドアやオフロード走行だけでなく、街乗りや日常使いに適したコンパクトSUVも多数登場しているが、そこまで人気が衰えない理由は何か。モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏が解説する。


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 最近、自動車業界で注目を集める存在がSUVです。昨年春には、トヨタのSUVである「C-HR」が、月間販売台数ナンバー1を獲得するという驚きが発生しました。なんと「プリウス」も抑え、「アクア」や「フィット」よりも、SUVの「C-HR」がたくさん売れたのです。


 マツダも昨年に発売開始したSUV「CX-8」が、予想を上回るペースで売れていると言います。スバルは、2018年3月末に開催されたニューヨーク国際ショーにおいて新型SUVの「フォレスター」を発表して、大きな話題を集めました。また、三菱自動車は4年ぶりとなる新型車としてSUVである「エクリプスクロス」を発売。最近の日本の新型車の話題の中心にはいつもSUVがあったのです。


 さらに海外に目を向けると、ジャガーやアルファロメオといったスポーツカー色の強いブランドが相次いでSUVを発表。ベントレーなどの超高級ブランドまでもSUVをリリース。つまり、日本だけでなく、世界規模でSUVへの注目度が高まっているのです。


 では、どうしてSUVは人気なのでしょうか? それにはいくつかの理由があります。


◆SUVとしての便利さや魅力がある


 SUVという名称は、「スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル」の略。SUVは大きなタイヤを使って、車体の位置を高くすることで、優れた走破性能を身につけています。段差を乗り越える能力が高く、セダンのように背の低いクルマと比べると、行動範囲が広いという長所を持っています。スキーやキャンプといった足元の悪い場所に行こうと思うのであれば、セダンよりもSUVの方が断然おすすめということです。


 クルマの背が高いということは、ドライバーの目線も高いところにあるというのがSUVです。高い視点でクルマを運転すれば、遠くまでよく見ることができ、それが安心感につながります。SUVは視界が良いので運転しやすいという側面があるのです。運動性能的に背の高いことは不利となりますが、それでもミニバンよりもSUVの運動性能は上。フットワークも意外とあなどれません。


 また、後席を倒せば、荷室のサイズを大幅に拡大することも可能です。荷物をたくさん積みたいという人には大きな魅力となります。アメリカでは、ミニバン=業務用というイメージがあり、子供を育てるファミリー世代の多くはSUVを選択するとか。子供の送り迎えや買い物、家族での外出に便利なクルマとしてSUVがもてはやされているそうです。


 行動範囲が広くて、運転しやすく、荷物も積み込みやすい。SUVには、そうした美点が備わっているのです。


◆SUVは世界的なトレンドである


 SUV人気が高いのは日本だけではありません。世界第2位の大きな自動車マーケットであるアメリカは、過去30年以上、ピックアップトラックのフォード「F-150」が最も売れるというお国柄。同じようなジャンルであるSUVも当然、高い人気を誇っています。


 また、現在、世界一の自動車市場に成長した中国でもSUVの株は急上昇中です。経済成長によって生まれた膨大な「初めてクルマを買う」という人が最初に購入したクルマは「セダン」でした。しかし、最近の中国は「2台目のクルマを買おう」という人が激増中。そうした人たちが「セダンではない目新しいクルマ」としてSUVに注目しているという状況です。


 そうした、世界の2大ビッグマーケットの影響もあってか、過去5年ほどのモーターショーでは、どこに行っても「SUVコンセプトカー」の展示が大流行り。人気があれば、当然、多くのメーカーが、そのジャンルに新しい新型モデルを投入します。


 そして競争が激しくなれば、当然、投入される新型モデルのクオリティも高まるもの。魅力的な新型モデルの投入は、そのジャンルの、さらなる盛り上がりの燃料になります。「人気がある」→「魅力的なモデルが増える」→「人気がさらに高まる」という好循環にSUVが突入しているというわけです。


◆ライバルが不在である


「SUVが人気でよく売れる」ことによって、「何かがあまり売れなくなる」という状況も見てとれます。日本でいえば、それがセダンと言えるでしょう。クルマのうしろに独立したトランクを備えるセダン。クルマの基本形で、最もフォーマルな印象を与えてくれるクルマです。


 かつて、日本の自動車市場で、最もたくさん売れたクルマはセダンの「カローラ」でした。ところが2000年代に入ると、販売ランキングトップの座からセダンの「カローラ」は転げ落ちます。そして、セダンの売り上げは、トヨタに限らず、どのメーカーも徐々に悪化。売れないために絶版になるセダンが続出します。


 気づけば、いつの間にか日本国内で販売されるセダンは激減していました。また、コンパクトではないミドル・サイズ以上のハッチバックの人気も低迷します。さらにステーションワゴンやスポーティタイプのクーペも、あまり売れません。売れているのは、コンパクトカーかミニバンか、それとも「プリウス」といった限られたクルマたち。


 売れないジャンルは、「人気がない」→「お金をかけて新しいクルマを開発しにくい」→「クルマの魅力が弱まる」→「さらに人気が落ちる」という負のスパイラルに陥ります。


 そうした状況で、コンパクトカーやミニバン以外が欲しいという人が市場を見渡せば、目に飛び込んでくるのは、当然、トレンドで数が多く、クオリティも高いSUVとなることでしょう。


 SUVというスタイルが本来持っている魅力。トレンドのクルマとして、競争で磨かれた高いクオリティと充実した車種。そしてライバルの不在。この3つの理由によって、現在、日本ではSUVの人気が高まっているのではないでしょうか。

NEWSポストセブン

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