メール1本でクビに…。イーロン・マスクによるツイッター社員の大量解雇、その「驚くべき真相」とは?
2025年4月19日(土)6時10分 ダイヤモンドオンライン
メール1本でクビに…。イーロン・マスクによるツイッター社員の大量解雇、その「驚くべき真相」とは?
イーロン・マスクによるツイッター買収劇とその後の混乱を描いた『Breaking Twitter イーロン・マスク 史上最悪の企業買収』(ベン・メズリック著、井口耕二訳)。著者は大ヒット映画『ソーシャル・ネットワーク』原作者、ベン・メズリック。本書はメズリック氏による関係者への徹底的な取材をもと、マスクの知られざる顔に迫る衝撃ノンフィクション小説だ。「生々しくて面白い」「想像以上にエグい」「面白くて一気に読んだ」など絶賛の感想が相次いでいる本書。今回は本書の発売を記念し、「ツイッター社がイーロン・マスクに『占領』された日」を一部抜粋・再編集してお届けする(全3回のうち第2回/第3回に続く)。
「占領は、洗面台(sink)とともに始まった」——イーロン・マスクが洗面台を抱えてツイッター社に現れた初日、ハロウィーンの飾り付けのなかを歩きながら「洗いざらいわかりあおう(let that sink in)」と宣言した姿に、多くの社員は驚きながらも、どこかまだ他人事だった。しかしその翌日、現実は社員の想像を大きく超えるかたちで始まった。仮装が残るオフィスで、最初の“退場者”が目撃され、静かに、しかし容赦なく、ツイッター社の地図が塗り替えられていく——。
Photo: kovop58/Adobe Stock
「流血の惨事」の始まり
それから2時間もたたないうちに、ジェシカは、それがなにを意味するのか、自分の目で確かめることになった。現実とはとても思えない光景だ。
お腹に一発食らったかのようなショックで、ドアに寄りかからなければへたり込んでいただろう。
いままでは、すべて、うわさやまた聞きだった。おびえた社員の間にうわさが広まり、ダーツのように数字が飛びかっていただけだ。本当のところどうなるのか、誰も知らなかったのだから。
目撃した「現実」——幹部が警備員に付き添われて退社
だがいま、彼女の目の前では、今後をはっきりと示す事態が展開している。
廊下の数メートル先で、法務のトップで経営幹部の一員でもあるショーン・エッジットが、警備員に付き添われて執務室を出ようとしていた。
近くの社員ににこにこと手をふってはいるものの、目はあまりのショックにうつろだ。
すぐ後ろのアシスタントが私物の箱を抱えている。
でも、そこにコンピューターは入っていないし、ツイッター1・0に関するファイルも入っていなければ、会社の財産だとマスクが思うかもしれないものも入っていないはずだ。