雇われたければ「24時間以内にテストを」 非常識な企業の要求

4月19日(木)7時0分 Forbes JAPAN

以下は、読者のフラビアからの便りと、それに対する私からの回答だ。

私は普段、オンラインの求人フォームに応募したりはしませんが、先週ひとつ試してみました。自分にぴったりな求人だったからです。2時間後、応募先企業からメールが届き、最初は喜びました。

メールの内容はこうでした。「良いお知らせです! 弊社は、製品担当シニアアソシエイト職に対するあなたの能力を確認させていただきたいと考えています。以下のリンクから、筆記テスト、数学テスト、性格テストの3つを受けてください。各テストの所要時間は35〜60分です。次のプロセスへ進むためには、全てのテストを24時間以内に完了してください」

どういうことでしょう? 私にも私生活というものがあります。24時間以内に3時間のテストを受ける時間があるなどと、なぜ決めつけるのでしょうか? メールはそのまま無視しましたが、がっかりする出来事でした。

この会社の採用担当はいったい、どんな人なのでしょうか? 高圧的な採用方法によって、良い人材を取り逃していることに気づいていないのでしょうか?

メールでは、このばかばかしいテストに時間を割いたら、生身の人間と直接話ができるかどうかの言及もありませんでした。

今後はもうオンラインの求人フォームを利用することはないと思います。リズさんは以前から、別の求職方法を勧めていますが、その理由がやっとわかりました。

ばかげた採用プロセスで侮辱されるのにはうんざりです。リズさんの激励には感謝しています。あなたの言葉がなければ、どうしていいか分からないでしょう。おかしいのは私ではなく、採用の仕組みの方だと気付くことができました!


フラビアへ

悲しいことに、世の中の採用の仕組みはこれ以上にないほど崩壊している。

ビジネスの世界では、さまざまなプロセスを分析するのが常識だ。従来のプロセスが、今の状況にもまだ即したものであるかどうかを、常に再検討するのだ。

ほとんどの中・大企業で実施されている標準的な採用プロセスは、もはや正常に機能しておらず、適切な人材を迅速に採用することができていない。これは、ネットで「人材不足」という言葉を検索してみればわかることだ。雇用側は、常に人材不足を訴え続けている。こうした企業は、就職希望者を粗悪に扱っているがために自ら人材不足を招いているということを理解していないのだ。

企業が崩壊した採用プロセスによって貴重な時間と予算を無駄にしているにもかかわらず、なぜかそのプロセスは崩壊したままだ。

現行の採用プロセスは、職務内容の定義、求人広告の文面、鈍重な採用管理システム(ATS)を使った履歴書の管理方法、就職希望者とのコミュニケーション手段など、あらゆる段階で機能不全に陥っている。採用は、米国内外の企業で最も崩壊しているプロセスだ。(次いで崩壊しているのが、従業員の業績評価だ)

生身の人間と会話をする前に幾つもテストを受けねばならない理由は、全く存在しない。あなたの時間や注意を意のままにできる権利は、相手企業にはない。

あなたが賢くも逃れた今回のような企業は、才能のある人材を雇用しようとはしていない。服従する人間を雇おうとしているのだ。企業側は、最適任者を採用するつもりでいるのだが、実際には、就職希望者の人間性を無視した侮辱的な採用プロセスを甘んじて受けるような人材を雇用することになる。

採用されるために企業にひれ伏すことを求職者に要求するような人は、恐怖心に縛られている。これは、ビジネスの世界の多くの場所に共通する問題だ。リーダーシップ、採用、雇用に関する根強い考え方の多くは、恐怖心に基づくものだ。より良い選択肢がある人なら誰でも、あなたが出くわしたような企業を避けるだろう。それを誰が責められるだろうか?

あなたは今回、とても大きな教訓を得たのであり、それは一つの収穫だ。企業も人と同じで、向こうから「自分はこういう人物(企業)です」ということを示されたら、あなたはそれを素直に信じるべきだ、ということが分かったはず。あなたを雇えなかった会社は、自らの行動で自分たちがどんな企業なのかを示した。24時間以内に一連のテストを受けるよう指示し、まるであなたの人生の目的が見知らぬ他人からの要求に応える(しかも速やかに)ことにあるとでも言わんばかりの態度を見せたのだ。

そんな企業もやがて、最も優秀な人々は自分の才能に値するような企業で働きたいものだということを学ぶだろう。就職希望者は、採用プロセスにおいて、ひとりの人間として扱ってくれることを望んでいる。それは当然の要求だ。

その企業は、関心を持った人々すらも大して気にかけないような企業であることを、あなたは学んだ。そのような企業がもう勧誘する必要がない従業員をどう扱うかを想像してほしい!

あなたは危険を回避することができた。あなたは、間違った人々や機会を拒否するたびに、正しい人々や機会に一歩近づいているのだ!

Forbes JAPAN

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