これほど日本人にぴったりの健康食はない…徳川家康もよく食べていた脳を活性化させる"身近な食材"

2024年4月20日(土)15時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/TATSUSHI TAKADA

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脳を活性化させる食材は何か。精神科医の保坂隆さんは「脳の働きのために、醤油や味噌、納豆のような大豆製品に含まれるアミノ酸は欠かせない。また『元気で長寿を願うなら、大豆を一生食べ続けるように』という言い伝えがあるように、大豆製品は生活習慣病を予防する食品のエースとして、植物性タンパク質のパワーが認められている。天寿をまっとうした徳川家康の食養生としても、根菜を3種類と野菜を5種類入れた『三根五菜味噌汁』が語り継がれている」という——。

※本稿は、保坂隆、西崎知之『おだやかに80歳に向かうボケない食生活』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/TATSUSHI TAKADA
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■IQ250の天才青年の食べていた食品


最近は“つゆだく”などいろいろな商品が登場して、かつてほど納豆が苦手という日本人は少なくなりましたが、それでも「あのにおいがどうも……」などという人も少なからずいるようです。


数年前のこと、その納豆がアメリカで話題になりました。きっかけは、ある天才青年の母親の言葉でした。


その天才青年というのは、マイケル・カーニーさん。彼の知能指数はなんと250。20世紀を代表する物理学者のアインシュタインの知能指数が173だったのですから、カーニーさんのすごさがわかります。


彼はわずか10歳で大学を卒業しましたが、じつはこのカーニーさんの母親が日系アメリカ人なのです。その母親の「幼い頃から毎日納豆を食べさせていたため、頭がよくなったのだと思う」という発言が全米に報道され、子育て中の母親たちに注目されたのです。


もちろん、カーニーさんが天才になった理由のすべてが納豆にあるわけではないでしょうが、納豆に含まれているセリンリン酸という物質には脳を活性化する働きがあります。


しかも、大豆が発酵するときに大量に発生するナットウキナーゼという酵素には、セリンリン酸を体内に吸収しやすい状態にする働きがあるので、納豆が脳の活性化に有効なのは間違いないところでしょう。


■脳の働きのために良質のアミノ酸は欠かせない


納豆が苦手というなら、醤油や味噌など、ほかの大豆食品を積極的に食べるようにしましょう。


大豆には、私たちの身体に必要不可欠なタンパク質と、体内では合成することができない貴重な8種類の必須アミノ酸がバランスよく含まれています。そして、醤油や味噌、納豆のような発酵食品に加工すると、アミノ酸が体内に吸収されやすくなるのです。


脳のエネルギー源はブドウ糖ですが、アミノ酸がなければ神経伝達物質のやりとりがうまくいきませんし、良質のアミノ酸を摂取すると認知症が改善するといわれます。つまり、脳の働きのために良質のアミノ酸は欠かせないというわけです。


大豆食品の代表的なものに豆腐があります。手っ取り早くアミノ酸を補充したければ、コンビニででも豆乳を買ってきてゴクゴクと飲みましょう。これなら1分あれば十分です。


豆乳の味が苦手なら、コーヒーショップで「豆乳入りカフェオレ(ソイラテ)」を頼んでみてはいかがでしょうか。そうすれば、コーヒーブレイクのたびに脳を活性化させることができます。


写真=iStock.com/OlenaMykhaylova
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/OlenaMykhaylova

■天寿をまっとうした家康の食養生


大豆の話を続けましょう。


「元気で長寿を願うなら、大豆を一生食べ続けるように」という言い伝えがあります。


豆腐、納豆、おから、ゆば、味噌、醤油……などなど。大豆は日本人の食卓に欠かせません。その大豆製品は、生活習慣病を予防する食品のエースとして、植物性タンパク質のパワーが認められているのです。


大豆は「畑の肉」と呼ばれるように、良質なタンパク源です。肉食を禁じている禅寺でも、もちろん大豆はOK。大豆からタンパク質や脂肪を摂取し、荒行に耐えられる心と体をつくっているのです。


歴史上の人物で、天寿をまっとうしたとしてもよく取り上げられるのが、2023年のNHK大河ドラマの主人公でもある徳川家康です。平均寿命わずか38歳の当時、75歳の生涯を生きたのですから、なかなかのものではありませんか。


その家康伝来の食養生として語り継がれているのが「三根五菜味噌汁」です。


「ごちそうは月に二、三度までとして、平素は麦飯と『三根五菜味噌汁』があればよい」という教えです。


「三根五菜味噌汁」とは、根菜を3種類と野菜を5種類入れた味噌汁のことで、野菜をいっぱい入れた味噌汁が、家康にとって「かけがえのない健康食」だったようです。


■具だくさんの味噌汁は超健康食


オフィス街のある小料理屋がランチサービスを始めたら、たちまち行列ができる人気店になったそうです。その秘密は具だくさんの味噌汁をお替わり自由でお客さんに提供したからだと耳にしたことがあります。


また、私の知人にひとり暮らしの高齢男性がいますが、彼は「野菜料理といっても面倒だから、じゃがいも、大根、にんじん、玉ねぎ、キャベツなどをドーンと味噌汁の具にして食べています。これが常食です」と話しています。この具だくさんの味噌汁が、彼の健康を支えているのだと思います。


「一人分の味噌汁をつくるのは、けっこう面倒くさい……」


そう思っているひとり暮らしの高齢者もいるかもしれませんね。そんな方には味噌汁の簡単な作り方をお教えしましょう。


小鍋に水を入れ、だしの素をパラリ。ここに冷蔵庫の野菜室に残っていた野菜類をなんでも適当に切って放り込み、柔らかく煮る……。


こうすれば、残り野菜も無駄なく食べられるし、じゃがいもや里いもなどのいも類、にんじん、大根、かぶなどの根菜類が入っていると、それだけでけっこう食べ応えのあるおかずになります。


具に火が通ったら、味噌を溶き入れます。このときも、味噌こしを使ってなどと本格的にする必要はありません。スプーンで適当な量をかき出してドボンと入れ、菜箸の先でかき混ぜればそれでOKです。


写真=iStock.com/Yuuji
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yuuji

■味噌を入れたら絶対に沸き立たせない


その際、注意しなければならないことがひとつだけあります。


味噌を入れたら絶対に沸き立たせない——。沸騰させると、せっかくの味噌の香りが消し飛んでしまいます。


おいしい味噌汁づくりのポイントは、唯一ここだけといってもいいでしょう。


先ほどとは別のひとり暮らしの高齢男性Dさんは、野菜が余るとその場でトントンと刻み、素材ごとにラップに包んでファスナー付きのポリ袋に入れておきます。


大根、にんじん、玉ねぎ、いも類など……。味噌汁をつくるときは、そこから刻み野菜を取り出して適当な組み合わせで入れ、時にはわかめや豆腐、油揚げなどほかの具も加えて、だし汁でひと煮立ち。味噌を入れたら出来上がり……。


Dさんがボケとは無縁でいられるのは、この味噌汁のおかげもあるのではないでしょうか。


なかには「そんな小まめなことはできない」という方もいるかもしれませんね。たしかに一人分の味噌汁はミルクパンに一杯程度の分量です。


そんな少量はつくりにくいというなら、香り立つ味噌の味を楽しむのは最初だけでよしと納得し、一度に3回分くらいつくって、2回目以降は電子レンジにかけられる器に移してチンして楽しむという手もあります。


このとき、菜の花、絹さやなどの青みを加えたり、みょうがなど季節感のあるものや、香りのある一品を加えると、出来たての味噌汁にひけをとらない味わいになるでしょう。


■朝食にはなぜ、甘いものを摂ったほうがいいのか


目覚めたばかりの脳は酸素不足で、そのうえに栄養不足です。つまり、お腹がすいているのです。


脳は体重の2〜2.5%ほどの重さしかないのに、とても食いしん坊で、一日の消費カロリーは約400キロカロリー。これは、体全体の消費のなんと約20%に当たります。


現代人は、朝は時間がないからとか、ダイエットを理由にして朝食をとらない人が多いようですが、腹ペコの脳にエネルギーを補給しなければ、活発に働くことができず、思考能力はストップ、集中力もなくボーッとしたままです。


脳の研究によると、脳が元気いっぱいに働き出すのは、食事をとって約2時間たってからとすでに証明済みです。とくに大事な用事がある日などは、その開始時間から逆算して2時間くらい前までには食事をとっておくといいでしょう。


脳のエネルギー源はグリコーゲン、つまりブドウ糖だけです。朝食には甘いもの、または炭水化物、果物などを意識的に取り入れるといいでしょう。


甘いものは体内に入るとすぐにブドウ糖に変わり、そのままグリコーゲンに変化します。炭水化物も分解されるとブドウ糖になるし、果物に含まれる果糖もグリコーゲンに変わりやすいものです。


■脳のためにも美容のためにも、朝食は欠かせない


良質のタンパク質も、ストレスを忘れさせてくれる深い鎮静作用があります。つまり、朝食には糖分と良質のタンパク質を組み合わせて摂取するのがベストなのです。



保坂隆、西崎知之『おだやかに80歳に向かうボケない食生活』(明日香出版社)

きちんとした朝食がどうしてもとれないのなら、バナナ、卵、牛乳、蜂蜜などをミキサーにかけたジュースを飲むといいでしょう。朝食を食べないのとは雲泥の差、脳の働きはまったく違ってきます。


さらに、朝食をとれば便秘の予防にもなります。


便秘は美容上だけなく、じつは脳の働きにも悪い影響を与えるのです。便秘をすると、体内で過酸化脂質がつくられ、これが脳をはじめ体の機能を弱らせるからです。食物が体内に入ると、腸の蠕動(ぜんどう)運動が促進されて便意を促しますが、この仕組みは朝食後に最も強く作用します。


脳のためにも美容のためにも、朝食は欠かせないというわけです。


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保坂 隆(ほさか・たかし)
精神科医
1952年山梨県生まれ。保坂サイコオンコロジー・クリニック院長、聖路加国際病院診療教育アドバイザー。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科入局。1990年より2年間、米国カリフォルニア大学へ留学。東海大学医学部教授(精神医学)、聖路加国際病院リエゾンセンター長・精神腫瘍科部長、聖路加国際大学臨床教授を経て、2017年より現職。また実際に仏門に入るなど仏教に造詣が深い。著書に『精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術』『精神科医が教える50歳からのお金がなくても平気な老後術』(大和書房)、『精神科医が教えるちょこっとずぼら老後のすすめ』(海竜社)など多数。
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西崎 知之(にしざき・ともゆき)
医師、医学博士
1954年生まれ。神戸大学医学部卒業。神戸大、米国カリフォルニア大学アーバイン校と一貫して生体内情報伝達機構を専門に研究している。特に脂質シグナルと関連づけた新規の認知症治療薬、糖尿病治療薬、がん治療薬の開発に従事している。現在、上海中医薬大学附属日本校、ベトナム国家大学ハノイ校の客員教授を務め、後進の研究指導に当たるとともに新しい研究分野にも挑戦している。著書に『認知症はもう怖くない』『私は「認知症」を死語にしたい』『脳の非凡なる現象』(以上、三五館)、『ボケるボケないは「この習慣」で決まる』(廣済堂出版)がある。共著に『あと20年! おだやかに元気に80歳に向かう方法』(明日香出版社)がある。
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(精神科医 保坂 隆、医師、医学博士 西崎 知之)

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