駅改札が「顔パス」になる日は近いか JR東は実証実験、Osaka Metroは実用化...マスク姿でも大丈夫?
2025年4月21日(月)12時10分 J-CASTニュース
JR東日本が上越新幹線で「新方式改札」の実証実験開始へ!
2025年4月8日、JR東日本がこのような内容のプレスリリースを配信した。それによると、2025年中に、上越新幹線の新潟駅と長岡駅で新方式改札の実証実験を行うというのだ。
この「新方式改札」とは、「顔認証式改札機」を指している。
JR東日本が言及している「ウォークスルー改札」には、今後、さまざまな方式が検証される予定だ。その中でも、競馬で言えば二重丸の「本命」に位置しているのが顔認証式である。
また、JRグループ以外の鉄道ではすでに顔認証式改札が実用化され始めている。
「顔認証方式」はウォークスルー改札の第一候補
24年12月、JR東日本は「今までの当たり前を超える」と銘打った新Suicaに関する中長期計画を発表した。
現行のSuicaは、「タッチ&ゴー」と呼ばれる形態を採用している。カードを取り出し、それを自動改札機の認識パッドにかざして通過する仕組みだ。それに対してウォークスルーとは、文字通り「ただ歩くだけで通過する」流れである。
ただし、ウォークスルー形態にもさまざまな方式がある。いや、「ある」というよりも「想定される」と書くべきか。
なぜなら、たとえば利用者のスマホにBluetoothのような短距離通信で接続する方式や、位置情報と連携する方式などが想定できるはずだからだ。だが、それらを抑えて「実用化第一候補」に挙がっているのが顔認証式だ。
利用者はあらかじめアプリを使って自分のセルフィー写真を撮影・登録する。それが済むと、以後はカードを取り出さずとも自分の顔をカギとにして改札を通過できる。
長岡駅でモニター登録
JR東日本は、このような顔認証式改札の実証実験を2025年秋頃〜2026年春頃まで行うと発表した。
場所は上述の通り、上越新幹線の新潟駅と長岡駅。対象者は「新潟駅と長岡駅の間の新幹線定期券(Suica FREXまたはSuica FREXパル)をお持ちのお客さまを対象にモニター参加者を募集」とある。
この実証実験では万人を対象としているわけではない。また、モニター希望者は長岡駅に行き、そこで登録同意書の記載と写真撮影を行う。現時点では、ユーザー自らが顔写真を登録できるアプリは用意されていないのだ。
これは、最初期の実証実験であるといえるだろう。すぐに我々の生活が変化するわけではないようだ。
Osaka Metroではすでに実現 マスク着用状態でもOK!
一方、大阪大都市圏の経済を下支えするOsaka Metroでは、すでに顔認証式改札が一般開放されている。
25年3月25日、Osaka Metroの134駅中130駅に設置された顔認証式自動改札機が、ついに一般向けのサービスを開始した。段階的な実証実験を5年以上重ねた上でのスタートである。
利用者はあらかじめe METROアプリで顔写真を登録し、同じアプリでデジタル乗車券を購入する。これを使えば、従来のように「カードを取り出してそれをかざす」という動作はいっさい不要になる。
なんと、マスクを着用した状態でも問題なく利用できる。これは、実証実験中に確立された技術でもある。
こうした新型改札機が、この先10年以内にJR山手線や中央線でも導入される可能性は高いといえる。
もっとも、顔認証式改札が「世界一の通勤ラッシュ駅」である新宿駅や池袋駅を滞留なくさばけるかは未知数である。それも含め、今後、JR東日本は実証実験を重ねていくはずだ。(澤田真一)