なぜ広末涼子は2年に1回ペースで"壊れる"のか…「2度の離婚、ギャラ激減、傷害事件」彼女が本当に悩んでいたこと

2025年4月22日(火)17時15分 プレジデント社

2022年12月7日、東京・有明アリーナで開催された「ブルガリ アウローラ アワード2022」フォトコールに出席した女優の広末涼子 - 写真=WireImage/ゲッティ/共同通信イメージズ

■人生の大半を“破壊”して生きてきた


広末涼子はデストロイヤー(破壊者)である。


44歳の広末は、その人生の大半を破壊することで生きてきた、といってもいいのではないか。


写真=WireImage/ゲッティ/共同通信イメージズ
2022年12月7日、東京・有明アリーナで開催された「ブルガリ アウローラ アワード2022」フォトコールに出席した女優の広末涼子 - 写真=WireImage/ゲッティ/共同通信イメージズ

彼女は中学生時代から芸能活動を始め、1996年、NTTドコモのポケベルのCM「広末涼子、ポケベルはじめる」で一躍人気アイドルになった。


翌年、『MajiでKoiする5秒前』で歌手デビューし、紅白歌合戦にも出場してトップアイドルの座を確かなものにしたのである。


私は映画『鉄道員(ぽっぽや)』(2000年公開)で、高倉健の相手役として、亡き娘・雪子を思わせる“透明”な少女を演じた広末涼子が好きだった。


その前年に、彼女は早稲田大学教育学部に推薦入学している。有名女優の入学は吉永小百合以来といわれ、彼女に会いたくて早稲田の受験者数が大きく増えたといわれた。


だが、広末は入学式には出席せず、初登校は入学式から3カ月後だった。初登校の日には取材陣が大挙して訪れ、在学生や野次馬も集まってきて3000人以上の大群衆となり、各テレビ局のニュースで大きく取り上げられた。


だが、彼女は早稲田に来ることは稀で、当時、東京芸大にいた伊勢谷友介(後に俳優になるが大麻取締法違反で逮捕)や後に格闘家になる金子賢などと噂になった。


また、2001に、ジャン・レノと共演した映画『WASABI』の記者会見で突然泣き出し、広末は情緒不安定だと話題になった。


■「食堂の夫婦にお金を無心したり…」


後年、雑誌『FRaU』(2016年7月号)で、その時のことをこう語っている。


「そう。しかも、その『泣いた』という一部分だけをクローズアップされて、その前後のことには触れずに情緒不安定と言われて——。単純にあの時は、こんなに素敵なスタッフが一生懸命にいい作品を作ったのに、日本のマスコミの人たちの質問がすごく残念な内容で悲しくなってしまった——。でも、自分が幼かったとは思います。どちらにせよ、そういう感情は表に出すべきではなかった」


しかし、彼女はこの頃から奇行を繰り返すようになる。


「〇一年、クラブから朝帰りすると、都内自宅からタクシーで二時間半かけて千葉の白浜へ。路上に座り込み足首にテーピングをしたり、現地の食堂の夫婦にお金を無心したり……それらの一部始終を『FRIDAY』が報じた」(『週刊文春』4月17日号)


当時、広末を追いかけていた佐々木博之が、FRIDAYデジタル(4月15日 11:00)でこう書いている。


《やはり“奇行”が話題になっていた頃の話だが、都内のクラブに広末がいるという情報を得て、現地に行ってみると、なんと本当に広末がフロアで踊っていたのだった。


同伴者がいるかと周りを見渡してもいないようで、彼女は一人で来店していたようだった。ただ、店を出るときに気づいたのだが、当時交際のウワサのあった金子賢が店の外に一人で、携帯をいじりながらたたずんでいた》


■「清純派」のイメージを自ら壊してきた


《店内の広末は、着ていたスウェットを脱いだり着たりを繰り返し、体をくねらせながらノリノリで踊っていた。やがて踊り疲れたのか、カウンターの私の隣の席にきてテキーラを注文すると一気飲み。そして私に腕を絡ませ、こう言ったのだった。


「飲みが足りないよ。もっと飲みな」


フレンドリーなのか、“奇行”なのか分からないが、乾杯をさせられた記憶がある。


またある時、都内のスタジオで待っていると、車から降りた広末のジーンズのうしろのポケットに、何か妙なものが差し込まれているのが確認された。赤いキャップの容器は紛れもなくマヨネーズだった。


たしかに“マヨラー”が話題になったころだったが、彼女がマヨラーだったのには驚いた。しかも大きいサイズの容器だったのでなおのこと驚いたのだった。》


事務所やファンから押し付けられた「清純派アイドル」のイメージに苦しんでいた彼女は、自らそれを破壊していく。


多くの男たちにまみれ、できちゃった婚や離婚を繰り返し、昨年は有名シェフ鳥羽周作氏(46)とのW不倫が発覚し、相手の家庭まで破壊してしまったのである。


2010年に再婚したキャンドル・ジュン氏との間に2子、3子をもうけ、3人の子の母親として2022年には「ベストマザー賞芸能部門」を受賞していたのに……。


■過度なプレッシャーがかかると「豹変してしまう」


だが、広末は鳥羽氏との愛を取り、ジュン氏と離婚。3人の子どもの親権は彼女がとった。


しかし、W不倫の代償は大きかった。所属事務所の「フラーム」から無期限謹慎処分を下され、昨年2月にはそこを退所して個人事務所「R.H」をつくったが、大手の映画会社やテレビの連続ドラマの依頼は来なかった。


彼女と結婚していた元夫のキャンドル氏は、記者会見でこう語っていた。


「過度なプレッシャーがかかったり、不条理なことに出くわしたりとかそうなってしまうと、濃い化粧をして派手な格好をして、眠ることができず、常に何かを書いていなければ心が収まらず、誰かに連絡をしたり、豹変してしまうんです」


メディアも、広末はプレッシャーがかかるとおかしなことをする“変人”“精神的に弱い人”というレッテルを貼り付けた。


そして4月7日の事件が起こる。


「高速道路で事故を起こした後、搬送先の病院で看護師を蹴るなどしてけがをさせたとして、俳優の広末涼子容疑者(44)が傷害容疑で逮捕された事件で、静岡県警は10日午前、東京都内の広末容疑者の自宅に危険運転致傷容疑で家宅捜索に入った」


■アルコールも薬物も入っていなかったが…


「県警によると、広末容疑者は7日午後6時50分ごろ、新東名高速道路上り線で、乗用車を運転して大型トレーラーに追突する事故を起こした疑いがある。車にはマネジャーとみられる男性も同乗していた。


この事故で広末容疑者と、同乗者の男性がけがをして病院に搬送された。広末容疑者は搬送先の病院で看護師の女性(37)の足を蹴ったり腕を引っかいたりするなどの暴行を加え、けがを負わせた傷害の疑いで8日に逮捕されていた」(朝日新聞デジタル 4月10日


写真=iStock.com/akiyoko
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/akiyoko

自宅までガサをかけられたのは、あまりにも広末の言動がおかしかったため、アルコールを疑ったが、それはシロだった。何らかの薬物によるものではないかと彼女の自宅を捜索したが、薬物も出なかった。


薬物検査のため尿検査をしようとしたら、広末が拒否したといわれるが、検査結果もシロだったという。


文春(同)によれば、事故を起こす前に立ち寄ったサービスエリアでは、「周りに『広末です』と声を掛けたり、見知らぬ男性三人に抱きつくなど、不可解な言動を目撃されていました」(社会部記者)


子ども3人の養育。オファーが来る仕事には自分で逐一目を通していたというから、かなりハードな日々だったことは間違いない。


■かつては1000万円超だったギャラが激減


鳥羽氏もその後離婚し、別々に暮らしてはいるが仲は順調だそうで、「将来を長い目で見据え、お互いが今できることを二人でしっかり考えています」(広末の親しい知人・文春)


昨年12月には都内のジャズクラブでライブをやるなど、少しずつだが仕事も入ってきていたようだ。


しかし、『女性自身』(4月29日・5月6日号)は、フジテレビで『ザ・共通テン!』という番組が3月28日に放送されたが、彼女のママ友12人を集めて座談会をやったり、広末の恩人の店でロケをしたりと盛りだくさんの内容で、広末も相当時間を割いて協力したが、出演料は40万円程度だったと報じている。


今回の事故は奈良市で撮影の帰路に起こったが、それはW不倫からの復帰作となる主演映画『おんおくり』のためだったという。


骨髄バンクをテーマにした作品で、70代の大物女優や元ジャニーズタレントたちが脇を固め、彼女自身も「いい作品にしたい」と意気込んでいたそうだ。


だが、製作費は安く、かつての彼女なら1000万円前後はもらっていたが、今回は100万円に満たない額だと文春(4月24日号)が報じている。


その上、育児と撮影が両立できるよう、広末は「関東近郊での撮影」「泊まりはなし」という約束を交わしていたのに、反故にされたという。


■映画の撮影中も監督と激しい口論に…


「ロケ場所を確保する中、舞台となる奈良市の全面協力で撮影することになった。現地に泊まり込みで、拘束の長い撮影を余儀なくされたのです」(広末の友人)


周囲が出演取りやめを勧めても彼女は「私が選んだことだから」と引き返さなかった。


4月4日、広末たちは撮影場所になる県中央部の吉野町の小さな集落へと向かった。


「テレビで観た時の天真爛漫な広末さんそのままやった。終始笑顔で和気あいあいと撮影は進んでいたように見えました」(地元住民)


写真=iStock.com/nicoletaionescu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/nicoletaionescu

翌日は奈良中心部へ移動。しかし、事態は悪化したという。


「演出を巡り、広末とM監督は激しい口論になり、撮影が止まった。怒った監督は『俺は降りる』と言い出し、現場は大混乱になったのです」(映画関係者)


プロデューサーが間に入り広末と監督双方と話し合い、監督の降板が決まったという。


そのため彼女のシーンは延期となり、いったん、東京に帰ることになった。広末は、これで10日に長女を始業式に送り出し、家族みんなで長男の誕生日を祝えると考えていたのか、異様なほどハイテンションだったという。


最初、男性マネージャーが運転していたが、彼が持病の腰痛が悪化したため、広末が彼を気遣って運転を代わったというのだ。そして事故が起き、件のマネージャーは骨折したが、「彼女は悪くない」と庇っているという。


■「生き方」に真剣に悩んでいるのではないか


薬物検査はシロ。薬の過剰摂取による錯乱の可能性も噂されたが、先の知人は、「涼子に限ってあり得ません。仕事も育児も全てキッチリこなさないと気が済まないタイプ」と否定している。


そして4月16日朝6時20分。釈放され、浜松西署の玄関から姿を現した広末は、集まった報道陣に頭を下げ、関係者が手配したとみられる車に乗り込み、その場を去っていった。


報道によると、看護師や追突した車との示談は成立したそうだから、傷害罪では不起訴処分になる見通しで、同乗者への過失運転致傷容疑で追送検、起訴するかどうかを判断するようだが、文春の報道通りなら、こちらも不起訴になるのではないか。


元超アイドルの逮捕に、ワイドショーをはじめテレビ局は小躍りして喜んだはずだ。その過熱ぶりに一部の識者から、「興味本位で人権を軽視している」と批判が出たが、広末自身は、「メディアなんてこんなもの」とひとりごちているかもしれない。


広末という人間は、男を見る目はあまりないと思うが、自分の生き方については他の凡百の女優より考え、真剣に悩んできたように思う。


■「私にもそろそろ起こるのだろうか」


彼女が3年前に出したエッセイ集がある。『ヒロスエの思考地図』(宝島社)。そこで彼女は「学生時代から哲学書が好きだった」と書いている。


一章一章は短いものだが、哲学者の言葉を引いて、自分の考えを思いつくままに書いたものだ。


例えば、セーレン・キルケゴールの「人は、他人にとっても自分にとっても、等しく謎であるらしい。私は私自身を研究する」という言葉を引用してこう書いている。


「『ミッドライフ・クライシス』という言葉を聞いたことがあるだろうか? この考えを提示したのは、精神科医であり心理学の礎を築いた学者でもあるカール・グスタフ・ユングだ。


『人生の前半にはなかった悩みや問題が現れ、アイデンティティーが揺らぐ』現象を指している。きっとこれは、必ず誰しもに起こる“中年の危機”ということではなく、個人差があるだろうと私は思う(ユングは、32歳から38歳の間に深刻な変容が必ず起こる、と言ったけれど)。


今まで価値があったものに価値を見出せなくなったり、今までの仕事や生き方に関心を失い始めたりする。そんなことが、私にもそろそろ起こるのだろうか?」


■芸能界を引退しなければ、彼女自身が危ない


「『生の転換期』とも言われるこの現象が、平均寿命が延びている現代社会では40歳前後にあたるのだとすると、キルケゴールの言う“謎”は私の中で、ますます、これから深まるのだろうなと思う。


『人生の正午』とユングが例えた中年期。体力の低下、記憶力の衰え、肌の乾燥や老化も否めない。(中略)


これからもし私にも“中年の危機”(ミッドライフ・クライシス)がやってきたとしても、くじけず! めげずに! 私も、私自身を研究しよう」


彼女がこれを書いたのは3年前だから、今が中年の危機の真っただ中である。


この中で彼女は、「マスコミもパパラッチも大嫌いだし、週刊誌の記者もワイドショーも苦手だ」とも書いている。


広末という女性は、芸能界というドロドロした人間関係や魑魅魍魎の徘徊する世界に住むのには、神経が繊細すぎるのではないか。


芸能界にはびこる不条理に耐えられず、時々神経が悲鳴を上げ、暴走してしまうのではないか。彼女はこれを機に、芸能界を引退することを考えたほうがいいと、私は思っている。


そうしなければ、このまま行きつくところは“自己破壊”ということになりかねないのではないか。私はそれを危惧している。


----------
元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『編集者の教室』(徳間書店)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)、近著に『野垂れ死に ある講談社・雑誌編集者の回想』(現代書館)などがある。
----------


(ジャーナリスト 元木 昌彦)

プレジデント社

「広末涼子」をもっと詳しく

「広末涼子」のニュース

「広末涼子」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ