東証の「10万円要請」で、新NISAはどう変わる?
2025年4月25日(金)9時37分 財経新聞
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日本経済新聞によると、東京証券取引所が株式投資に必要な最低投資金額を10万円程度に引き下げるよう、全上場企業に要請するという。
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投資単位の引き下げにより、今まで敬遠されていた日本株が、主に若年層により新NISAで買われることで、さらなる活発化が期待される。
日本が目指す「貯蓄から投資」への流れを、さらに加速できるのだろうか?
●度々行われてきた要請で減少しつつある値がさ株
東証は近年、度々最低投資金額の引き下げを要求している。
直近では、2022年10月に投資単位50万円以上の上場会社に投資単位引き下げを要請しており、現状は50万円未満が努力義務となっている。
古くはバブル期の1990年、当時上場企業の約70%が投資単位100万円以上で、50万以上と合わせると約97%だった。当時は1000株単位が主流で、要請の効果は無かった。
2001年には、上場規則の努力義務として、50万円未満が盛り込まれた。
2025年3月時点では、95.3%の会社が50万円未満となっており、50万円以上のいわゆる「値がさ株」は5%未満に減った。
●さらなる株価上昇も期待できるが弊害も?
米国の研究でも、投資単位の引き下げにより、株主数が増加し、出来高と流動性が高まる効果が報告されている。
ファーストリテーリングやソフトバンクGなどは値がさ株のままで、これらの値がさ株が日経平均に与える影響が大きいとされてきた。最低購入金額で新NISAの枠を超える会社もある。
投資単位引き下げのために株式分割が期待され、株式分割は株価の上昇につながりやすい。
ただ、株式分割後は株価が上がりにくい傾向があり、購入単位を引き下げることにより、株主構成の悪化や短期保有の増加、信用取引の比率が上がるなどのデメリットも指摘される。
以前のように、単元株制度を1株から買えるようにすべきとの声もある。
いずれにしても流動性が高まれば、短期売買を助長することになりかねず、長期投資という新NISAの概念からは、逸脱することにもなりかねない。