卵を溶きほぐして具材を投入するだけ…手間なく野菜とタンパク質を摂取できる"朝・昼・夜の一品"
2025年4月26日(土)16時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Dmitrii Kalashnikov
※本稿は、森由香子『60歳からの「少食」でも病気にならない食べ方』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
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■1日350gの野菜を手軽に摂取する方法
栄養バランスを整える上で、なかなか摂れないのが野菜でしょう。一般的に、1日350gの野菜を食べることが推奨されているので、1日3食で単純に割ると、1食120g近く食べる必要があることになります。
たとえばにんじん1本はおよそ150gですので、5分の4本食べると120gをクリアできたことになります。
でも、少食な人や、野菜をモリモリ食べられない人は、あまり重量を意識すると余計に重荷になってしまうでしょう。
そこで試していただきたいのが、野菜を天日干しにして食べる方法です。
にんじん、かぼちゃ、大根、ごぼう、れんこん、なす、パプリカ、ピーマン、オクラなどを3〜4ミリの薄切りにして、2〜3日天日干ししておくのです。
野菜を天日干しにすると、糖類やアミノ酸が増えて旨みが増すだけでなく、食物繊維をはじめ、鉄やカルシウムなどのミネラル類、ナイアシンなどのビタミンB群、ビタミンDなどの栄養素が凝縮されます。カサも減るので、その分、多めに食べることができます。
一度作っておくと、冷蔵庫で2〜3日は持つので、みそ汁やスープ、煮物、炒め物などに毎食どんどん使いましょう。みそ汁や煮物などには、そのまま鍋に入れて使えます。料理するときに切る手間が省け、水分が抜けて火の通りが良くなっているので、時短にもなります。
■電子レンジで加熱して室内干しする方法も
はじめて天日干しに挑戦するなら、空気が乾燥してカビが発生しにくい冬場がおすすめです。
野菜は皮や皮の近くに栄養が詰まっているので、ぜひ皮ごとカットしてください。
カットした野菜をザルなどに重ならないように並べて、風通しが良く日当たりの良いベランダなどで干します。夜は部屋に入れ、朝また出すのを2、3日くり返します。
天日干しが面倒に感じる人は、電子レンジやオーブンを使ってみましょう。
電子レンジの場合、お皿に切った野菜を並べ、ラップをせずに500Wで2分くらいずつ加熱し、水分が出たらキッチンペーパーなどで拭き取ります。
目安は全体で8分前後ですが、野菜の種類や量にもよるので、様子を見ながら進めてください。ある程度加熱したら、ザルなどに載せて、室内で干しておきましょう。
オーブンの場合、天板にクッキングシートを敷いて野菜を並べ、予熱無しの100度で20〜30分が目安です。乾燥が足りなければ、加熱時間を少しずつプラスしてください。
完成した干し野菜は冷蔵庫で保存し、早めに使い切りましょう。
煮物や汁物にはそのまま使えますが、ある程度柔らかく戻して使いたいときは、軽く水洗いして水に15分か熱湯に5分くらい浸けておきます。
耐熱容器に入れて水を注ぎ、軽くラップをかけて電子レンジで戻す方法もあります。目安としては、500Wで3分、600Wなら2分くらいです。
■中高年にこそ、「ピクルス」の作り置きが向いている
食事指導をしていて、「野菜をもっと食べましょう」とお話しすると、「生野菜は好きです。だから本当は食事のたびに食べたいけれど、毎日用意するのが面倒で……」そうおっしゃる中高年の方は少なくありません。
確かに、生野菜サラダを作ろうと思うと、ザル、包丁、まな板、ボウルなどを使うことになりますし、サラダ用に野菜を買っておいても食べきれずに鮮度が落ちてしまったりと、何かと扱いが面倒です。
出来合いのサラダを買ってくるのも良いのですが、家に主食と主菜がそろっていたら、「今日は野菜はないけどまあいいか……」となりがちです。
そこで私は、ピクルスを多めに作って冷蔵庫で保管し、サラダの代わりや、メイン料理の付け合わせ、野菜の小鉢の代わりに食べるようにしています。
これなら、一度作ってしまえば、いつでも冷蔵庫から出して盛りつけるだけですし、おいしいのでどんどん食べられて、野菜不足を防ぎます。
写真=iStock.com/banabana-san
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ピクルスに向いている野菜は、きゅうり、にんじん、大根、ピーマン、パプリカ、玉ねぎ、セロリ、カリフラワーなど。大根は皮をむいておきます。
ピクルス液は、鍋に酢、水、塩、粒こしょう、砂糖、ローリエなどのハーブを適量入れて作ります。一度煮立たせ、火を止めて冷ましておくだけです。
熱湯消毒した容器に刻んだ野菜を詰め、上からピクルス液を流し込みます。冷蔵庫で保管し、翌日くらいから食べられ、1週間ほど持ちます。
詳しい分量などをインターネットで検索した上で、塩分を少なめにして作ってみてください。市販のピクルスよりも減塩になり、高血圧予防にも役立ちます。味が柔らかい酢を使うときは、水を入れなくても大丈夫です。
何度か作っているうちに、自分の好みの味で作れるようになります。余ってしまった野菜もピクルスにしておけば日持ちしますし、無駄なく最後まで食べきることができるでしょう。
■1品だけで栄養バランスが整う料理はこれ
少食な人でも食べやすい料理のひとつに、オムレツがあります。卵とバターがあれば作れますし、手間もあまりかかりません。でも、プレーンなオムレツだけだと、ほかにもサラダやパン、スープなどをそろえないと、栄養バランスが整っているとはいえないでしょう。
だったら、ちょっと具材を用意して、1品だけで栄養バランスがバッチリ整うスパニッシュオムレツにしてみませんか。
材料は、卵のほか、市販のポテトサラダ、プチトマト、ブロッコリー、粉チーズなどです。炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルがそろい、野菜もちゃんととれます。ほかに何も用意しなくても、栄養バランスの整った食事になるのです。
これが、私がスパニッシュオムレツをおすすめする1つ目の理由です。
2つ目の理由にふれる前に、簡単に作り方をご紹介しておきましょう。スパニッシュオムレツというと、手間がかかりそうですが、材料さえあれば、フライパンひとつで作れます。
卵3〜4個をボウルに解きほぐし、市販のポテトサラダ、ヘタをとったプチトマト、小房に分けたブロッコリーを適量入れ、粉チーズをふり入れ、よく混ぜます。
フライパンに油をひき、熱くなったら用意した卵液を流し入れ、フタをして弱火で約10分。表面の卵が固まったら完成です。
焦げつきやすいので、フッ素樹脂加工のフライパンを使ってください。
■朝作っておくと、朝、昼、晩と手軽に食べられる
具材は、生のじゃがいもをカットして入れても良いのですが、市販のポテトサラダにはじゃがいも以外の野菜も入っているので、野菜をとるチャンスが増えます。
森由香子『60歳からの「少食」でも病気にならない食べ方』(青春出版社)
市販のポテトサラダにはすでに塩味がついていますし、粉チーズを使うので、塩を入れる必要はありません。お好みでこしょうを加えても良いでしょう。
そして、私がスパニッシュオムレツをおすすめする2つ目の理由は、朝作っておくと、それだけで、朝、昼、晩と手軽に食べられることです。
たとえば、朝はメインディッシュにしてパンと食べる。昼と夜は、サイドディッシュとして食べれば、おかずを作る手間がかなり軽減されます。
昼はパスタと合わせてもよいですし、夜は肉・魚料理の付け合わせにすれば、肉・魚を焼くだけで栄養バランスが整った食事が完成します。
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森 由香子(もり・ゆかこ)
管理栄養士
日本抗加齢医学会指導士。東京農業大学農学部栄養学科卒業。大妻女子大学大学院(人間文化研究科人間生活科学専攻)修士課程修了。2005年より、東京・千代田区のクリニックにて、入院・外来患者の血液検査値の改善にともなう栄養指導、食事記録の栄養分析、ダイエット指導などに従事している。また、フランス料理の三國清三シェフとともに、病院食や院内レストラン「ミクニマンスール」のメニュー開発、料理本の制作などを行う。抗加齢指導士の立場からは、“食事からのアンチエイジング”を提唱している。『おやつを食べてやせ体質に! 間食ダイエット』(文藝春秋)、『1週間「買い物リスト」ダイエット』(青春出版社)など著書多数。
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(管理栄養士 森 由香子)