キャベツは軸の切り口を見る、ではレタスは…スーパーで鮮度・栄養価の高い野菜を見極める際に着目すべき点
2025年4月27日(日)16時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ZeynepKaya
※本稿は、森由香子『60歳からの「少食」でも病気にならない食べ方』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
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■食材の買い物は、10品目そろえることを意識するだけでいい
栄養バランスを考えるとき、よく意識されるのが、主食、主菜、副菜をそろえること。それは確かにその通りなのですが、「実際に買い物をするときは、そこまで考えられない」と思った方が多いのではないでしょうか。
買い物は、1週間分など、数日分の食材をまとめて購入することが多いでしょう。事前に1週間分の食事の主食、主菜、副菜のメニューを決めて、それに合わせて買い物をするのは、一般のご家庭では難しいと思います。
そこでここでは、メニューを考えておかなくても栄養が整う買い物のポイントをお伝えしましょう。
買い物のときは、10品目をそろえることを意識するのです。
10品目とは、肉、魚、卵、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品、野菜(緑黄色野菜を中心に)、海藻、いも、果物、油脂のこと。
これは、東京都福祉局などが、中高年が栄養不足などで陥りがちな「フレイル」(虚弱)を予防するために推奨しているもので、毎日摂るべき食品目を10個のカテゴリーにまとめたものです。
本来は、主食以外に毎日この10品目を食事に取り入れることが望ましいとされていますが、難しく感じる人は、1週間で10品目を食べることから意識してみるとよいでしょう。
そのためには、まず、毎週の買い出しで10品目を買いそろえておくこと。
そして、毎日の献立は、家にある食材を見ながら臨機応変に考えていきましょう。買ってきた食材を使い切れば、1週間で10品目をひと通り食べたことになります。
食材を買ってしまえば、もったいないので料理に使う気になりますし、献立もイメージしやすくなるでしょう。1週間単位でみたとき、栄養バランスもほぼそろっているはずです。
■「栄養が整う汁物」が簡単に作れる買い物術
少食の人や調理が面倒な人でも栄養を摂りやすいのが、汁物です。好きな食材を適宜カットして煮込み、味を整えれば完成です。具だくさんなら、それだけで立派なおかずになりますし、ごはんと一緒にいただくことで栄養バランスも整います。
では、栄養バランスが整う汁物が作りやすくなる、買い物と食材選びのコツをご紹介しましょう。
まず、買い出しで、次のA、B、Cの食材をすべて買っておきます。
A:袋入りせん切りキャベツ、もやし
B:オクラ、ブロッコリー、いんげん(いずれも冷凍で可)、プチトマト
C:魚のすり身、ハンバーグや鶏団子のたね、豆腐
食材がそろったら、A、B、Cそれぞれから毎食1品ずつ計3種の食材を選び、鍋で水と共に煮込み、好みの味つけにして汁物にするのです。
写真=iStock.com/Promo_Link
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魚のすり身、ハンバーグや鶏団子のたねは、ひと口サイズにスプーンですくって沸騰した鍋に入れて利用します。
毎食汁物を作るのが面倒なら、多めに作って、それを1日3食いただくのでもよいと思います。そして翌日は、A、B、Cそれぞれから昨日とは違う組み合わせの食材で汁物を作るのです。
すでにお気づきの方もいらっしゃると思いますが、Aは淡色野菜、Bは緑黄色野菜、Cは良質なたんぱく質源です。この組み合わせで調理すれば、毎食必ず、淡色野菜、緑黄色野菜、たんぱく質が摂れることになります。
これらの食材が常備されていれば、おじや、うどん、具だくさんの健康的なラーメンも作れるので、栄養バランスが整った食事が作りやすくなります。
■1日1食は、ワンプレートの冷凍食品の手を借りる
中高年の方にお話をうかがっていると、「健康には気をつけたいけれど、とにかく毎日の調理が負担」とおっしゃる方が少なくありません。近年、私自身も実感しているので、皆さんのお気持ちはよくわかります。
そこで、私からの提案です。
これからは、無理して1日3食自炊するのはやめてしまいましょう! そして、1日1食は、主食、主菜、副菜がしっかり入ったワンプレートの冷凍弁当にすると決めてしまうのです。
最近は、健康に気をつけたい方や中高年の方を対象とした、栄養バランスやカロリーがしっかり考えられたワンプレートの冷凍弁当がスーパーで手に入ります。
メニューも豊富で、さまざまな食材が使われているので、自炊するより、むしろ栄養バランスが整いやすいと思います。
メニューとしては、たとえば「五目ごはんと鶏の野菜の黒酢あん」「カレーピラフとチキンハンバーグ」など、自分で全部作ろうと思ったらなかなか手間がかかってしまうものが多いです。
ただし、こうしたワンプレートの冷凍食品は、可能であれば、1日1食か2食の活用とし、少なくとも1食は自分で作られたほうが良いと思います。
毎食、同じメーカーの弁当を食べていると、どうしても味に飽きてきますし、自分で調理することで買い物にも出かけて体も動かすので、健康維持や認知症予防に役立ちます。
ですから、可能な範囲で自炊を続けながら、1日1食くらいはワンプレート弁当を活用することにしましょう。それだけでも、気持ちがずっとラクになるはずです。
もうしばらく自炊を続けようと考えている方も、いくつか冷凍庫に常備しておけば、疲れて何も作る気がしないときの“お助けメニュー”になります。無理に自炊しようとして簡単なもので済ませてしまうより、栄養をしっかり摂ることができます。
■栄養がギュッと詰まった、肉や魚や野菜の見分け方
買い物のときに悩みがちなのが、生鮮食品の選び方。
工場で製造された食品は一般に品質がそろっていますが、肉、魚、野菜は、商品によって栄養価も鮮度もかなり違うのが現実です。せっかく買うのであれば、“いいもの”を選んで、効率良く栄養を摂り入れましょう。
まず、肉ですが、牛肉は赤身部分の赤色がきれいで、色が均一で濃淡がないもの。豚肉は淡いピンク色でツヤがあり、見るからに弾力があるもの。鶏肉は皮のブツブツがはっきりしているものが新鮮です。
少食の方が少量の肉で摂取エネルギーを増やしたいのであれば、脂身がある程度ついているもの、もしくはひき肉を選びましょう。
魚は、あじはぜいごがくっきりしているほうが新鮮です。いわしは黒目がはっきりしていて、尾びれがピンと張っているもの。さんまは口先が黄色で、背が青く光っているものを。いずれも、目は白く濁っていないものを選んでください。
切り身の場合は、血合いがある程度入っていて、血合いの色がくっきりしているものがよいでしょう。たらは鮮度が落ちると白くなってくるので、ほんのりピンクがかっているものが良いです。さばは淡いピンク色で、赤みがかっているほうが新鮮です。
さけは皮と身の間の白い部分の面積が大きいもののほうが脂がのっています。皮の柄の白と黒にメリハリがあることもポイントです。
どの魚も、脂がのっているもののほうが、少食の方のエネルギー量アップにはおすすめです。旬の魚は脂がのっていて栄養価も高く、価格も安いことが多いので狙い目ですね。
■キャベツは軸の切り口をみる
最後に野菜です。
ブロッコリーは、表面が紫色を帯びているもののほうが糖分が多くおいしいです。キャベツは外側の緑色が濃く、ずっしり重くて、軸の切り口がきれいなものを。半分に切ってある場合は、切り口が黄色いほうが新鮮です。
森由香子『60歳からの「少食」でも病気にならない食べ方』(青春出版社)
反対にレタスは、見た目より軽いもののほうが葉が柔らかくおすすめ。切り口がピンクがかっていたら鮮度が落ちている証拠です。きゅうりはいぼがはっきりしていて両端がしっかりしているものを。
トマトはずっしりと重みがあり、お尻に星のような模様が白く浮き出ているものを選びましょう。
ちなみに果物は、熟してセールになっている場合はすでに鮮度が落ちている可能性が高いです。まだ少し早いかな、という状態のものを買って来て、家で少し追熟させてから食べるのがおすすめです。
果物はビタミン類が豊富ですが糖類も多く含んでいるので、たくさん食べるのは栄養バランス的にNG。適量は1日200g程度です。ですから、できるだけ品質の良いおいしいものを買って来て、そのぶん、食べる量は抑えましょう。
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森 由香子(もり・ゆかこ)
管理栄養士
日本抗加齢医学会指導士。東京農業大学農学部栄養学科卒業。大妻女子大学大学院(人間文化研究科人間生活科学専攻)修士課程修了。2005年より、東京・千代田区のクリニックにて、入院・外来患者の血液検査値の改善にともなう栄養指導、食事記録の栄養分析、ダイエット指導などに従事している。また、フランス料理の三國清三シェフとともに、病院食や院内レストラン「ミクニマンスール」のメニュー開発、料理本の制作などを行う。抗加齢指導士の立場からは、“食事からのアンチエイジング”を提唱している。『おやつを食べてやせ体質に! 間食ダイエット』(文藝春秋)、『1週間「買い物リスト」ダイエット』(青春出版社)など著書多数。
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(管理栄養士 森 由香子)