中途入社20~30代が評価する「女性が活躍する企業10社」 ランキングから見える「2つの共通点」専門家が解説
2025年4月29日(火)14時0分 J-CASTニュース
近年、多くの女性がキャリアと家庭の両立について、悩みや葛藤を抱えています。
特に20〜30代は、仕事の責任が増す一方で、ライフイベントが重なることも多く、自身の生き方や働き方を見つめ直す時期でもあります。家庭内での役割分担は多様化が進んでいますが、いまだに女性に求められる負担が偏りがちであるという声も少なくありません。
今回は、OpenWorkの会社評価レポートをもとに、「20-30代の女性転職者の評価」に焦点を当て、評価の高い企業を調査。転職は、これまでの働き方を見つめ直す大きなきっかけのひとつでもあり、転職経験者だからこそ、その声には今まさにキャリアに向き合っている当事者ならではのリアルが詰まっています。
どのような特徴を持つ企業が、女性社員の成長をサポートしているのか。私、オープンワーク マッチング事業部の和田大生(わだ・ひろお)が解説していきましょう。
中途入社した女性社員が職場環境を評価した企業トップ10
内閣府の調査(※)によると、20代後半の女性の就業率は83.6%ですが、30代後半に入ると75.8%に減少します。この変化の背景には、結婚や出産といったライフステージの変化に伴い、働き方やキャリアの見直しを迫られるケースがあることが一因と考えられます。
特に20〜30代の女性においては、仕事と家庭の両立に課題を感じ、より柔軟な働き方や育児支援制度の整った環境を求めて転職を選択するケースも少なくありません。こうした中、女性が安心して働き続け、キャリアを築ける環境を整えることは、企業にとっても重要な課題となっています。(※内閣府男女共同参画局「女性活躍に関する基礎データ」(令和4年)より)
今回、中途入社した女性社員が職場環境を評価した企業トップ10は、いずれも世界や日本を代表する企業群となりました。
ランクイン企業に寄せられたクチコミからは、「公平な評価が行われる環境」と、「育児と仕事の両立を支援する制度が充実している」——この2つの共通項が見えてきました。いずれも、DEI(Diversity, Equity & Inclusion)を推進している企業に見られる傾向です。
まずは、女性活躍を推進している企業の特徴の1つ目である、性別に関係なく同じ成果が求められ、公平な評価が下される環境についてです。OpenWorkに投稿されたクチコミを紹介します。
・ダイバーシティが広く浸透していて、男女の差はないので、その面では働きやすい職場。逆に、子供がいるから手加減してもらえるということは全くなく、責任感を持って仕事を終えることが求められます。(PM、アマゾン ウェブ サービス ジャパン)
・女性だから働きやすい/働きにくいはない。求められる仕事は男女変わらない、結果重視、という意味ではフェアな環境。(営業、日本マイクロソフト)
・自分で管理するカルチャーと、それが許される環境なので、時間の調整、有給取得など、計画して行えば、かなり働きやすい。(営業、アマゾン ウェブ サービス ジャパン)
・制度が整っているだけでなく、制度利用に目くじらを立てる人が全くいない。ママさん管理職も多く、「子を持つ」「キャリアを積む」のどちらもあきらめず両立できる環境。産休・育休が気軽に取れる、かつ産後の時短勤務もしやすい。(営業、リクルート)
2つ目の共通項である、育児や家庭と仕事の両立を実現できる制度やサポートが手厚いことについても、実際のクチコミを紹介します。
・育児中や子育てを終えられた社員が多く、プライベートの面でもたくさん相談に乗って頂いている。キッズルームや託児所もあり仕事を休むことなく職場で子供を見ることもできる。(営業、グーグル)
・女性比率が高く、シニアで活躍している女性も多い。様々なライフステージに応じた配慮が複数階層で用意されている。女性向けのメンター制度で女性向けには特に手厚くシニアが話を聞いてくれ、産休育休も取りやすく、フレックスのようにライフステージに合わせて働く時間を決めることもできる。(コンサルタント、ボストン・コンサルティング・グループ)
・他部署の人にも接点をとれる環境で、悩んでいることに対してモデルケースを見つけやすく相談しやすい環境。(営業、リクルート)
女性の転職、特に情報収集したい「2つのこと」
近年、人的資本経営の一環として女性管理職比率を高める動きが進む企業が増えています。働き方の多様化が進む中、性別に関係なくキャリア形成の機会を提供する企業は、採用活動でもユニークな取り組みを展開しています。
たとえば、女性限定のウェビナーを開催し、社内で子育てと仕事を両立している社員との情報交換の場を設けたり、ポジティブアクションの一環として女性の応募を推奨する求人を募集したりする企業もあります。
これらの取り組みは、女性がキャリアを築きやすい環境を整えるための重要なステップです。
しかし、多くの女性は「時短勤務をよく思わない職場だったらどうしよう」、「産育休取得後に活躍できる環境があるのか不安」、「まわりにロールモデルがいるのだろうか」といった不安を抱えていることも少なくありません。
そこで、自分にマッチする企業選びを行うためには、会社の取り組みをハード面(制度など)とソフト面(社風や社員など)に分けて情報収集することが重要です。
特に、(1)女性の働きやすさや働きがいについて具体的にどのような制度や施策を講じているのか、(2)社外的に女性の活躍に関連する発信や取り組みがなされており、ロールモデルがいるかどうかを確認することが求職者にとっては非常に役立ちます。
性別による雇用格差のない、日本の労働社会の実現は遠くない未来です。さまざまな側面から自分に合った会社選びをしてみてください。
【プロフィール】
和田大生(わだ・ひろお)
オープンワーク株式会社 マッチング事業部 企業コンサルティングユニット キャリア採用グループ
大学卒業後、2021年にオープンワーク入社。リクルーティングコンサルタントとして、一貫して大手総合コンサルファームや日系大手メーカー、テック系ベンチャー企業などの中途採用を支援する。現在はメンバーマネジメントや自社採用なども奮闘中。