業績好調、日野自動車の株価が低迷する理由 CASE・第4次産業革命に投資家の迷い

4月29日(月)12時15分 財経新聞

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 日野自動車【7205】の株価を見てみると、2015年3月に1,900円に迫る高値を付けた後、2016年7月に900円近くまで落ち込んでいる。2018年年初までは回復基調で1,540円を付けて、2018年いっぱい下がり続けている。2019年3月930円ほどまで下がり続け、4月26日時点では、1,050円近くまで戻している。

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 2019年4月25日に発表された2019年3月期決算を見ると、売上高は1兆9813億円(前期比7.8%増)。営業利益は867億円(同7.9%増)、純利益は549億円(同6.9%増)と過去最高だ。世界販売台数は20万3154台と、アジアなど海外販売が伸び過去最高を記録した。20万台を超えたのは初めてだ。これでも株価は、業績好調なのに、この5年間「低迷している」と言っても良いのであろう。それはなぜなのか?

 もともと、基幹産業の自動車業界、しかもトラック業では「仕手戦」などがなければ値動きは少ない業界だ。しかし直近では、この業界にも生き残りをかけた変革の時がやってきている。「CASE(コネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化)」に対応しなければならない環境なのだ。商用車は、乗用車に比べて変化が先にやってくると見通しているようだ。しかし誤解が多い時期でもある。

 日野自動車は2018年10月に、中・長期ビジョンを示して2025年に向けて開発のコンセプトを発表している。自動運転技術については、第一ステップとして2020年代の内に高速道路での死亡事故ゼロを目指すこととしている。完全自動運転に繋がる運転支援システムで、ドライバーモニターなどの技術を加えて達成する目標としている。30年代には完全自動運転の完成とともに、運転支援システムの高性能化を進めて一般道での死亡事故ゼロを目指している。

 環境保護技術についても、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(BEV)、燃料電池車(FCV)などの電動車を拡大する方針を示した。しかしディーゼルエンジンのみの車両廃止は、2050年までを目途としているのは気がかりだ。トヨタ傘下(50.1%)の企業であるので、「全方位」の姿勢であるトヨタ自動車に倣った計画であるとしか見えない。

 原価低減活動(コストダウン)として挙げられた、「アライアンスを活用した調達を開発時点から考慮する」、「技術開発協力」、「自働化による稼働率の向上」、「整備生産性の向上」、「部品物流費削減」などの努力は当たり前の管理目標であり、「CASE」に対応するものではない。現実は、トヨタの子会社として日常業務をこなしているだけと言えるのだろう。

 また、トレイトングループ(フォルクスワーゲン傘下)と電動車(EV、PHEVなど)で協力している。トヨタが進めるマツダとのEV.C.A.スピリット、ソフトバンクと進めるモビリティサービス、さらにはMONETテクノロジーズにも参画しており、これはトヨタの戦略に追従している姿だ。「トラック業界」の日野自動車としての独自の経営方針(ビジネスモデル)が見えてこないのには不安を覚えるが、「巨大トヨタ」に依存する姿は、投資家にとって「安定・確実・健全」と見えるのだろう。

 『第4次産業革命』と言われる現象をどのように捉えるべきなのかが、今後、自動車製造業にとって最大の関心事のはずである。それがトヨタの「e-Palette Concept」で、業態変換のカギとなるからだ。するとIoTの絡んだ「発注・生産方式」が、最大の課題となることとなる。これは、マツダが見通している世界であろうが、果たしてマツダがそれまで生き残れるのであろうか?その点日野自動車は、トヨタが頼みの綱であろう。

財経新聞

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