「ドタキャン常習犯」は3回目で切ったほうがいい…勝間和代「コスパの良い人間関係のつくり方」
2025年5月4日(日)9時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/artisteer
※本稿は、勝間和代『人づきあいはコスパで考えるとうまくいく コミュニケーションはスキルが9割』(Gakken)の一部を再編集したものです。
写真=iStock.com/artisteer
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■「みんなと仲良くしましょう」の弊害
私たちは、小さいころから「人に対して好き嫌いをしてはいけません」「誰とでも仲よくしましょう」と言われて育ってきました。
そして、何かトラブルが起きたときは、相手を責める前に、「まず自分が悪いのではないか」と考え、自分を人に合わせて改善するスキルを身につけてきたのではないでしょうか。
その結果、私たちは、不快に思っている相手に対して「嫌だ」と言う権利があることを知らないまま大人になり、自分が嫌な目に遭っているにもかかわらず、相手を嫌いにならないように努力し続けてきたわけです。
そして、相手が明らかに自分の時間や能力を搾取していたとしても、怒ってやめさせるようなことはせず、我慢した結果、嫌な人と関わり続け、人間関係に悩み続けているのです。
コミュニケーションがうまく取れないから、自分の人間関係がうまくいっていないと思っている人が少なくありませんが、本当に問題なのは、あなた自身が、その人間関係に対してストレスを感じ続けているということです。
■自分の感情を抑え込まなくていい
「人間関係はうまくいかないこともある」と割り切れている人は、ストレスを感じにくく、うまくいかないものについては見切りをつけて、次の関係性を構築していけますが、多くの人は、自分が一度関わった関係性に対して、「よい関係性を築かなくてはならない」と思いがちです。
「自分で自分に課している、しなくてもいい我慢の連続」
これが、人間関係に悩み続ける本当の理由なのです。
人間関係を構築するとき、私たちは少なからず自分自身をコントロールする必要があります。そこに必要なのは、自分の感情を無理やり抑え込む我慢ではなく、自分と相手との関係性や距離感のコントロールだけでいいのです。
人間関係の問題のほとんどは、関係性の距離感と関わりの頻度をコントロールするだけでうまくいきます。
■悪いのはあなたではなく「相性」
私たちは、人間関係の中で問題が起きると、「あのとき自分があんなことを言ったからかもしれない」「もしかしたら事前に防げたかもしれないのにやらなかった」などと、どうしても自分に100%の責任があるのではないかと思いがちです。
その結果、自分を強く責めたり、自分を変えようとしてしまったりするのですが、実際は、必ずしも自分に非があるとは限りません。
人間関係の問題は、ほとんどの場合、相性の問題です。
だからこそ、相手が悪い、こちらが悪い、ということを議論することに意味はありません。
被害者意識や罪悪感を持ってストレスを溜めるよりも、「相性が悪い人間関係にはあまり深入りしない」と決めてしまうことが大事なのです。
相手と自分の人生をきちんと線引きし、どういう状況であっても「自分の人生を大切にできるか。自分が安心して過ごせるか」に焦点を当てるのです。
これが人間関係におけるストレスマネジメントです。
■「変えられない」と思い込んでいないか
よい環境の中に自分を存在させることができれば、自分の実力や真価を発揮することができるようになりますが、真価を発揮できない環境にある人間関係であると当然ストレスが溜まります。
実は、世の中は私たちが思っているよりもずっと柔軟で、かなり広範囲でコントロールできるのですが、多くの人は、世の中は固定的で、人間関係の悩みからは逃れられないと思っています。なぜそう思ってしまうのかというと、理由は明白で、「そのように習ってきたから」です。
世の中というのは「世の中がコチコチだ」と思っている人にとっては固定的に見えて、「世の中はしなやかだ」と思っている人にとってはしなやかに見えます。
つまり、自分自身の考え方や、自分が世界をどう見るかという「マインドセット」に大きく左右されているのです。
ある意味、人間社会というのは、私たち人間が設計し、運営しているので、この「人間が決めていること」については根本的に変えられないことなど実はほとんどありません。
もちろん、相手を変えようとするのは不毛なことではありますが、自分の考えや行動を変えることによって多くの問題を解決することができます。
■嫌な人や困った人を「保留」した結果
私たちは、何かめんどうくさいことがあると、自分の力でコントロールするよりも、それを回避したり、見て見ぬふりをしたり、いったん保留したりしてしまいがちです。
これは、他者に自分の人生の裁量権を渡してしまった状態で、非常にコスパが悪い状態です。保留にした問題は少しずつ大きくなっていき、向き合わざるを得なくなったときには、すでに手に負えない状態になっていることもあります。
長いこと自分を疲弊させる人間関係を抱え続けてきたことによって、よりよいコミュニケーションを構築するための時間や労力、気力が湧いてこなくなることもあります。
多くの人は、こうして嫌な人や困った人に対する対応を保留にし続けた結果、非常に複雑で困難な関係性を抱えているのではないでしょうか。
写真=iStock.com/Andrei Askirka
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Andrei Askirka
■コスパの悪い人間関係を整理しよう
今から始めても決して遅くはありません。
すでに今凝り固まった人間関係の渦中にいる人も、この瞬間から、一つひとつの人間関係を、丁寧に判断し、必要のない関係性からは、上手に距離を取る方法を学んでいきましょう。
これは、コミュニケーションにおけるコスト削減であり、軽やかな人間関係を生み出すための必須項目です。
まずは、今自分が抱えているコスパの悪い人間関係を整理することから始めましょう。
次に、人間関係に対して自分の力でコントロールできることを増やしていきましょう。コントロールの技術を習得するためには、学習と実践を繰り返し、少しずつ成熟させていく必要があります。
そして、新たな人脈を生み出し、できるだけ「困った人」と関わらずに軽やかに生きていくことで、人と関わるストレスから解放されるはずです。
■大切な時間を「泥棒」する人たち
「困った人」に出会うのは避けられません。それよりも大事なのは「出会ったらどうするか」。困った人ごとに対応策を決めておくことが重要です。
本書では「攻撃してくる人」「見栄っ張りな人」「サイコパス」など7タイプを紹介していますが、ここでは「めんどうくさい人」を取り上げます。
「めんどうくさい人」
特徴:約束を守らない、時間を守らない、ドタキャンをするなど人の時間を奪う
対処法:こちらから誘わない、相手が変わることに期待しない
端的に言うと、「コミュニケーションコストが高い人」のことです。コミュニケーションコストは一般的に、情報を伝えたり、意思疎通を図ったりするために必要な時間や労力のことを指します。コミュニケーションコストが低い人ほど、他者とのコミュニケーションが円滑に進みます。
では、コミュニケーションコストが高い人というのはどういう状態かというと、基本的に「時間泥棒」をする人のことだと考えてみてください。
■「行く行く詐欺」もめんどうくさい
私の体感では、一番コミュニケーションコストが高いのは、「ドタキャンをする人」です。
約束が守れないことは誰にでもありますが、前日や前々日になって毎回のようにキャンセルする人がいます。病気の場合には仕方がありませんが、病気以外の理由——特に「急な仕事」などで突然連絡してくる人は、私たちが約束のために準備をしている時間や労力のことをまったく慮(おもんぱか)らない人でもあります。
本当は行きたくないのに「大丈夫! 楽しみにしていますね!」などと発言し、後から何かしらの理由で断ってくる人も、「めんどうな人」の部類に入ります。
他にも、返信が遅過ぎる人、相手の話を遮って自分の話をしはじめる人、やたらおせっかいをしてきたり、足を引っ張ったり、自分の価値観を押し付けるようなアドバイスならぬ、言い方はちょっと汚いのですが「クソバイス」をしてくる人なども、コミュニケーションコストが高い人であるといえます。
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo
■「3回ルール」で距離を置く
約束を破る人かどうかは、最初の段階ではわかりません。
そして、これらの「めんどうな人」は往々にして調子がいい人が多く、初対面ではいい人に見えがちです。
ですから、関わっている中で「関わり続けるかどうか」をきちんと自分で判断し、必要に応じて距離を置く必要があります。
勝間和代『人づきあいはコスパで考えるとうまくいく コミュニケーションはスキルが9割』(Gakken)
同じように、おせっかいが過ぎる人や返信が遅過ぎる人なども、関わってみてはじめて気づくことが多いのですが、自分が不快だな、粗雑に扱われているな、と思う場面が3回続いたら、「自分からは積極的に連絡しない」という選択をすることも必要です。また、自分自身がめんどうな人になっていないかどうか、時折振り返ってみることも大切です。
関わることで疲弊する相手に、大切な時間や労力を注ぎ続けるのをやめましょう。とはいえ、人間関係は一度複雑に絡むとなかなか抜けられず、依存性が強いという特性もあります。
ある程度ドライに、合理的にコスト管理をし、「これ以上コストがかかるなら離れる」というラインを決めておくことで、深みにハマって傷ついてしまうのを防ぐことができます。
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勝間 和代(かつま・かずよ)
経済評論家、株式会社監査と分析取締役
1968年東京生まれ。早稲田大学ファイナンスMBA、慶應義塾大学商学部卒業。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー・アンド・カンパニー、JPモルガンを経て独立。少子化問題、若者の雇用問題、ワーク・ライフ・バランス、ITを活用した個人の生産性向上など、幅広い分
野で発言を行う。なりたい自分になるための教育プログラム「勝間塾」を主宰。知見と実体験、研究をもとにしたアドバイスが人気。
『起きていることはすべて正しい』(ダイヤモンド社)、『40歳からの「仕事の壁」を越える勝間式思考』(日経BP)、『一生自由に豊かに生きる!100歳時代の勝間式人生戦略ハック100』(KADOKAWA)など、著書多数。著作累計発行部数は500万部を超える。
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(経済評論家、株式会社監査と分析取締役 勝間 和代)