今春から大学に通われている愛子さまが卒論に選ぶテーマは「松尾芭蕉」?

2023年5月5日(金)6時0分 JBpress

(つげ のり子:放送作家、皇室ライター)


学習院初等科の学校誌で執筆した「歴史上の人物」

 4月5日〜10日、天皇ご一家はご静養のため栃木県の御料牧場に滞在され、微笑ましくも仲睦まじいご様子は、多くの国民の心を和ませてくれた。

 このご静養で大きく注目されたのが、なんといっても敬宮(としのみや)愛子さまであろう。両陛下が相好を崩されて笑いあう様子をご覧になり、つられて笑顔を弾けさせておられた。ご両親が楽しそうに喜ぶお姿を、愛子さまはいつものことのように受け取られていた様子に、ご一家が普段から笑顔を絶やさずに暮らされていることがうかがえる。

 そんな愛子さまも、学習院大学に進学されてからは、コロナ禍でずっとリモート授業を受けてきたが、ようやく4年生となられた今年春から、実際に大学へ通われてご学友とともに、直接、授業を受けられるようになった。

 最終学年の今年は、卒業論文の執筆に大半の時間を費やされるものと見られている。

 成績優秀で知られる愛子さまは、今、どんな分野に興味を持ち、どんなテーマで卒論をまとめるのだろうか。愛子さまの知的好奇心の萌芽から学生としての現在までに学ばれてきた世界を見つめてみたいと思う。

 学習院初等科では、生徒たちの作文や詩をはじめ、研究レポートなども掲載する『小ざくら』という学校誌を、年に一度発行している。過去には初等科に通学していた三島由紀夫の作品も掲載されたことがある歴史ある文集だ。

 愛子さまも、初等科卒業直前に配布された『小ざくら』の誌面で、自ら執筆された研究レポートを発表されている。

 それは平安時代中期に、朝廷の政務を執り行っていた中心人物である、「藤原道長(ふじわらのみちなが)」に関する歴史研究。まだ12歳の愛子さまが、知る人ぞ知る歴史上の人物に、なぜ興味をいだかれたのだろうか。


平安時代の文学に対する「衰えない好奇心」

 そのきっかけとなられたのは、授業で藤原道長が、当時の貴族の生活ぶりについて書いた『御堂関白記(みどうかんぱくき)』に触れたことだった。実は愛子さまは以前、新聞記事を読まれ、『御堂関白記』がユネスコの記憶遺産に登録されたことを知り、一度実物を見てみたいと思っていたという。そのチャンスは6年生の夏休みに訪れた。

 東京国立博物館で開催されていた、仮名と漢字で成り立つ日本独自の文字世界をテーマにした特別展、「和様の書」展において、愛子さまは恭しく展示されている『御堂関白記』を実際にご覧になったのだ。

 これほど古い日記がよく残っているものだと驚いた愛子さまは、日記を書いた藤原道長について詳しく知りたいと調べ、4ページのレポートにまとめられた。

 その内容は小学生とは思えないほど専門的で、藤原道長が権力を手中にした方法についても言及している。

 それは自らの娘を天皇に嫁がせ、外戚関係を築くことによって、宮廷の最高権力者とも言える摂政や内覧の座についたと述べられているのだが、平安時代の権力構造を理解していた点で、愛子さまの聡明さが伝わってくる。

 さらに学習院女子高等科に進学されてからも、平安時代の文学に対する好奇心は衰えず、卒業レポートでは「平安文学にみる猫や犬と人との関わり」について書かれている。

 もともと愛子さまは、動物愛護の意識が高く、御所でも幼い頃から数頭の犬や猫、それも殺処分されそうになっていた保護動物を飼われていたこともあり、『源氏物語』『枕草子』に登場する犬や猫と人との関係に興味を抱かれたのだろう。

 愛子さまのレポートは、学校側の基準である400字詰め原稿用紙30枚の倍近くの分量を執筆されたほどの力作だという。


学習院大ではさまざまな時代の文学作品を網羅的に学ばれた

 そして学習院大学では文学部日本語日本文学科に進学されたが、その理由を成年の記者会見で以下のように話されている。

「私は現在、学習院大学の文学部日本語日本文学科に在籍しております。(中略)平安時代から昭和初期にかけての多様な文学を通して、様々な考察を深める授業であったり、紀行文を民俗学的な視点で読む授業などを履修しております。

 関心のある分野はいまだ模索中といったところではございますが、以前から興味を持っておりました、源氏物語などの平安時代の文学作品、物語作品をはじめ、古典文学には引き続き関心を持っております」

 相変わらず古典文学への関心は高いように見受けられる。

 21歳のお誕生日に宮内庁から出されたご近況では、『源氏物語』や『新古今和歌集』、『奥の細道』など、さまざまな古典を学ばれていると発表されたのだが、『新古今和歌集』は鎌倉時代、『奥の細道』にいたっては江戸時代の作品だ。

 愛子さまが話されているように、平安時代から近世に向けてさまざまな時代の文学作品を網羅的に学んでいるようだ。

 実はここに天皇陛下との共通点を見出すことができる。それが『奥の細道』だ。


陛下の著書に書かれた「道」「旅」への憧れ

 陛下は初等科高学年の折に、母・美智子さまとともに松尾芭蕉の『奥の細道』を読破されている。そのことによって、「旅」と「交通」に対する興味はより深まったという。

 陛下の著書『テムズとともに』には、そのきっかけが書かれている。

 初等科在学時、当時、お住まいとなっていた赤坂御用地を散策中、偶然、「奥州街道」と書かれた標識を見つけられたことから、鎌倉時代の「奥州街道」が御用地内を通っていたと知ったという。

「そもそも私は、幼少の頃から交通の媒介となる「道」についてたいへん興味があった。ことに、外に出たくともままならない私の立場では、たとえ赤坂御用地の中を歩くにしても、道を通ることにより、今までまったく知らない世界に旅立つことができたわけである。私にとって、道はいわば未知の世界と自分とを結びつける貴重な役割を担っていたといえよう」(陛下の著書『テムズとともに』より)

 世界へ縦横に伸びる「道」への憧れが、陛下に想像力という翼を与え、あらゆる場所へと「旅」するご自分の姿を夢想されていたことだろう。自由への渇望とでもいうべきか。

『奥の細道』は俳句による紀行文学の最高峰と言っても過言でなく、芭蕉の生み出したえも言われぬ旅情は、自由への道しるべとなられていたはずだ。

 愛子さまも陛下と同じように、今、『奥の細道』を他の文学作品とともに学ばれているということだが、もしかしたら陛下に勧められて、読まれているのかもしれない。

「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也」

 月日を旅人になぞらえた芭蕉の冒頭の一節は、陛下や愛子さまに、どんな示唆を与えたのだろうか。


「良き先生」として陛下が愛子さまに卒論のアドバイス?

 平安期の雅な、しかし、どこか猥雑な恋愛譚でもある『源氏物語』と、やはり当時の男女の恋模様の歌が半分をしめる『古今和歌集』、そして鎌倉時代に編纂された『新古今和歌集』も、思うままにならない恋の歌や、季節の移ろいと人生の哀歓が詠まれている。

 それらの古典文学の深淵を理解するには、愛子さまはややお若いような気がするのだ。その点『奥の細道』は、陛下同様、愛子さまの想像力をおおいに刺激し、訪れたことのない街や街道の今昔に触れることができる。

 また学習院大学史学科を卒業されている陛下にとっても、「道」を巡る「歴史の旅」の話題は得意とするところであり、愛子さまとおおいに語らっておられるに違いない。

 愛子さまの卒業論文がどのようなテーマとなるかはわからないが、今、この時も学習院大学をはじめ様々な図書館で、卒論に向けて資料を集め、考察を巡らせていらっしゃるはずだ。

 そして、陛下もまた最も近くでアドバイスされる、良き先生として愛子さまの力になられていることだろう。

筆者:つげ のり子

JBpress

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