日産トロイダル方式・エクストロニックCVTは、EV時代に消えてゆく運命なのか?

5月6日(月)19時48分 財経新聞

 近年、国産車のミッションにはCVTを装備した多くの車が出現している。それは、CVTは回転数をエンジンにとって最も効率の良いところで使えるからだ。多段式のAT、DCTなどと比較しても、最高効率の回転数域で連続して安定して使えるため、燃費向上に役立っている。

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 CVTの各形式の中でもトロイダルCVTは、ラバーフィールと言われるアクセル操作に鈍い反応もなく、最も効率的であると言われている。しかし金属ベルト、チェーン方式に比較して、トロコダイル方式ではパワーローラを使用するため、多くの困難を伴うことになった。

 CVTミッションの歴史は古く、1800年代から開発は始まっている。ドイツやアメリカで熱心に研究が進められてきたが、いずれも「摩擦による駆動」と「潤滑油による滑り」の両立が出来ずに開発に行き詰っている。その中で、1970年代から開発に取り組んでいた日産が、21年の歳月をかけ1999年になってセドリックに装備するところまで開発に成功してきた。しかしその後、スカイラインに搭載するも開発は途切れてしまった。ちょうど、カルロス・ゴーンが、日産に乗り込んできた時期だ。

 金属ベルト方式、チェーン方式は、スバルなど多くのメーカーで採用されており、日産自身も金属ベルト方式CVTを採用している。トロイダル方式は高い圧力が必要で、摩擦と高温に耐えうる「専用の潤滑油」が欠かせない。その特性は、高圧力がかかるディスクとパワーローラの接触部に、1/1,000mmほどのオイルの膜を作り出す。そのオイルは、高圧がかかると固形化して摩擦を生み、ディスクとパワーローラ間に駆動力が伝わるようになる。回転して隙間が出来て圧力が減ると、固体から液体となり潤滑油の働きを示すものだった。

 さらなる技術的な困難は「高圧力がかかるディスクの材質」で、少しの不純物も許されない純粋な鉄が必要とされた。その精鉄工程で不純物を取り除く仕組みを、現場作業員が工夫して作り上げたと言われている。各方面のプロたちの技術が積み重なって、ついに開発に成功したのが「トロイダル方式の日産・エクストロニックCVT」だった。

 しかしすぐに日産は装備をやめてしまい、ドイツのベンツにその技術を売り渡したようだ。製造に高精度を要求され、運転中も専用潤滑油を必要とし、コストが掛かりすぎると判断されたのであろう。多段式AT、DCTなどが開発されると、メリットが少なくなってしまった。さらにマイルドEVなどが開発されてくると、燃費向上策としてもそれほどの効果が望めなくなった。

 これから電動化が進めば、コストをかけてまで採用する必要はなく、トロイダルCVTの出番はなくなっていくのであろうか?高度な技術であるだけに寂しい気もするが、モーターの特性を考えると、燃費性能でも、乗り心地でも、さらにはコストでも、トロイダルCVTの必要性はなくなっていくと考えられる。

こうした社会の要求に合わなくなった「悲運の技術」は、社会にたくさん見受けられる。代表格は「戦艦大和」であり、今後は「原子力発電」もそうなるかもしれない。AIはそうではないようだ?

財経新聞

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