英語指導者「TOEIC600点は半年で十分」

5月7日(火)9時15分 プレジデント社

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多くの企業が社員に求めるようになった「TOEIC600点」。スコアを100点以上アップさせた500人への調査結果をもとに、カリスマ英語トレーナーが効率最高の攻略法を伝授する。

■平日3時間、土日で10時間勉強


「TOEICを人事評価の基準にするなど、企業が社員の英語力を評価する流れ自体は、もうとまらないでしょう」




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こう語るのは、TOEIC受験力UPトレーナーとして知られるヒロ前田氏だ。前田氏は、ごく一部の企業で高得点を求める傾向も出始めたと語りつつ、まだ多くの企業がスタートラインとする点数は変わっていないという。それが「600点」だ。


今回、プレジデント誌では学習によってTOEICの点数が100点以上アップしたビジネスパーソン500人を対象に、アンケート調査を実施した。そのうち、学習前に600点未満だった人は、388人と8割近くを占めた(図1)。また、「昇進の条件として求められる点数」についても聞いたところ、最も多かった回答はやはり「600点まで」で、全体の27%を占めた(図5)。


600点というのはあくまで基礎的な力でしかなく、ビジネスで十分に生かせる英語力とは言えない、と前田氏は続ける。


「まず考えるべきことは『なぜ会社が社員に英語力をつけさせようとしているのか』ということ。海外展開を進めたいのかもしれませんし、事情は会社によって違うでしょう。会社が本質的に求めている英語力を理解し、その第一歩がTOEICなのだという認識を持つことが大事です」


では、その第一歩であるTOEICの点数を上げるために、必要となる「基礎的な力」とは具体的にどんなものなのか。


「まずベースとなるのは、語彙や文法の知識ですね。英語の基本となる単語とルールを把握できているかどうかです。600点は『基礎が6割できているレベル』。スタートが400点としても、600点は半年の学習で取れるでしょう。1年はかかりすぎといってもいいほどです」


アンケートでも、「学習期間」は「半年未満」が43.6%と約半数となっている(図3)。


「平均的な勉強時間」については、「休日まとめて3時間未満」が24.1%と最も多い。「毎日30分〜1時間未満」が18.2%で続く(図4)。


「正直、勉強時間としては物足りない。できれば平日3時間、土日で10時間。そうすると月に大体100時間勉強することになります。勉強する内容さえ間違ってなければ、それで600点は半年かからずクリアできると思います」



勉強法については、自分に合ったものを選ぶことが何より大事、と前田氏は続ける。




※写真はイメージです(写真=iStock.com/turk_stock_photographer)

「例えば、単語については、英語と日本語を1対1対応で確認しながら強引に覚えるタイプの人がいる。その方法が自分に合っているならいいのですが、合わないなら諦めて違う方法をとってほしい。例えば、英文に接して、その中で出合った知らない単語を覚えていくという方法があります。その英文はTOEICのための問題集にあるものがいいでしょう」


文法の勉強を始めるなら、TOEICのパート5から始めると取り組みやすい、と前田氏は話す。ただし選択式問題のため、完全に理解できなくても解けてしまう場合がある。しっかり理解しながら勉強を進めることが大事、とくぎを刺した。


「単語、文法に加え、実は勉強すれば一番点数が上がりやすいのがリスニング。英語の音は毎日聞くようにしてください。ただ単に聞くだけでなく、自分でもその英文を発音してみることが大事です。自分が言える音と聞き取れる音というのはかなり近いからです」


環境的に発音することがはばかられるという人なら、聞いた英文を書き取ることでも学習効果が出る、と前田氏。そうすると自分が聞き取れていない部分もよくわかるという。


■学習はHowよりHow much


勉強法はわかっても、英語の教材はそれこそ星の数ほどある。教材選びは間違えたくないところだ。


「世界最大の非営利テスト開発機関である『ETS』のマークが入っている、『TOEICテスト公式問題集』などは間違いないと思います。マークがあればその質はしっかり担保されているということなので、教材としては最強です。そういう教材を何度も繰り返し、理解できるまでやってください。600点を目指すようなTOEIC初心者はいろいろやるよりも1冊をやり込むほうが有効です」


アンケートで「役立ったテキスト」を聞いたところ、現代英語の重要単語1600語と重要熟語1000語を560本の例文から学べる『DUO3.0』が、満足度1位となった。


「『DUO3.0』は人気の高い教材ですが、TOEICの勉強に向いているかというとそうとも言い切れないかもしれません。というのも、TOEICには出題されないような単語もわりと入っているんです。なるべく早く点数を上げて成果を出したいと考えている人からすると、やや遠回りになるかもしれません」


しかし、大事なことはどのテキストを選ぶかよりも、まず始めること。そして自分が少しでも楽しく継続できる教材であることだと前田氏は強調する。



「多くの人がいいと言っている教材だから、有名な人が監修しているから、といった理由で選ぶより、自分でやってみて『合うな』『続けられそうだな』と思う教材を選ぶことが点数アップにつながります。そして合うかどうかは、実際にやってみないとわからない。まずは1冊手に取ってみるといいですね」


英語学習で成功している人は、自分に合った勉強法や教材を見つけて、継続している人だという。


「放送通訳者の柴原智幸さんは、『How』どのように勉強するかよりも、『How much』どれだけたくさんやったのか、のほうが重要だと言っています。人の意見に耳は傾けても、自分のやり方を見つけたらふらふらしない。それが一番必要なことなんです」


英語の学習ツールは本だけではない。アンケートでも、「効果のあった勉強法」として、「本」(45.7%)、「教材」(28.7%)に続き、「英語学習アプリ」(20.8%)、「テレビ・ラジオ講座」(17.2%)、「通学型英会話スクール」(14.4%)が挙がっている(図6)。一方、「失敗した勉強法」についても聞いているが、そこでは「通学型英会話スクール」が6.4%でトップとなっている(図7)。


「英会話スクールは英会話を学ぶところですから、TOEICの点数を上げることに直結しないのはやむをえません。オンライン型の英会話スクールなども同じです。会話というのは自分が知っているボキャブラリーの範囲内しか使えないので、語彙はそこまで増えないんです。それにTOEICは日常会話というより、ビジネスシチュエーションのものが多いですから。英会話での勉強だと効果が限定されてしまうんです」


しかし、前田氏はNHKのテレビやラジオの英語講座は比較的効果が高いという。


「NHKの講座はテーマが設定されています。ビジネスをテーマとしたものを選べばTOEICと内容がかなり被ってくると思います。加えて、NHKの講座は本もあるので、聞くことに加えて視覚的にも内容をチェックし、学び直すことができる。これはとても大きなメリットです」


■ライバル心が最高の動機付けに


英語アプリについては「手軽なのがメリットだが、手軽すぎて頭に残らない傾向がある」と前田氏は語る。


「アプリを活用するのなら、1度教材として勉強したものの復習として使ったほうが、記憶にも残りやすく効果が高いと思います。例えば『abceed』というアプリがありますが、これは主要出版社の人気英語学習本をアプリ化したもので、問題に対する解答を採点してくれたり音声を聞いたりすることもできます」


最後に前田氏が勧めるのは、学習者同士で集まって勉強することだ。



■仲間がいると勉強をやめにくくなる


「実際に集まると、1人でやるよりも集中できることがわかると思います。加えて、講師が開催するタイプの学習会では、わからないことを質問できます。学習者が自主的に集まる、講師がいないタイプの学習会では、疑問に対する正しい答えを仲間内から得られない場合もありますが、安価なことが多く、仲間ができやすいというメリットもある。仲間がいると勉強をやめにくくなるものです。まずはお住まいの地域で学習会が開催されているかどうか、ネットで検索するなど調べてみてはいかがでしょうか」


さらに前田氏は次のように続ける。


「TOEICの学習会を、会社のなかでサークル活動としてやるのが一番いいと思います。『あいつには負けたくない』という競争意識が結果につながりますから」



▼ヒロ前田氏おすすめの勉強法 スコア600点を目指すTOEIC初心者へ!

単語

試験に出やすいものを対象に、「英文に接する」など自分に合った方法でインプット。

文法

取り組みやすいTOEICパート5の選択式問題から着手してみよう。



「言える音」と「聞き取れる音」は近い。英語を聞いて、まねして言う練習をする。

調査概要●学習によりTOEICの点数が100点以上アップした仕事をしている20歳以上の男女500人に、インターネット調査を実施。調査期間は2019年2月12〜18日。(アンケート調査協力=アイブリッジ)


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ヒロ前田

TOEIC受験力UPトレーナー

TOEIC受験回数100回以上、990点(満点)取得。『TOEICテスト 究極の模試600問』など著書多数。

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(ライター 衣谷 康 写真提供=日本放送協会 写真=Getty Images、iStock.com 撮影=研壁秀俊、山本祐之)

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