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30年ぶりに日産車が首位「充電不要」電気自動車の革新力

NEWSポストセブン5月7日(日)7時0分
画像:「e-POWER」は従来の駆動方式とは一線を画す
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「e-POWER」は従来の駆動方式とは一線を画す
画像:日産チーフマーケティングマネージャーの南智佳雄氏
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日産チーフマーケティングマネージャーの南智佳雄氏
画像:ノート e-POWERで30年ぶりの首位奪還
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ノート e-POWERで30年ぶりの首位奪還

 昨年末、自動車業界に衝撃のニュースが走った。日産自動車の「ノートe-POWER」が日産車として30年ぶりに新車販売台数でトップに立ったのだ。そのヒットの理由を、作家の山下柚実氏が同社への取材を基に探る。


 * * *

 若者の車離れ」という言葉を耳にタコができるほど聞いてきた。「車に関心がある」若者は3割に過ぎず、「全く関心がない」人が同じく3割という調査も(日本自動車工業会2015)。戦後から今まで日本経済の中核を担ってきた自動車産業が転換期を迎えていることは、たしかだろう。これからの社会を動かしていく若い世代と車との距離が遠のいていく今、メーカーは誰に向かってどんな車をアピールしていけばいいのか。厳しく問われている。


 そんな中、刺激的なニュースが世の中をアッと言わせた。「30年ぶりに日産が首位を奪還」(2016年11月の月間車名別新車販売台数)。日産車がトップになるのは、実に1986年の「サニー」以来というから驚きだ。


 このところ首位を走り続けていたトヨタ「プリウス」を抑えて、堂々トップに躍り出たその車とは……新しいパワートレイン「e-POWER」を搭載した「ノート」。一過性の人気ではない。今年に入ってからも1月の首位は「ノート」、2月は「プリウス」、3月は「ノート」と、日産とトヨタが首位を巡ってデッドヒートを繰り広げている。


 30年ぶりの快挙を果たした「ノートe-POWER」の魅力とは何か? 車の未来を切り拓く力が、その中にどれほど潜んでいるのだろうか?


◆次世代のエコカーを「発明」


「乗る前と乗った後でガラリと印象が変わってしまう車。長年車の開発を担当し経験もこだわりもあるベテラン社員たちが、試乗したとたん口を揃えました」と日産チーフマーケティングマネージャー・南智佳雄氏(50)は振り返る。「ノートe-POWER」の開発時、試作現場での反応だ。


「アクセルを踏むと、ぐぐんとフルパワーで加速する新感覚。これまでのガソリン車やハイブリッド車にはなかったものです。小型車なのに、2.0リットルターボ車以上の加速を、瞬時に発するのですから」


 もちろん、新車の発売時はどのメーカーも饒舌に語る。進化や革新といった言葉を使って「すごい車です」と宣伝するのが常套手段だ。


「しかし今回の車の新しさは、これまでとは次元が違う。どんな表現をすればそのことが伝わるだろうか。検討を重ねた結果、選んだ言葉が『発明』の二字でした」


 たしかにパンフレットを開くと……「次世代のエコカーを発明しました」というフレーズがまず目に飛び込んでくる。果たして「発明」とまで言い切る内容とは何なのか?


「走行は100%電気モーターによって行います。一方、ガソリンエンジンは発電機として使い、内蔵されているリチウムイオン電池を充電します。車の外部からの充電は、必要ありません」


 現在日本で主流となっているエコパワートレインは、エンジンとモーターを並列させ状況に応じて切り替えて走る「パラレル式」ハイブリッドシステムである。それに対してe-POWERは、エンジンとモーターを直結させ、走る時に電気モーターしか使わないで車を走らせるしくみになっている。


「エンジンはある程度の回転数になってからトルク(クルマのタイヤを回す力)が出てくるため、タイムラグがあります。しかし、電気モーターはアクセルを踏むと同時に一気に力が伝わってトルクが最大になるのが特徴です。ぐうんと加速するその感覚を、私たちは『ひと踏み惚れ』と名付けたんですよ」


◆試乗体験車を無料で宅配


 もう一つ、斬新な運転感覚があります、と南氏は続けた。


「アクセルペダルから足を離すと、減速したり停止したりと速度を調整できるのです。この機能をe-POWER DRIVEと名付けましたが、都市部の狭い道や市街地での小回りが必要な運転も、ワンペダルで加速減速できて非常に快適です」


 そこには独自の回生技術(ブレーキによって発生するエネルギーを電気に変換する)が使われている。「e-POWER DRIVE」モードと従来車で同じ道を運転して比較した結果、「e-POWER」モード使用時は、何とフットブレーキを踏む回数が7割も減ったという。


「それもこれも100%電気で動くことで実現できたことです」


「電気自動車のまったく新しいカタチ」と謳う駆動システムの秘密が徐々に見えてきた。しかも日産は、この新型「ノート」に、広く浸透している「ハイブリッド」という言葉を敢えて使わず、「『e-POWER』という新語を作って世の中に打ち出すことにしました」


「ノート」の革新性を伝えたいという思いが、南氏の口調からひしひしと伝わってくる。


 しかし。言葉でいくら「全く新しい加速感です」と説明しても、なかなか実感的に伝わらないのが現実では?


「そうなんですよ。だからぜひ体験していただきたい。体は正直ですから、乗れば一瞬でガソリン車やハイブリッド車との違いが伝わるはずです。そう、料理にも似ている気がします。素材や料理法を理解するだけではなく、舌で味わい感じるように、e-POWERを味わっていただきたいのです」


 それを実現するためにどんな工夫を?


「来店者の試乗100%を目標に販売戦略を展開しています」


 徹底的な試乗提案によって「ひと踏み惚れ」してもらう戦略だという。例えば目黒の販売店では一営業日あたりの試乗数が14回を超えている(東洋経済オンライン)。店での試乗はもちろんのこと、「試乗したら買わなくちゃいけないという心理的プレッシャーを取り除くために」ネット宅配まで活用。アマゾンで注文すると「試乗体験車を無料で宅配」するキャンペーンを期間限定で実施すると、大変好評だった。


◆百年に一度の大転換期


「車離れ」と言われる今も、新車は年に国内で500万台売れている。一日約1万3000程の人が「次にどの車を買おうか」と思案している現実がある。実は新成人の声の中に、さらに興味深い変化が見える。新成人千名の調査(ソニー損保2016)では、免許保有率は54.8%と半数を超え、車への興味や憧れも40.9%(同2015年)から46.2%と、都市部ではっきりと上昇傾向が見える。


 若者は車に興味が無いのではなく、「所有」に飛びつかないのだ。コスパを考えカーシェアする潮流が広まっているからだ。かたや高齢化は進み、運転人口は減少していく。自動運転や安全技術の進化は「誰が運転しても安心安全」な移動のための箱作りとなり、所有欲はさらに減退していくだろう。ハイブリッド車も環境規制によってエコカー対象から外れ、今後は電気自動車の時代が到来……とまさに今、百年に一度という大転換期にある自動車業界。


 そんな中だからこそ、「ノートe-POWER」を単に販売台数から見たヒット商品として捉えるだけでは、次のヒットは見えてこない。「ガソリン」と「電気」のどちらがどのように車の動力となって、車社会の未来を創り出すのか。「e-POWER」という「発明」によって切り拓かれた市場は、次を占う試金石なのだ。


※SAPIO2017年6月号

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データ提供元:アニメキャラクター事典「キャラペディア