エージェント型企業の到来: テクノロジー全体でAIを活用

2025年5月8日(木)16時17分 PR TIMES

筆者:IBM Data & AI 担当ゼネラル・マネージャー リティカ・ガンナー(Ritika Gunnar)

[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/46783/628/46783-628-e59a1c59724f47d7751947770966727b-1540x618.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
AIエージェントの登場はAI革命の根本的な転換点となるもので、「あなたと会話するAI」から、かつてないほどの自律性を備えた「あなたの代理で仕事をするAI」へと進化しました。

何十年もの間、盤石な企業システムとのインタラクションには、多岐にわたる複雑なインターフェースに対応するための専門知識が必要でした。AIエージェントは、AIの能力を活用するための障壁を下げるものです。対話型インターフェースを介したインタラクションを可能にすることで、ユーザーは目標を設定するだけで、エージェントのネットワークがバックエンドの企業システム全体で必要なアクションを実行します。このようなテクノロジーの民主化は、技術的な専門知識の有無にかかわらず、すべての人がAIを活用して、人事、財務、IT、カスタマー・サービスといった部門の複雑なタスクを自動化し、洞察を得て、生産性を向上させることができることを示唆しています。

私たちは、この新しい運用モデルは、生成AIに期待される大きな経済的可能性を促進するカタリスト(触媒)になると確信しています。McKinsey社によると、生成AIは業界全体で年間4兆4,000億米ドルの経済価値を生み出すと試算(https://www.mckinsey.com/capabilities/mckinsey-digital/our-insights/the-economic-potential-of-generative-ai-the-next-productivity-frontier#key-insights)されています。

しかし、それを実現するためには、今日の複雑なエンタープライズ・テクノロジー・スタックを支える膨大なアプリケーション、データ、システムの網の中で、エージェントがシームレスに動作できなければなりません。つまり、オーケストレーション、統合、自動化こそが、エージェントを目新しい技術から実用へと移行させる切り札なのです。

そのため、IBMはエージェントを開発するだけでなく、エージェント時代を支える基礎となるテクノロジー・スタックを再構築しています。

IBMの戦略は、企業が持つあらゆるデータを活用して、あらゆるインフラストラクチャー上のあらゆるテクノロジーでエージェントを活用できるよう支援することです。IBMのポートフォリオは、Adobe社、Microsoft社、Oracle社、ServiceNow社、Workday社が提供するテクノロジーを含む既存のIT資産を活用しながら、Salesforce社のAgentforceのようなあらゆるベンダーやプラットフォームのエージェントをオーケストレーションできるようにします。また、あらかじめ構築されたエージェントやツール、統合により、迅速に実行することができます。

IBMは本日、エージェントの構築、運用、管理を支援する、業界で最も包括的なエージェント機能群を発表しました。これらはすべて、watsonx Orchestrateを通じて提供されます。
- 事前構築済みエージェント:特定のビジネス領域やユースケースに対応し、すぐに利用できる機能とシステム連携を備えています。
- 独自のエージェントを構築: 5分でエージェントを構築できるノーコード・ツールから、開発者向けのプロコード・ツールまで、エージェントの構築、カスタマイズ、デプロイのプロセスを簡素化します。
- エージェント・オーケストレーション: 複数のエージェントを統合し自動化することで、複雑なタスクに対応し、エージェントとアシスタントがあらゆるツール、データソース、インフラストラクチャーで連携できるようにします。
- エージェントのオブザーバビリティー(可観測性):企業全体のエージェントの使用状況を検出、監視、最適化し、信頼性、パフォーマンス、効率性を向上させます。


この戦略の中核となるのが、IBM watsonx Orchestrate(https://www.ibm.com/jp-ja/products/watsonx-orchestrate)です。IBM watsonx Orchestrateは、企業全体にわたって作業をオーケストレーションするための統合ソリューションで、マルチエージェントのスーパーバイザー、ルーター、プランナーとして機能し、IBM製、サード・パーティー製、オープンソースを問わず、エージェント同士や既存の資産(従来の自動化、AIアシスタント、API、データ・ストア、アプリケーション)との効果的なコラボレーションを可能にします。80以上の主要なエンタープライズ・アプリケーションと事前に統合されているため、ベンダー・ロックインに陥ることなくエンタープライズ・スタック全体にエージェントを浸透させるための理想的なゲートウェイとなります。

事前構築されたエージェントとツールで導入を迅速化
IBMは、生産性向上の主要なターゲットであるビジネス機能において、特定の専門知識と性能を備えた事前構築済みエージェントを提供します。最初に導入される領域特化型エージェントは以下の通りです。
- IBM watsonx HR エージェント(https://www.ibm.com/jp-ja/products/watsonx-orchestrate/ai-agent-for-hr)は、人事向けのエージェントで、現在利用が可能です。一般的な人事システムや人的資本管理アプリケーションと統合し、休暇管理、プロフィール更新、休職、福利厚生などの従業員サポートのワークフローを自動化することができます。
- IBM watsonx Procurement エージェント(https://www.ibm.com/jp-ja/products/watsonx-orchestrate/ai-agent-for-procurement)は、調達向けのエージェントで、Sirion社や Dun & Bradstreet社[1]などのツールと統合し、調達から支払い、サプライヤー評価、ベンダー管理プロセスなどの調達ワークフローを合理化するように設計されています。
- IBM watsonx Sales エージェント(https://www.ibm.com/jp-ja/products/watsonx-orchestrate/ai-agent-for-sales)は、営業向けのエージェントで、Salesforce社、Seismic社、Dun & Bradstreet社[2]などのテクノロジーと連携し、営業プロセスの自動化、新規見込み客の特定、適格なリードの発見とアプローチのサポート、リサーチとイネーブルメントの最適化を支援します。


関連動画はこちら(https://mediacenter.ibm.com/media/1_2qidin06)をご覧ください。

今後は、カスタマーケアや財務といった領域に特化したエージェントを追加展開する予定です。また、専門領域に特化したエージェントだけでなく、ウェブ調査や計算のようなタスク向けにシステム内に組み込むことができる一般的なユーティリティー・エージェントも幅広く開発しています。

IBM や他のベンダーのエージェントへのアクセスを簡素化するために、watsonx Orchestrate[3]のAgent Catalogを発表しました。 このカタログは、IBM やパートナー企業の膨大なエコシステムから提供される何百もの構築済みツールやエージェントにアクセスするための出発点として機能するもので、すでに150以上が用意されています。初期の例としては[4]、効果的な見込み客開拓と販売コンバージョン率向上のためのツールと知識を販売者に提供するSalesforce社の販売見込み客開拓エージェントや、Slackの対話型インターフェースを介して従業員からの問い合わせに対応する、Slackに組み込むことができる人事エージェントなどがあります。

また、watsonx Orchestrate を使用して IBMの パートナー企業が直接構築できるようにする新しいプログラムも開始し、パートナーが構築したアプリのポートフォリオをさらに迅速かつ簡単に拡大できるようにします。

数分で独自のエージェントを構築
IBMはまた、CrewAI、LangGraph、IBM Beeのようなオープンソースのエージェント・フレームワークを含む、あらゆるフレームワークやアーキテクチャーを使用して、企業が幅広いスキルセットに対応する独自のエージェントを構築、統合、カスタマイズできるよう支援することにも注力しています。

本日よりパブリック・プレビューが開始された新しい watsonx Orchestrate Agent Builder[5] は、Agent Catalogに掲載されている構築済みのエージェントやツールを利用して、5 分で独自のエージェントを設計できるノーコードの自動化スタジオをお客様に提供します。このスタジオは、エージェント構築のプロセスを民主化し、組織の誰もが、何百もの構築済みツールを活用して、ビジネス知識に基づいた洗練されたエージェントを簡単に構築、展開、管理できるようにします。

関連動画はこちら(https://mediacenter.ibm.com/media/1_if9km6ay)をご覧ください。

コントロールと柔軟性を必要とする開発者のために、カスタム AI エージェントを構築、評価、展開するための幅広いプロコードのツールセットと、ソフトウェア開発キットを提供します。これには、高度に専門化されたエージェントをゼロから構築し、手元のパソコンから watsonx Orchestrate に直接デプロイするための新しいエージェント開発キット (Agent development kit:ADK) が含まれます。また、事前構築済みの一連のツールとコア・ビジネス・アプリケーションとの統合に加え、AI エージェントが何千もの既存のツールと簡単に統合できるように、モデル・コンテキスト・プロトコル(Model Context Protocol :MCP)を完全にサポートすることで、エージェントの接続性を拡張しています。

ベンダーを超えたマルチエージェントとのコラボレーションのためのオーケストレーション
企業におけるAIエージェントの真の力は、それらが協調して動作することで発揮されます。エージェントがさらに複雑なお客様内のプロジェクトに対応できるように進化するにつれ、重要なビジネス・ワークフロー内およびワークフロー間でエージェントが連携できるようにするために、オーケストレーション機能が不可欠になります。

このような認識のもと、私たちは watsonx Orchestrate にマルチエージェント・オーケストレーション機能を追加し、単純なタスク・ルーティングにとどまらない、高度なエージェント間コラボレーションを可能にしました。これにより、IBM製、パートナー製、オープンソースを問わず、特化したエージェントが情報を共有し、複雑なマルチ・ステップのプロセスに共同で取り組むことが可能になります。企業はこれらの機能をエージェント・システムに組み込むことで、ユーザーのリクエストを分析し、適切なエージェント、アシスタント、スキルにリアルタイムで指示をルーティングすることができます。

しかし、効果的なオーケストレーションとは、単にエージェントをオーケストレーションするだけではなく、テクノロジー環境全体を活用することでもあります。そのため、watsonx Orchestrate は、エージェント間のコラボレーションや、既存のテクノロジー投資(自動化、API、データソース、コア・アプリケーション)とのコラボレーションを可能にします。これにより、エージェントは単独で機能するのではなく、企業のビジネス・オペレーションの中で付加価値として機能します。

効果的で責任ある採用のためのエージェントのオブザーバビリティー
エージェントが急増し始めるにつれて、ますます自律的になるシステムを効果的かつ責任を持って導入するためにエージェントのオブザーバビリティー向けツールが不可欠となります。これには、企業全体でエージェントを検出、管理、監視、最適化する機能が含まれます。

IBMのwatsonxポートフォリオは、AIのパフォーマンスと信頼性を監視し、AIのガードレールを適用し、AIリソースを効果的に拡張するための堅牢なツール群を提供します。例えば、企業がコスト効率やパフォーマンスなどの特定の目標に基づいて、使用するAIモデルを評価・選択できるようにするツールがあります。また、エージェントやツールの検出とオーケストレーションを支援するツールも開発しており、タスクの設計と実行をより効果的に行えるようにします。さらに、業界をリードするIBMのAIガバナンス機能により、企業のエージェント・システムの可視性と制御性を高め、精度、パフォーマンス、リスクの管理を支援します。

今日からエージェントを活用
AIエージェントやアシスタントの構築、導入、管理を支援するIBMの製品について詳しくは以下をご覧ください。
watsonx Orchestrateの詳細やデモ説明会の申し込み(日本語)(https://www.ibm.com/jp-ja/products/watsonx-orchestrate)

IBMの将来の方向性および意図に関する記述は、予告なしに変更または撤回される場合があり、目標および目的のみを表しています。

注釈
[1] 本日よりパブリック・プレビューで利用可能、6月に提供開始予定
[2] 本日よりパブリック・プレビューで利用可能、6月に提供開始予定
[3] 本日よりパブリック・プレビューで利用可能、6月に提供開始予定
[4] 6月に提供開始予定
[5] 本日よりパブリック・プレビューで利用可能、6月に提供開始予定

当報道資料は、2025年5月6日(現地時間)にIBM Corporationが発表したブログの抄訳をもとにしています。原文はこちら(https://www.ibm.com/new/announcements/productivity-revolution-with-ai-agents-that-work-across-stack)をご参照ください。

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