トランプ氏の利下げ圧力、パウエル議長「私たちの仕事に全く影響しない」…3会合連続で金利据え置き
2025年5月8日(木)20時6分 読売新聞
【ワシントン=田中宏幸】米連邦準備制度理事会(FRB)は7日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利となるフェデラル・ファンド金利の誘導目標を年4・25〜4・50%で維持することを全会一致で決めた。据え置きは今年1月以降、3会合連続で、トランプ米政権の高関税政策が物価や雇用に与える影響を慎重に見極める必要があると判断した。
FRBは会合後に公表した声明文で「経済見通しを取り巻く不確実性はさらに高まっている」と明記し、失業率とインフレ(物価上昇)率の上昇リスクが高まっていることを指摘した。パウエル議長も会合後の記者会見で、「大幅な関税の引き上げが継続されれば、インフレ率の上昇や経済成長の減速、失業率の上昇を招く可能性がある」と説明した。
足元の米経済についてパウエル氏は「堅調」との見方を示した。「政策スタンスの調整を検討する前に、より明確な状況が明らかになるまで待つ態勢が整っている」と述べ、利下げについては急がない考えを改めて示した。
また、金利の引き下げによる景気の下支えを期待するトランプ大統領が、FRBやパウエル氏に「予防的な利下げ」の要求を繰り返していることについては、「私たちの仕事に全く影響しない」と述べた。
前回3月の会合後の4月、トランプ政権は、ほぼ全ての貿易相手国・地域からの輸入品を対象とした「相互関税」や、自動車への追加関税を発動した。中国に対する追加関税は累計で145%となり、米中の貿易摩擦が激化している。
FRBが利下げではなく、現状維持を決めたことを受け、トランプ氏は8日、自身のSNSに「パウエル氏は愚か者だ」と投稿し、不満を示した。