デロイトで解雇寸前から「上位1%のSランク」に…元"ポンコツ"コンサルタントが見つけた頭のいい人の共通点

2025年5月9日(金)7時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/wutwhanfoto

優秀な人は何が違うのか。デロイト トーマツ コンサルティング出身で経営コンサルタントの権藤悠さんは「私がデロイトに入社できたのは過去問を解きまくった結果だった。入社してみるとポンコツで解雇寸前まで行った。そこで周りの優秀な方々を観察した結果、共通点があることに気づいた」という——。

※本稿は、権藤悠『頭のいい人になる 具体⇄抽象ドリル』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/wutwhanfoto
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■何度も言われた「ちゃんと考えてる?」


「ちゃんと考えてる?」


社会人になってから、何度も言われてきました。たとえば、資料を上司に提出したときはこんな感じです。


私「書きました!」 
上司「矛盾が多い!」
私「直しました!」
上司「全体の流れがわかりにくい!」
私「流れを直しました!」
上司「構造的になってない! まとまってない! 余計な情報が多い!」


そして、上司は言うのです。


「ちゃんと考えてる?」


新卒で入った会社で、採用人事として働いていたときも同じです。1日13面接はして、どんどん人材を渡していました。けれども、やっぱり言われてしまうあの言葉。


「ちゃんと考えてる?」


よく考えて推薦しろと、事業部長に怒られる日々でした。自分としては、「え……?」という感じです。なぜなら「自分はデキる」と思っていたから。


■デロイトでは解雇寸前まで行った


受験生時代も学生時代も、それなりに成果を出してきました。だけど、今になって振り返ると、それらは圧倒的な行動力によってもたらされていただけでした。


受験勉強は、参考書の問題をひたすら解いて乗り越えました。とにかくたくさん問題を解いて、答えを覚えるんです。ちゃんと自分の頭で考えていたというよりは、体にしみこませていく感じです。


外資系コンサルティング会社であるデロイトに転職できたのも、過去問を解きまくった結果です。デロイトでコンサルタントをしていたと言うと「すごいですね」と言われることが多いのですが、実際はかなりポンコツでした。現に、冒頭でお伝えした資料の例は、デロイトに入ったころのやりとりです。


そんなポンコツぶりだったので、デロイトでは解雇寸前まで行きました。「権藤は仕事ができないから、まずいんじゃないか」という空気が出来上がって、役員面談をすることになったのです。


けれども、その面談で役員の方は優しく諭してくださいました。「年齢とか役職とか関係なく、周りの人ができていることを観察して、冷静にアドバイスをもらって勉強してごらん。それをやり続けたら成長するよ」と。


それから、私はおかしなプライドを捨て、ゼロから学ばせていただくつもりで、周りの優秀な方たちを観察することにしたのです。「頭のいい人は、どういう思考法をしているのだろう?」と。


そして、たどり着いた答えが「頭のいい人はみんな、具体・抽象力がある」ということだったのです。


■頑張ってメモを取っても頭に残るのはモヤモヤだけ


頭のいい人の頭の中を探るにあたって、私は彼らに様々な質問をしました。


「なぜ○○さんは、そんなに速く洗練された資料を作れるんですか?」
「タスクの管理はどうしているんですか?」
「なぜああいう会議の場で、お客様に鋭い洞察を示せるんですか?」
「ふだんどんなことを考えながら仕事をしているんですか?」


そして、その答えをひたすらメモメモメモ……。でも、その様子を見た相手からは「そのメモって量が多いから読み返せないよね? 結局忘れちゃうんじゃない?」と言われる始末。


たしかに、その通りでした。頑張ってメモしても、記憶としてなかなか定着せず、頭の中に残るのは「結局何なんだ?」というモヤモヤだけ……。


なぜそうなっていたのか、今ならわかります。当時の私の頭の中は実に平面的だったのです。喩えるなら、だだっ広い草原に、文字情報が散らばっている感じ。だから、遠くまでは見えないし、必要な情報を見つけ出すのも苦労します。


写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

■頭のいい人は、頭の中にピラミッドツリーがある


けれども、成果を出している人たちの頭の中は、それとはまったく違います。彼らはみな、頭の中でピラミッドをイメージしていたのです。ピラミッドには引き出しのような階層がいくつもあって、どの情報をどの階層に格納するかを考えながら整理整頓していたのです。


そのことに気づいて、私は大きな衝撃を受けました。「たしかに、頭の中にピラミッドをイメージしておけば情報を整理しやすくなるな」と。何か新しい情報が入ってきたときに、適当に頭に入れるのではなく、すでにどこかの階層にある情報と関連付けて格納すればいいのです。


「具体・抽象力」とは、簡単に言うとこのように、頭の中でピラミッドがイメージできることです。これって、オフィスのデスクと同じですよね。デスクの上に書類をただ置いていくだけだと、すぐにぐちゃぐちゃになるし、何がどこにあるかわかりません。それに対して、ちゃんと書類を分類してファイルや引き出しにしまっていけば、すぐに必要な物を取り出せるし、空間を有効に使えるからキャパシティも増えます。


それ以来、私は自分の頭の中にもピラミッドをイメージすることを心がけるようになりました。その結果、解雇寸前だったこの私が、なんと、社内でも1%しか取れないS評価をいただくことができたのです(ちなみにそのとき、先述の役員面談をしてくださった方から「よく頑張ったね、権藤くん」と言っていただいて、ちょっと涙が出そうになりました)。


■仕事のやりがいも人生の充実感も上がった


というわけで、私はもともと優れた思考力があったわけではありません。けれども、周りの優秀な方々の思考法を観察し、分析し、実行することで、大きく成長できたと感じています。


その結果得た、最も大きな恩恵は、人生が楽しくなったことです。もともとやる気はあるので行動力はありました。けれども、それは結局、誰かに操作されていたに過ぎなかったんです。「議事録を取っておいて」「会議室を片づけておいて」など、言われたことをその通りにしかできない。


相手の意図や物事の本質を見抜けず、具体的に指示されたことしかできない。そんな私は、ただ操作されるだけ、代わりはいくらでもいるモブキャラのようなものでした。



権藤悠『頭のいい人になる 具体⇄抽象ドリル』(SBクリエイティブ)

でも、今は違います。自分が主体となって、物事を、人生をコントロールすることはできるんだという実感があります。これは決して、自分自身の能力が上がって一人でなんでもできるようになったということではありません。むしろ逆です。


これまでは、なんでも自分一人でやろうとして、ひたすら行動していました。でも、やっぱり自分一人でできることって限られるんですよね。それを自覚したうえで、他の人の力を借りる。「今足りないのはこの力だから、あの人の力を借りよう」というふうに、状況を俯瞰できるようになりましたし、そのためのコミュニケーションも以前よりは円滑に取れるようになりました。


私は、このように具体・抽象力の大切さに気づいたおかげで、仕事のやりがいや人生の充実感が右肩上がりで増しています。


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権藤 悠(ごんどう・ゆたか)
キーメッセージ代表取締役社長
1989年、広島県生まれ。 慶應義塾大学理工学部情報工学科卒業。ベンチャー三田会幹事。 ITベンチャー企業にて人事、IT新規事業開発をした後、株式会社ZUUに人事企画マネージャーとして参画し、東証マザーズ(現・東証グロース)市場上場前の採用・組織開発に従事。 その後、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社に経営コンサルタントとして入社。仕事ができず、解雇寸前までいくも「仕事ができる人」を研究した結果「具体・抽象力」に出会い、挽回。大手企業へのDX・組織人事高度化コンサルティング業務に従事し、合計社員数20万人以上の各業界企業を支援。上位1%の人材としてSランク評価を受ける。 2022年、株式会社キーメッセージを創業。大手企業からスタートアップへ経営コンサルティング、AIやデータ分析を活用した新規事業開発や人的資本経営、M&Aコンサルティングを提供する。著書に『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる』(SBクリエイティブ)がある。本書は2冊目の出版。
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(キーメッセージ代表取締役社長 権藤 悠)

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