会社のセクハラ考 女性部下の服装をどう注意すべきなのか

5月9日(水)7時0分 NEWSポストセブン

悪質なセクハラ行為は懲戒解雇の理由になることも

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 財務省の前事務次官や厚生労働省の健康局長、そして群馬県のみなかみ町長などセクハラ問題が後を絶たない。「セクハラ罪という罪はない」と開き直る発言も飛び出す始末だが、一般企業ではすでにセクハラ行為は立派な懲戒処分の対象となっている。社会保険労務士の稲毛由佳さんが、男女間、世代間で認識の差がある「セクハラ該当ライン」を指南する。


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 セクシュアルハラスメントとは、性的な言動により、職場環境が悪化する、能力が発揮できない、または自分の意に反する性的言動を拒否したことで、業務上の不利益を受けることをいいます。


 男女雇用機会均等法でセクハラ防止が定められたのは、1997年のこと。まだ20年強の歴史しかありませんが、入社の時からセクハラ教育を受けてきた20代〜40代前半の世代と、社会人になってしばらくたってから後付けでセクハラ教育を受けた40代後半以降の世代とでは、セクハラに対する大きな世代間ギャップがあります。


 40代後半以降の世代の上司が「このくらいは大丈夫だろう」と思っていることは、20代〜40代前半の部下の世代からすれば、大抵セクハラです。


 セクハラに該当するか否かは、相手の受け止め方次第とよく言われます。確かに、セクハラの判定は、相手が不快に感じたかどうかが大きな判断ポイントとなります。しかし、この「人による」という感覚が、間違いのもとです。


 どのような性的言動であれ、仕事上、必要ではないものは、すべてセクハラに該当します。人による違いがあるとすれば、セクハラを受けた人が被害を訴え出るか否かの差でしかありません。


 セクハラの代表的な言動が、福田淳一前財務事務次官の女性記者への「おっぱい」発言のような性や身体上のことに関するストレートな言動です。これは一発で“アウト”です。


 ただし、身だしなみや服装に関する指摘は、セクハラにも業務上必要な注意にもなりうることを知っておいたほうがいいでしょう。


 例えば、ミニスカートや胸元が大きく空いた服装の女性部下に、「(下着が)見えそうだよ」、「胸が大きいね」、「目のやり場に困る」などと言ってしまう人がいます。本人は注意しているつもりかもしれませんが、自分の感想を言ったら、これはセクハラと訴えられても仕方ありません。


 そこで、セクハラの疑いをかけられないコツは、仕事上の必要性を明確にすることです。


「客先の応接室のソファに座っても、スカートの裾を気にせずにすむように、スカート丈は立った時に膝小僧が隠れる長さにしてください」


「ワイシャツの第二ボタンまではずしていたら、だらしないと思う取引先もいるでしょう。第一ボタンを外した時と同じくらいの感じで肩甲骨がきちんと隠れるような服装をしてください」


 といった具合に直してほしい点を的確に言うことで、それは業務上必要な注意になります。


 また、厚生労働省の福田祐典健康局長が、女性職員にセクハラを疑われるメールを送り、戒告処分を受けたばかりですが、最近、SNS等のメッセージやメールをめぐるセクハラ相談が増えています。


 特に、個人的なメールアドレスやプライベートなSNS等のメッセージは要注意です。たとえ、メールやメッセージでも回数を重ねれば「執拗な誘い」というセクハラに該当します。


「相手がメアドを教えてくれた(メッセージを送ってもいいと言った)んだから、セクハラではないだろう!」


 と反論する方がいます。確かに職場恋愛やコミュニケーションは自由です。しかし、相手が断っているにもかかわらず、なお送り続けた場合には、まずアウトと考えてください。


 ただ、食事を誘った時に「用事がある」などと、やんわり断る方もいるので、誘った側にしてみれば、見極めが難しいところです。一度、誘って実現しなかった場合には、断られたと考えたほうが無難かもしれません。心残りな場合は、「じゃあ、○○さんの都合の良いときにメッセージして。合わせるから」などと、アプローチ役は相手にバトンタッチするとよいでしょう。


 では、細心の注意を払っていてもセクハラの疑いをかけられた場合、どう対処すればいいのでしょうか。「嫌いな上司を左遷させたい」という目的で、セクハラ防止規定を悪用したハニートラップを仕掛けられる場合だってあります。


 男女雇用機会均等法では、セクシュアルハラスメントをはじめとする各種ハラスメントの相談窓口の設置を義務付けています。会社はセクハラの相談に対しては、必ず何らかの対応をしなければなりません。


 相談窓口は相談を受けると同時に「事実関係の確認」という枠割も担っていますので、申し出た人の一方的な言い分が通るわけではなく、必ず相談者だけでなく、セクハラ行為を疑われている側の言い分を主張する機会が与えられます。


 また、多くの会社でセクハラが懲戒処分の対象となっています。悪質なセクハラの場合、懲戒解雇もあり得ます。懲戒処分を決定する際も、手続きのひとつに弁明の機会を与えることがあります。


 万が一、何の言い分を聞かれる間もなく、懲戒処分を言い渡された場合には、「自分の言い分も聞くべきだ」と、会社側に主張することができますので、身に覚えがない場合には、きちんと反論しましょう。


 ただし、実際は、わかりやすいセクハラが多く、あらぬ疑いがかけられることは、あまりありません。「そんなつもりではなかった」と反論する方がよくいますが、セクハラに対する認識の甘さや軽率な行動を自ら露呈しているようなもの。こんな反論は、被害者の心をさらに傷つけ、余計に怒りを買うだけです。


 疑いをかけられた場合には、まず、自らの行為をきちんと顧みることが大切です。思い当たることがあれば、相手にきちんと謝罪すること。そして、セクハラ教育の受講を申し出るなど、二度と起こさないという真摯な姿勢で対応することで、「改善の余地あり」と、挽回する道が開ける可能性が高くなります。。

NEWSポストセブン

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